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三日坊主日記 vol.286 『田中梢さんという作家さん』
先日、阪神百貨店のアートフェアへいった話を書いた。
その中で、ある女性作家さんの作品に釘付けになったということを少し書いた。無断で作品掲載する訳にもいかないし、言葉だけだとしても勝手にああだこうだと感想を書くのも失礼な話だと躊躇していたんだけど、ご本人から掲載の許可が出たので紹介しておく。僕が送った短いメッセージにジーンときたという旨の、短いけれどもお人柄がよくわかる返信をくださったのだ。
田中梢さんとおっしゃる方で、ご自身で写真を撮り、その写真を元に絵を描いているそうだ。あの日、会場をぐるりと見てまわり、一番奥にあった巨匠たちの作品に目を奪われ、若い作家さんと話し込んだりして、結構長い時間会場にいた。それでもすべて見終わらなかったんだけど、そろそろ帰ろうと出口へ向かって歩いていて、ふと目に止まったのがこの方の作品。
写真のようで写真とは違い、とてもリアルなようで、近づいて目を凝らしても何かフィルターを通したようでピントが合わない。なんとも不思議な空気を纏っていた。立ち止まって眺めているうちに、なんだか映画を見ているような気になってきた。写真にももちろん物語性はあるが、この人の絵にはさらに物語がある。カメラで写しとった風景や人物に、この人もご自身の物語を投影しているのだろうか。
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そもそも、興味のない風景や人物にはレンズを向けないだろう。仮にレンズを向けても、ファインダーを覗いた時になにかの衝動がなければシャッターを切らないんじゃないだろうか。そういう意味で、まず田中さんが感じた何かにレンズを向け、そしてシャッターを切る。恐らく何枚もいろんな風景や人を撮るんじゃないだろうか。その中で厳選した写真を絵にするように思うが、どうだろう。
すでに想いのこもった写真に、さらに想いのこもった絵の具をのせていくとしたら、やはりそこにはとてもたくさんの(目にみえるもの以外の)ものが詰まっているのかも知れない。そういうなんだろう、エネルギーというか(違うな)、魂というか(ちょっと違う)。メッセージみたいなものが、僕に届いてきたのかも知れない。
そして、職業柄かこの絵を動かしてみたいとも思った。絵画でもなく、映画でもない。なんだか自分でもよくわからないが、映像作品にしてみたいと漠然と考えていた。その気持ちがなんなのか、もっとずっと見ていたかったんだけど、時間切れで終了した。
また機会があったら、ぜひ展覧会に足を運ぼうと思う。なんだか楽しみだ。
私は自らが撮影した写真を元に風景画を描いています。風景や人物が過去の絵画作品を想起する絵を描きたいと思っています。
私が偶然立ち寄った場所で撮影した、二人の人物がミレーの「晩鐘」と似たポーズをしていた写真がありました。この写真がきっかけで実在した見知らぬ人が見せた一場面を描く作品のシリーズを作り始めました。
独特の静けさが共通して漂っており、多くの作品は人物が小さく描かれています。
これは浮世絵の小さく描かれた人物を参考にしています。また大きなフィールド上にぽつんといる人物は幼少期からよく目にした90年代のTVゲームの人物のようでもあります。
様々な視覚情報を得る現代社会に生きる日本人として、風景画はどのようにあるべきかを追求しています。