「CFOコミットメント」1号案件!事業会社3社から資金調達したカラーアンドデコ社の声を紹介
スタートアップ企業向けに資金調達や事業売却などに必要な財務サポートを提供するM&Aクラウドの新サービス「CFOコミットメント」。その第1号案件として、不動産テック領域で急成長中の株式会社カラーアンドデコの資金調達を支援し、2021年6月に株式会社マイタウン、7月に株式会社ムゲンエステート、8月にもう1社と、不動産会社3社による出資が相次いで実現しました。
今回はカラーアンドデコの加藤CEOと山口COOに、サービスを利用いただいた感想を伺うとともに、引き続き同社CFOを務める当社の担当アドバイザーの源を交え、3社との成約に至ったポイントや今後の事業展開についてお話しいただきました。
株式会社カラーアンドデコ 代表取締役 CEO 加藤 望美氏(写真中央)
1978年生まれ、福岡県出身。23歳の時に広告デザイン・WEB制作会社を起業、12年間経営。エンターテイメント企業、女性ブランド、コスメ、アパレル企業などのデザイン・クリエイティブ、マーケティング、WEBサイト制作・運営などに携わる。
2013年、ホームステージング・ジャパンを立ち上げ、「“マーケティング”דインテリア”で不動産売却を高める手法」を日本で初めてサービス提供。実践と理論から日本でのホームステージングを展開し、スクールやセミナー講師としても活動。
株式会社カラーアンドデコ 取締役 COO 山口 真幸氏(同左)
1985年生まれ、東京都出身。ラグジュアリーアパレルブランドに8年間在籍しVMDを学ぶ。その後、大京穴吹不動産へ入社し、流通部門営業職時にホームステージングの魅力に惹かれ、不動産業界・取引時のイメージを変えていきたいと株式会社ホームステージング・ジャパンに営業職として入社し、不動産市場やVMD等をホームステージングに融合させたサービスを積極的に作りあげる。
2019年、加藤氏と新たにテクノロジーを活用した不動産×インテリア革命を起こすため、株式会社カラーアンドデコ設立。
株式会社M&Aクラウド M&A Cloud Advisory Partners 源 道直(同右)
新卒で双日株式会社に入社。資源・エネルギー/不動産/輸出金融も含め広くストラクチャードファイナンス関連業務に従事。その後、M&Aマネジメント室において、化学/資源・エネルギー/不動産/消費財/自動車・機械/社会インフラ/医療セクターのM&Aを担当。また、PMIの制度設計(規定・決裁)にも従事。
一橋大学経済学部卒、公益社団法人日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。
事業会社からの資金調達ってどう進める? トータルな相談相手を求めて
▲カラーアンドデコ 山口COO
――カラーアンドデコさんの事業概要からご紹介ください。主に不動産会社向けに、3DCGやVRを活用したサービスを展開されているそうですね。
山口 不動産会社の広告では、たいてい部屋の図面に室内写真が添えられていますね。でも一般のお客様は、空室状態の写真を見ただけでは、自分が住んだ場合のイメージがわきづらいことが多いのではないでしょうか。そこで当社では、空室の写真をもとに、家具などのインテリアが入った状態のCG画像を作成し、不動産会社に提供しています。これが現在のメインサービスで、2020年1月にローンチし、すでに600社を超える不動産会社に利用いただいています。
――ローンチから1年半で600社はすごいですね。
山口 私たちは今のバーチャルなサービスを始める前に、対象の部屋に実際に家具をしつらえ、モデルルームを演出する「ホームステージング」のサービスを別会社で展開してきた経緯があります。そこで培ったノウハウや顧客基盤のおかげで、垂直立ち上げを実現できました。
加藤 私はインテリアコーディネーターとして、過去3,000件を超える案件に携わってきました。ですから、日本の不動産の間取りは知り尽くしています。
不動産会社の方々とのお仕事を豊富に経験し、業界の事情に通じていることも強みです。不動産業界では、日常業務にまだあまりITが浸透していないのが現状。画像技術を使ったバーチャルなホームステージングは、家具の運送費等を考慮する必要がなく、全国どこでも展開できる一方で、「対面営業」を重視する風潮の強い不動産業界で、どれだけ受け入れてもらえるかが鍵になります。そこで、当社では物件写真という、どこの不動産会社でも使われているものをグレードアップするサービスから始めることにしたんです。
――サービスが順調に滑り出した中、今年4月に当社のマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」に登録いただきました。登録に至る経緯をお話しいただけますか?
