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佐野元春 & The Coyote Band 『BLOOD MOON』レヴュー

2015年に入り続々と公開された新曲。前年のトゥワーで披露された“君がいなくちゃ”、同じく“優しい闇”、新聞社のイメージテーマ“境界線”、そしてカメラメーカーのWEBドラマの主題歌“私の人生”。これらは新しいアルバムに入るのか?ロンドンのスタジオに発注された、その印象的かつ象徴的なアートワークは収録曲タイトルとともに先行公開され、早くも話題を呼んだ。“君がいなくちゃ”、“私の人生”はラインナップにはなかった。

そして、先行シングルを含む数曲のトレーラー公開。徐々にアルバムの全容が明らかになっていく。
 一切視聴はしていないと言ったが、正しくはこのトレーラー映像は一度だけ観た。さらりと。サウンドや歌詞に注視しないように、ヴィジュアルを意識的に。

おそらく、日本でいちばん最初に“バイ・ザ・シー”が熊本のラジオでオンエアされ、それを聴いたのが6月中旬。夏らしいダンス・ロックで、全体の雰囲気もこんな感じか?

昨秋熊本で「アルバムはほとんど出来上がってる。15,6曲くらいの中から選りすぐって入れたい」と語っていた。そして今回の曲たちに決まったあと、今度は曲順に迷っているという話も聞こえてきた。
ダ・コヨーテバンッ!の集大成とも言われるニューアルバム。それだけ慎重になっているということなのか?
そして物議を醸し出した(笑)フルレングスの“境界線”MVも相まって、いよいよ僕らの期待も“あったまって”きたところに満を持して!である。

前置き長えよ。

例によって、サウンドがどうの、リリックがどうの。それは僕の役目ではない。
一言。これだよ。この感じだよ、佐野くん。この感じを待ってたんだよ(てか、佐野くん呼ばわりかw)
同じように音を奏でることは他のバンドでもできる。だが、この感じは、グルーヴは現メンバーじゃなきゃ出ない。
コヨーテトゥワーZeep Tokyoの映像で、僕の印象に残ってるのは“Us”の終盤でのシュンスケくんの演奏場面。

タララ〜ン タァ〜ン タタタタ…♬(書き言葉で再現するのは困難だ)

の部分で、今作ではそのシュンスケくんのキーボードが踊ってる。
とは言え、(挫折した)ギター少年の僕はやっぱり、ギターに注視してしまうんだが。

何度か通しで聴いて、1曲目固定のシャッフルで何度か聴く。この曲順、なるほど。そして今度は、このアルバムを提げてのトゥワーが間近に控えて、どの曲がピックアップされるんだろう?なんて考えながら。いわゆるレコ発トゥワーは、もう棟梁はやっていない。リリース直後のトゥワーとは言え、全曲演奏とはならないであろうことは想像に容易い。

完全に想像を外されたのが“いつかの君”。タイトルからしてミディアムテンポな曲だろうと思ってたが、ライヴ栄えのするアッパーチューン。

この不確かで理不尽な世界は、果たして新世界と呼べるのか?夢は敗れてすべては壊れてしまっても、その断片の中に、新しい可能性を探して再構築してゆくんだろう。きっと僕らはこれからも。
例え、約束の未来がどこにもなくても、君がそこで微笑んでくれてるなら、僕は何度でも山に挑んでゆくよ。

さて、コヨーテバンッ!が最初にレコーディングしたのは『Coyote』には未収録でシングルリリースされた“ヒナギク月に照らされて”。続く『Zooey』では“ポーラスタア”。今回『BLOOD MOON』ではどの曲がいちばん最初にレコーディングされたのかな?実はいちばんの関心事はそこだったりする(笑)

ところで、みさっちゃん(渡辺美里)の新しいアルバムにも“真っ赤な月”という曲が入ってるんだね(^_^)

2015 Daisy Music
#佐野元春 #bloodmoon

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