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それに、「それだけ」じゃないんだよ
まだ行き先を決めていないのなら、少しだけ、ゆっくりしていかない?少し座って、温かい飲み物でも、どうかな?僕がいれるのでもよければなんだけど。いやじゃない?
ありがとう。
「現在」を生きるのはいつも難しいね。
明日になってみなければ、今日生きていたのか分からない。今生きてるってどんな感じだろう。
今を生きる時、生き急ぐような感じがする。
いつも未来を見ているからこそ、何かを置いて行ってしまわないかと、君は心配しているけれど。
こうして、カップ一杯分の温度を、両手で覆って、じんわりと、受け取ってくれるよ。お土産をたくさん持って会いに来てくれる。君の大好きな「旅」の話を、聞かせてくれる。それがどれだけ嬉しいことか、僕は知っているよ。
振り返らずに行く君に、置いて行かれたと思って傷つく誰かがいるなら、僕が教えてあげたいけどなあ。僕がひとりじめしていていいのかな。
そうやって失った関わりが君の流れを止めることがあるのなら、その「冷え」を解消してあげられるように、僕が君の「過去」にいる。
取り残した気持ちがあることに気づいた君が引き返さなくていいように、僕がここで待っているよ。
君の未来について行くよりきっと、想うままに君を愛せる。
わがままかな。君を待っている時間が好きなんだ。大事にさせてよ。
本当に待っていてくれてるのは、きっと君なんだと思う。
今を生きる君の目に映る景色を、いつか一緒に見ることができるのかな。
君が「帰る場所」を必要としなくなる時。もう取りに戻らなくていい、傷つくことのない君になる時。その時の君の隣にいていいのかな。
帰る場所が必要なら、僕がそうでありたいと思っている。
でもね、もし君が、僕自身を居場所と思ってくれるのなら。君一人で行くよりも、ずっとずっと遠くまで行けるのかもしれない。ずっとずっと旅を続けられるのかもしれない。
君をどこまでも連れて行ける僕を、もし君が望んでくれるのなら。
描いてくれるのなら。
君の想いさえあれば、僕は何にだってなれるんだよ。
君の描いた僕になりたい。
君の一番近くにいたい。
君に求め続けられる僕でいたい。
生きるということがちゃんと自分の内側に感じられるような、明日も未来もちゃんと自分の中にあるような生き方を、僕が君にあげたいよ。
この望みを伝えられるまで、待っていてくれるかなあ。
僕のところに来てくれてありがとう、って言う僕に、「それだけで生きていようとしないで」って、強く手を握り返してくれる君に、本当は僕を全部あげたいんだよ。
君も、まだ冷たい手をしているから、温めさせてよ。行き先が決まったなら、ためらわずに行って。明日生きていた君を、また教えてもらえる僕でいたいから、今はその温もりだけでも、連れて行ってもらえたら嬉しいよ。
きっといつか、君と明日を生きたい。
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