三日坊主日記 vol.339 『口内炎と海外進出とチェーンスモーカーと』
まったく以って自慢ではないが、僕は口内炎がよくできる。
いまも左の頬の内側から歯茎と唇のあいだあたりにかけて2つ、右下の歯茎と唇の間にひとつできている。今回のは原因がよくわかっている。屋久島から続いた地方巡業で疲れている上に、なんだか忘れたが熱いものを食べて左側の口の中を火傷したのである。それにしても痛い。涙が出るほど痛い。口を動かすだけで痛い。水を飲んでも痛い。なにを食べても痛いし、歯磨きをしても痛い。とにかく憂鬱で仕方がないのだ。
一般的に口内炎は心身に疲労が溜まっているサインと言われる。つまり、肉体的、精神的な疲れから身体が弱っているときに発症するらしいのだ。だとすると、僕はほぼ年がら年中身体が弱っているということになる。一時は、なにか他の病気が原因ではないかと本気で心配したこともあったけど、その時はどうやらそうじゃなかったようだ。だからといっていまも大丈夫とは言い切れないんだけれどね。
僕は昔、超のつくチェーンスモーカーだった。10代の後半から吸い始めて、20代30代とどんどん増えていった。30歳でフリーランスの演出家として独立してからは、誰も止める人がいないのと、仕事のストレスのために無茶苦茶吸うようになった。当時のことを知らない人はなかなか信じてくれないんだけど、普通で一日3箱。編集などで夜更かしをするときは5箱ほど吸っていた。本当に消したらすぐに次をつけるぐらいのペースだ。常に咳に悩まされていたし、身体もいつもしんどい状態だった。
が、しかし、34歳の時にぴたりとやめた。たいした苦労もせず、やめようと思った次の日からまったく吸わなくなった。理由はいくつか考えられるんだけど、一番の理由は既に一生分のニコチンを身体に入れてしまったのではないかということ。もう身体が悲鳴をあげて、受け付けなくなったのかもしれない。知らんけど。
そして2つ目の理由は、海外で仕事をしようと考えたこと。欧米に拠点を移してCM演出をしようと本気で考えた時期があって、英会話の勉強を始めたし、ついでに禁煙もしようと思っていたのだ。
そして、もうひとつ直接の原因になったのが口内炎。常に身体が疲れ、寝不足、ビタミン不足の当時の僕は、よく風邪も引いていた。しょっちゅう扁桃腺を腫らして喉が痛いんだけど、その時はいつのも何倍も何十倍も痛く、水どころか息を吸うのも苦痛で、立っているだけで目眩がするほど喉が痛い。たまりかねて仕事先の近所にあった病院に駆け込んだ。その時、僕の喉を見た医者が「わぁ〜っ」と叫んだ声が今でも忘れられない。
喉に口内炎が6個できていたのだ。唇の裏にひとつできても十分痛い口内炎が、喉に6個もできていたのである。どれだけ痛いかわかってもらえるだろうか。まあ、自業自得といえばそうんなんだけど、もうそんな思いはしたくないと思い、きっぱりとタバコをやめたのである。
それ以来、30年以上まったく吸っていないのに、いまだに口内炎はでき続けているのはどういうわけだろう。あー、痛い。