加藤 それまでの数カ月間、資金調達のためにVCを回っていた中で、「事業会社に出資してもらい、ビジネスパートナーとしても成長をサポートしてもらう関係をつくるとよいのでは」というアドバイスをたびたび受けてきました。そこで、「当社に出資してくれそうな事業会社ってどこだろう?」と考え、確か「資金調達」「不動産」などのワードでネット検索して、「M&Aクラウド」の募集ページにたどり着いたんです。最初に見たのはある不動産会社の記事で、そこに書かれていた求める会社のイメージが、まさに当社に当てはまる内容でした。他にも不動産関連の会社が多数掲載されていたこともあり、ここなら成約できる可能性がありそうだと感じたんです。
しかも登録後、間髪を入れずに、御社の営業の岡道さんから連絡いただいて。
――岡道とはたまたま以前、プライベートで知り合っていらしたそうですね。
M&Aクラウド 岡道 サービスの新規登録者として加藤さんのお名前が流れてきて、私もびっくりしました。すかさずLINEでアポを取り、久々にお会いしてお話を伺うと、「近々に資金調達したいが経験もなく、ファイナンスに詳しいメンバーもいないので、できればトータルなサポートを受けたい」と。当時、当社の源が構想を練っていた「CFOコミットメント」にぴったりなお話だと思い、すぐに源に声をかけました。
――当時、「CFOコミットメント」は構想段階だったのですね。
源 私はもともとM&Aクラウドへの入社時からスタートアップのファイナンスに携わりたいと考えており、CFOコミットメントのサービス立ち上げを目指して、いくつかの会社にヒアリングさせていただいていたところだったんです。カラーアンドデコさんとの次のアポには私も同席し、詳しくお話を伺ったうえで、具体的なサービスプランに落とし込みました。
――提案を受け、カラーアンドデコさんはどう感じましたか?
加藤 当時、私たちはCFOの役割というもの自体、あまりイメージできていなかったんです。コンサルティングをお願いしたところで、必ず資金調達できるとは限らないですし、正直、かなり迷いました。ただ、自分たちだけで資金調達を進めるのは難しいと感じていましたし、最後は岡道さんに賭けるつもりで、お任せすることにしました。
投資意欲の高い候補先を早速リストアップ。交渉プロセスは基本“お任せ”
▲M&Aクラウド 源
――4月下旬にご契約いただき、早速、候補先にコンタクトしていったのですね。
源 私の方で100社ほど候補をリストアップし、カラーアンドデコさんのご希望ともすり合わせたうえで、当たっていきました。「M&Aクラウド」掲載会社には、加藤さんからプラットフォーム上で打診いただき、非掲載会社には私からアプローチした形です。資金調達に関しては基本、私が前面に出て交渉を進め、先方が事業提携を希望された場合など、状況に応じて、加藤さんや山口さんにも面談に出ていただきました。
加藤 源さんにお任せしている間、私たちは本業に集中できたのでありがたかったです。面談だけでも、何十社とすればそれだけ時間を取られるので。
山口 事業内容や市場環境についても、私たちからはあまり説明していないのですが、源さんはよく研究してくださっていましたね。私たちが出席した面談の際も、随所で的確にフォローしていただきました。
源 ちょうどゴールデンウィークの直前にサービス開始したので、ゴールデンウィークの間、市場環境などは私なりにかなり調べました。冒頭、加藤さんもおっしゃっていたように、不動産会社にとって導入しやすいサービス設計になっていることがカラーアンドデコさんの大きな強みですので、その点が十分伝わるように、アピールの仕方も考えました。
加藤 源さんにはピッチ資料をリバイズしていただいたのも助かりました。特に事業計画の部分で、明確な説明のできる数字に落とし込んでいただけたのは大きかったです。世間でCFOが必要だと言われる意味が今回よく分かりました。
あとは、やはり交渉の進め方が違いますよね。面談の際、私たちはお金の話をどこまで突っ込んでしていいものか読めないんですよ。
山口 やり取りがひと段落して、私たちだけだったら「ありがとうございました」で終わってしまうタイミングで、源さんが発言してくださる。「最後に私から一言」と言って、次のアクションに向けた段取りをつけてくださるんです。
