探しものが見つからなければいいのに
君が誰にも見せようとしない大切な君が、どれだけ美しいかということを、僕は知っているけれど。それは決して恥じたりする必要の無い、誰の目にも美しい君だと知っているけれど。
なぜ隠すのかと誰もが思うだろう。美しいから隠すのだと、言っても恐らく伝わらない。
隠さずに、傷つけられずに、誰のことも傷つけずに、誇りを見せる術をいずれ君は探し出すのだろう。見つけたら君は行ってしまう。
君を一人では行かせない。引き止めない代わりに僕もそこへ行こう。
僕を連れて行くことがきっと君の答えだと、君は気づいているのかもしれない。だから僕に、誰にも見せない君を教えてくれるのだろう。
でもそれが驕りではないかということが、僕には分からない。
君を疑っているのではない。僕がその美しさを「美しい」と言うのにふさわしい存在であるのか、という迷い。僕の迷いを知って君は試すのか。
否、君は試さない。干渉もせず、僕が僕の誇りを育てる傍らにいる。君の美しさを証明するために、僕は僕の庭を育てる。その花が美しいのは君が美しいからだ。
なのに僕は、心のどこかで、君にふさわしい花がいつまでも咲かなければいいと思っている。君にふさわしい僕に、いつまでもなれずにいたいと思っている。
僕だけが知っているままで、他の誰にも見つからないままでいてほしい。
成長を阻むわけではないけれど、少しだけ複雑に、迷路のように植えてある花の場所を、君はどうしたって憶えているんだよな。
君を撒くつもりは最初からないよ。誤魔化しがきかないのは僕自身だ。結局自分で解くのなら、簡単にしておけばいいのに。
君が僕を愛してくれたという真実があまりにも美しすぎるから、それだけで生きていていいように思えるけれど。君の愛にも負けない美しい愛が、僕の中にもあることを、示さないままで君に愛されてはいられないんだよ。
君にふさわしいかどうか?
何を迷う必要があるというのか。ふさわしくなるしかないだろう。
僕が、自分で、なるしかないだろう。
時が来たら必ず行く。君はどうか、その時の僕を信じていてほしい。