過渡期を迎えるM&A業界で、クライアントの信頼醸成へ。「セカンドオピニオンサービス」始めます
M&Aクラウドの及川です。M&Aをアップデートしていきます。
当社は本日3月31日、「セカンドオピニオンサービス」の提供開始を発表しました。
中小企業庁が2020年3月に発表した「中小M&Aガイドライン」には、M&A支援機関が遵守すべき条項として、「依頼者に対し、他の支援機関に対してセカンド・オピニオンを求めることを許容する」ことが明記されています。
医療業界と同様に、M&Aにおいてもサービス利用者の安心感と納得感向上につながることが期待される「セカンドオピニオン」。しかし、私が日々接している売却検討中の経営者の皆さんから聞く限り、「M&Aのセカンドオピニオン」が可能なことはほとんど知られていないようです。
M&Aの当事者にとって、M&Aアドバイザリー業界にとって、なぜセカンドオピニオンが必要なのか――かつて自ら事業譲渡を経験し、今はユーザー視点のM&Aサービス構築に挑む私の考えを書いていきたいと思います。
M&A業界のサービス品質のバラつきが大きい理由
今、M&Aアドバイザリー業界は、過渡期を迎えています。
潜在的な市場が拡大する一方で、M&Aアドバイザーの人数は追いついていません。アドバイザー数を増やしていくことが、業界全体の課題となっています。
現状、アドバイザリー各社にとっては、アドバイザー数の拡大が売上拡大に直結するといってもよいでしょう。しかし、本来、高度な専門知識を必要とするM&Aアドバイザーは、一朝一夕に育成できる人材ではありません。ここから生まれたさまざまなひずみが、ここに来て表面化しているように感じられます。
何より懸念されるのは、顧客に提供されるサービス品質の低下です。
私自身、売り手の不安な心理は身をもって知っています。多くの売り手にとって、M&Aは人生初の経験であるのに加え、情報の秘匿性の観点から周囲には相談しづらく、参考情報も入手しづらいのが現状です。
つまり、M&A業界では構造上、サービスの利用者側が情報弱者になりやすく、それだけに事業者側のモラルが問われます。
売り手は会社や事業を一度譲渡してしまったら、後になって「もっと相性のよい買い手がいたのに…」「もっと高い金額で譲渡できたのに…」と気づいても、取り返しがつきません。そこで生まれるのは、大きな後悔の念と、利用したアドバイザリー会社に対する深い失望感です。
そんな経験をした売り手が今後増えていけば、M&Aアドバイザリー業界全体に不信の目が向けられるようになるでしょう。そして、M&Aそのものに対する社会のイメージが低下し、活用されなくなっていくとしたら……M&Aをしていれば存続できた、あるいは飛躍的な成長が望めた会社や事業が、そのチャンスを失うことになりかねません。
M&Aアドバイザリー業界にとってはもちろん、M&Aというスキームの普及途上にある日本経済全体にとっても、今は将来を左右する重要なタイミングだと私はとらえています。
「あと少し早ければ…」。売り手対応の現場で痛感
今回、「セカンドオピニオンサービス」の開始を決めた背景には、より切実な危機感もあります。スタートアップ界隈の知人から、他社で進捗中のM&Aに関して、「あまり買い手を紹介してもらえないが、本当にチャンスはないのだろうか」といった相談が私に寄せられる機会が増えているのです。
これに関しては、実は当社の広報活動が至らないためでもあり、私自身、大いに反省しているところです。
当社はM&Aのマッチングプラットフォーム「M&Aクラウド」の運営に加え、アドバイザリー事業も行っており、すでに20名近いアドバイザーが活動中。プラットフォーム活用だけでは不安な方には、経験豊富なプロが伴走する体制も整えているのですが、この点をまだ十分に広報できていないということです。
結果として、他社を利用した方の中で、何らかの課題感をお持ちの方たちが、私に個人的に相談を持ち掛けてこられるわけです。
