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私の目覚まし時計

私が今使っている目覚まし時計は中学2年の時に購入したものだ。15年前に家の近くにある大型スーパーの中に入っていた雑貨屋さんで購入した。値段は1200円くらいだったと記憶している。

私が中学生の時はお小遣い制度がなく、お正月にもらったお年玉を一年かけてやりくりしていた。その中で自分の洋服代や友達と遊ぶお金を捻出していたため、たった1200円の目覚まし時計を買うことですら1ヶ月ほど悩んでいた。時計の見た目はリンゴのようにツヤっとしており深みのある赤色は大人っぽく、14歳の私を凄く魅了した。何度もお店に足を運び、この時計があれば私のもっさりとした六畳の和室も少しはお洒落になるに違いない。そう思いながらも中々購入するかを決めかねていた。

時計と出会ってから一月悩んだ後、ようやく私は赤色の可愛い時計を購入した。

今考えるとこの時計が私にとって初めてのインテリアグッズだったのかもしれない。

付いていたライトの機能は随分前にランプが切れて使えなくなっていたが、毎朝ちゃんと私が起きたい時間に起こしてくれる。

旅行や出張の時にも連れて行った。アナログ時計だから海外でも時間を合わせるのが凄く簡単でコンパクトながらも大音量で起こしてくれるので使い勝手がいいのだ。そのためどこにでも連れて行ったが、寝起きが悪く、扱いの悪い私によって何度も棚から落とされていた。

所々塗装はハゲ、地のステンレスがちらほら見えていた。私は手元にあった赤色のマニキュア で塗装がハゲた所を塗り直した。だが元々の赤色とマニキュア の色がマッチせず、塗った赤色が繕ったハギレのように見えた。

15年経ちボロボロになった時計ではあるが、一つ一つの造形が愛おしく感じられる。

今は1200円の物を買うことに対しては一月も悩むことは無い。大人になるにつれ中学生だったあの頃よりも自由に使えるお金はずっと増えた。だが一生大切にしたいと感じる持ち物は、真剣に悩んだあの時に出会ったものばかりだ。

あの頃のように時間と気力をかけて購入することはもうないんだろうな。そう思うと少し寂しく感じる。


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