加藤 出資の金額についても、時期についても、私たちはいつ、どこまでお聞きしていいのか判断がつかなくて……。源さんがいなかったら、話はまとまらなかったと思います。
源 一番大きかったのは、やはりカラーアンドデコさんの事業の魅力です。あとは当社の場合、プラットフォームの掲載会社も、オフラインでお付き合いのある会社も、スタートアップへの投資意欲の高い会社が多いんです。かつ、特にプラットフォーム掲載会社に関しては、掲載時点で詳しいニーズをヒアリングできている分、高精度でマッチングできますし、当社の営業メンバーが経営層とのパイプを持っていますので、手厚いフォローも可能です。今回は、出資が決まった3社以外にも、事業提携でお話が進んでいる先もあります。カラーアンドデコさんと相性のいい会社を多数ご紹介できて、本当によかったです。
加藤 交渉が進んでいく間、私たちにとっては初めての経験でしたし、「本当に調達できるのか」という不安が強く、一喜一憂してしまう場面が多かったんです。でも、源さんはいつも落ち着いて「大丈夫です」とおっしゃるので、精神的にも支えていただいたと思います。特に1社目が決まってからは、「源さんにお任せしていれば、うまく進めていただけるだろう」という感覚になり、気持ちがかなり楽になりました。
住空間の選び方をもっと楽しく! サービス規模を一気に広げていく
▲カラーアンドデコ 加藤CEO
――カラーアンドデコさんの今後の事業展開についてお聞かせください。
山口 最近は、不動産テックに対する業界の関心が高まってきたことに加え、昨今の感染症の影響もあり、非対面接客を本格導入しようという動きが強まっています。この機会に、当社の3DCGやVRのサービスを一気に拡大していきたいですね。5年後には不動産業界の国内マーケットシェアの20%を獲得するという大きな目標を掲げています。
ビジネスモデル自体が新しいサービスだけに、現状は人力で回している部分が大きいのですが、今後、取扱規模を拡大していくうえでは、システム化が不可欠です。AIなどを活用して、自動化できるパートは自動化したうえで、重要な部分はしっかり人の手を入れて、クオリティを担保していく。そんな体制を整えるべく、現在、システム構築と人材の採用を進めています。人材はすでに7、8名、運用管理のメンバーを中心に採用しており、今後は営業部隊も増やしていく計画です。
加藤 源さんには引き続き、当社の成長をサポートいただきたいと思い、9月以降の「CFOコミットメント」もお願いしています。当社はまだまだこれから、難しい課題に直面していくと思います。資金周りはもちろん、それ以外の面でも、いろいろなスタートアップを見ている源さんの知見をお借りしたいです。
源 将来の上場も見据えつつ、カラーアンドデコさんの企業価値をどんどん高めるために何ができるかという観点で、今後とも業務提携や資本提携のご紹介をしていきます。さらに、KPI設定などに関しても、お手伝いできれば幸いです。
山口 先日は人材サービスや営業施策などについてもご相談させていただきました。いつも耳寄りな情報やアドバイスをいただけて心強いです。
――カラーアンドデコの事業を通じて、お二人はどんな世界をつくっていきたいとお考えですか?
加藤 住空間の選び方をもっともっと楽しくしていきたいです。ファッションの世界では、ユーザーは服やアクセサリーを好きなだけ試着して、自分に一番合う商品を吟味できますよね。住空間に関しても、バーチャルな技術を活用すれば、いろいろな家具やインテリアを試してみることができる。たとえば、ドアノブなどのパーツを付け替えてみることも簡単にできます。すでに、不動産会社以外に、家具メーカーや建材メーカーからもいろいろなお話をいただいていますので、一緒にさまざまな可能性を追求していきたいです。
山口 3DCGやVRの技術は、将来的には住空間以外の世界にも、応用できるかもしれません。また、当社は国内のクライアント各社からの高度なリクエストに応える中で、磨いてきた画像のクオリティには自信を持っています。いずれは海外の市場にも、このクオリティを届けていきたいですね。
――大きな夢の実現に向けて、当社も引き続き、お役に立てれば幸いです。本日はありがとうございました。