M&AクラウドFA陣が語る、M&Aプロセスをスムーズにする交渉術
こんにちは! 「UPDATE M&Aクラウド」編集部のみょんです。オリンピックやパラリンピックで超人たちの活躍を見ると、同じ人間の持つ才能と可能性の無限さに驚かされます。でも、実は身近なところにも、自らの仕事を極めつつ、すごいノウハウを蓄積している人はたくさんいるんですよね。当社でも、その道の達人たちが大勢活躍しています。
今回は、投資銀行や総合商社などでM&Aの現場を経験してきたメンバーが集まる、M&Aクラウドのプロフェッショナル部隊、M&A Cloud Advisory Partners(MACAP)から、3名が登場。M&Aアドバイザーならではの交渉術を紹介してもらいました。M&Aの最前線で磨き上げられた、それぞれの個性も垣間見えるノウハウは、結構深いです。皆さんにとっても、何かのヒントになれば幸いです!
三浦流交渉術:俯瞰の視点を保ちつつ、関係者のストレスを最小化
▲三浦 健嗣
M&Aのプロセスは、売り手にとっても買い手にとってもストレスフル。大事に育ててきた会社や事業を手放す売り手経営者は、人生をかけた決断を迫られる中、さまざまな悩みに直面します。また、買い手担当者にとっても、売り手からなかなか資料が出てこない、受け取った資料の内容に誤りがあったなどのトラブルが起きれば、責任問題にもなりかねません。
FAとしては、両者がナーバスになることを織り込みつつ、自身はあくまで俯瞰の視点を保ち、ゴールへとガイドすることが肝心です。とりわけ、当事者の中に相手方へのネガティブな印象が生まれてしまうと破談の要因にもなりかねないため、極力避けなくてはなりません。そうしたリスクのある場面、たとえば買い手からのデューデリジェンスの結果、価格が当初よりも下がって出てくるケースなどでは、私は相手方の理屈や状況、主張の裏付けとなるデータを示しつつ、相手方への悪感情がふくらむのを防ぎます。「相手方には相手方の事情がある」と感じられれば、怒りも収まっていくもの。そのタイミングで改めて成約時のメリットを想起してもらうなどして、関係者のメンタルをポジティブに導いています。
福田流交渉術:次の展開予測を関係者にインプットしておく
▲福田 一樹
M&Aは、ほとんどの売り手にとって初めての経験。次の展開が見えづらい状況下で、突然、大量の資料準備が必要になったりします。そこで私は、買い手からのレスポンスを待つ間、売り手が余裕を持って次の準備ができるよう、「今度はこういうリクエストがあると思います」と自分なりの想定を伝えるようにしています。私自身、今一つ次の展開が読み切れない場合には、「たぶんAかBのどちらかです」など、分かる範囲でお話しして不安を取り除きつつ、スムーズなやり取りができるように心がけています。
私がこうした行動を徹底するようになったのは、前職の商社時代の失敗経験から。欧州に駐在する先輩と東京の私の間でやり取りしながら、欧州のお客さんとの仕事を進めていたため、私が中途半端な連絡の仕方をすると、時差の関係でほぼ1日が無駄になってしまう状況でした。「この件も確認する必要があるなら、なぜ昨日まとめて言ってこないのか」と先輩から電話できつく絞られ、ようやく受話器を置くころには腕が固まっていたことも(笑)。厳しいけれどめちゃくちゃ仕事のできる、今も尊敬する先輩の教えです。
源流交渉術:フェーズを進めるトリガーを見極める
▲源 道直
成約に至るまで、通常半年ほどかけて、買い手と売り手間のキャッチボールが続くM&Aのプロセス。間に立つアドバイザーとして、私は常にボールを止めないことを意識しています。そのためには、単に私自身が即レスすることよりも、買い手社内、売り手社内でボールが止まりにくい投げ方をすることが大切。特に買い手の方が決裁に時間がかかることが多いので、次はどんな回答が得られれば決裁のトリガーになり得るのかを見極め、その情報もセットにして、売り手にボールを渡すようにしています。
一般にFA業務というと、昼も夜も即レス!のイメージが強いかもしれません。でも、半年のプロセスの中の1つのパスを一瞬早くしたからといって、必ずしもゴールに早く到着できるわけではありません。特に売り手は経営者が自身でM&A対応に当たることも多く、通常業務も忙しい中でリクエストに応えてもらうためには、できるだけ受け取りやすく、かつ投げやすいボールを渡すことが鍵。常にボールの質を高めることを心がけています。
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