ただ、非常に心苦しいのは……買い手に独占交渉権を渡した、あるいは基本合意書を締結したといった段階で相談いただいた場合、当社からご紹介できる他の買い手候補がいたとしても、もはやその段階でアクションを起こすことはトラブルにつながりやすく、あまりお役に立てないことが多いのです。「あと少し早く、当社が関われていたら…」と無念さをかみしめたケースが、すでに数十件に及んでいます。
セカンドオピニオン活用は、売り手の権利
こうした相談者の皆さんに、「セカンドオピニオン」の存在を知っているか尋ねてみると、ほとんどの場合、答えは「No」です。
当社では現在、売り手とアドバイザリー契約を締結する際、必ず「セカンドオピニオン」に関する説明を行っています。当事者の皆さんにとって満足度の高いM&Aをサポートすることが、当社に対する信頼感醸成につながると考えれば、当社のお客様が他社のアドバイスも受けられることは、決してマイナスにはならないと考えています。
売り手の皆さんにとって、育ててきた会社や事業の行く末を決める重要な場面ですから、納得の行くまで可能性を探っていただきたい。もちろん、買い手側のタイミングもあるため、時間をかけることが裏目に出ないとも限りませんが、そこはアドバイザーとしてできる限りのフォローを行います。
セカンドオピニオンの許容は政府のガイドラインにも明記されており、その活用は売り手の権利です。当社のお客様、他社のお客様を問わず、すべての売り手に知っていただき、心置きなく活用いただきたいと願っています。
※下の資料に「M&A支援機関登録制度」「中小M&Aガイドライン」のポイントをまとめています。詳しく知りたい方は、ぜひご参照ください。
オープンな環境下で、スピーディーに買い手を紹介
セカンドオピニオン先として当社を活用いただく場合のメリットについても、少しご紹介したいと思います。
第一に挙げられるのは、当社の有する広範な買い手ネットワーク。そして、このネットワークの中核を成しているのは、当社のオンラインプラットフォーム「M&Aクラウド」の掲載企業です。このため、売り手の皆さんにとっても、非常にオープンな環境下で買い手候補のリストアップを行います。
第二に、スタートアップの売り手様に対しては、当社がスタートアップM&Aの世界で培ってきた豊富な知見を活かした候補探しが可能です。
スタートアップM&Aのマッチングのポイントは、いかに買い手の経営課題にフィットするシナジーを提案できるかにかかっています。この点、当社のアドバイザー陣には、買い手目線で売り手の強みを見極めるノウハウに長けた目利きがそろっています。
また、買い手の経営陣と直接つながり、M&A戦略や直近のニーズも把握しているケースが多いため、買い手のツボを押さえた提案手法で、スピーディーなマッチングにつなげられる点も強みです。
一方、事業承継先をお探しの皆さんに対しては、当社独自のアドバイザーネットワークを活用し、承継案件の経験豊富なアドバイザーをアサインすることも可能です。
クライアントファーストを追求したいM&Aアドバイザー募集中!
最後に、当社のアドバイザリー事業部 MACAP(M&A Cloud Advisory Partners)も現在、採用に注力しています。業界の健全な発展に貢献したいとお考えのアドバイザーの皆さん、ぜひ私たちと一緒に、クライアントファーストのアドバイザリーを広めていきませんか? 「クライアントファースト」は、当社ではバリューの一つ(「2nd Priority」)にもなっており、事業運営の根幹を成しています。
なお、M&Aクラウドのプロ集団であるMACAPは現在、「スタートアップM&Aでナンバーワン」を掲げ、IPO偏重と言われる国内スタートアップのEXIT手段を多様化し、スタートアップの活性化に寄与していくことを目指しています。詳しくは、下記の事業部長インタビューもご参照ください。
少しでも興味をお持ちいただいた方は、ぜひ下記からご連絡ください! まずはカジュアル面談で、お待ちしています。
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