三日坊主日記 vol.244 『台北での出会い』
台北2日目。朝から、まずは妻の買い物に付き合って大稻埕の迪化街へ。
ここは、清代の末期から日本統治時代にかけて水運で繁栄した貿易の街だったらしい。迪化街は当時のメインストリートで、いまも赤レンガ造りの建物が並び、乾物、漢方薬、布地などの問屋が現役で商いをしている。
その中にぽつぽつとリノベーションされた雑貨屋やカフェがあるんだけど、どこもかなりオシャレでいけている。そしてどの店も台湾のオリジナル商品や作家モノを扱っていて、なんというか台湾の気概がビンビンと伝わってくる。日本の雑貨屋はどの店に入っても同じようなモノが置いてあることが多くほんとうにガッカリするが、ここではそういうことがなくとても楽しめたし、うらやましくも感じた(がんばれ日本)。
あっちへ行ったりこっちへ来たりしていると、辻から西の方向に必ず淡水河の護岸壁が見える。何度も何度もその護岸壁を見ているうちに、その壁の向こう側をこの目で見たくて見たくてたまらなくなって、しばし妻とは別行動にしてもらうことにした。
迪化街から淡水河までぶらぶらと歩いていくと、川の手前でどう見ても映画関係の人がやっていそうなカフェがあった。休憩する気もコーヒーを飲む気もまったくないし、別に何も期待してなかったんだけど、これもご縁とふらりと入ってみた。
冷やかしで入ったはずが、たまたまお客さんが誰もいなくて、店のお姉さんが暇そうにしていたので話しかけてみた。どういうお店なんですか?怪しいもんじゃないんですが、映画関係のお店のようなのでふらりと入りました。僕も日本で映画を撮っているので…と。すると彼女は、ちょっと待ってください。監督呼んできますといって、奥から何明瑞さんというどうやらこの店のオーナーで、ドキュメンタリー監督をしている方を連れてきた。
この方の活動と、この導演的豆花店というこのカフェのことは、後日またきちんと調べて正確なことを書こうと思うが、とにかく、突然訪ねてきた何処の馬の骨かもわからない外国人にあれこれと親切に説明してくれ、自慢の豆花をご馳走してくれ、ご自身の映画のことを書いた本までくださった。
一期一会である。今回泊まっているホテルの部屋からはたまたま遠景で淡水河が見える。僕はその風景がとても気に入った。妻の買い物に付き合って大稻埕へ行くと淡水河の護岸がすぐ近くに見え、どうしても淡水河へ行ってみたくなった。そして、その手前で何明瑞さんという映画監督と出会った。これはすでに奇跡である。
日本に帰ったら、いただいた本をじっくり読んでこの方の活動を調べてみよう。そして、僕のことも知ってもらえるように活動内容を送ってみよう。もしこのご縁が先々何かに繋がって行くとしたら、それはほんとうに奇跡だ。
やっぱり旅って面白い。人生って面白い。台湾って面白いかも知れない。
結局、淡水河へはいけなかったんだけどね。