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「遠い未来も蝉の鳴き声を」

今年の夏も蝉の鳴き声を聞いた。

早朝四時半頃には既に蝉が鳴き始めている。蝉には鳴く時間帯があると聞く。鳴いて鳴き止んで休んでまた鳴いてという具合に。

よく語られる、地上に出てから七日くらいしか生きられないという悲劇的な側面を持つ生き物故に、可哀想にという気持ちを持つ人が多いかもしれない。幼少期から現在に至るまで、私自身も似たような気持ちを持ち続けてきたひとりである。

蝉の幼虫は何年間も土の中にいる。その数年は長い。一生分の殆どが土の中で、地上に出てきて子孫を残し生命を終える。

考えてみると、生存年数はさておき、子孫を残して命を終わらせる生き物は他にもいることだろう。蝉とは、人間の身近に生息して、鳴き声を轟かせる。ある人は抜け殻を集め、またある人は捕獲しようとしてきた。短期間ながらに残す印象は強い。騒音という人もいるかもしれないが、要は、蝉はおそらく人気者なのだ。

近年、あちらこちらでの開発で、土がある地面が減っている。家主が亡くなるという理由で庭付き(土のある)一戸建てが、駐車場やマンションに建て替えられていく様子を、ずっと見てきた。樹木が切られて地面もアスファルトに塗装されてしまう。もっと広範囲に公園がアスファルトになってしまうのも見た。そこにいた蝉の幼虫達はどうなるのだろうか。考えても仕方のないことをどうしても考えてしまう。蝉に限らず、その土地で生きてきた生き物達がいる。土が減れば燕だって巣作りに困る。様々な方面での悪影響がある。

また、土の上を歩く感触は良いものだ。アスファルトとは違い足裏に優しいのである。

私たち地球上の人間が未来のためにできることは、自然と共存して生きていく方法を皆が考えることだと思う。まず、土のある地面を守りたい。そこにある生命を守りたい。人間だけが良ければそれでいいとは誰も思わないはずだ。自然と生き物との共存で生き抜いてきたのだから、排除し続けるにも限度がある。

最近では夜景を楽しめなくなっている。技術を尽くした高層ビルの明かりに魅力を感じられないことを心寂しく思う。

同じようなことを感じていても諦めて受け入れている人も多い。諦める前に感じたことを言葉にしてほしい。ただ言葉にして発信するだけでも大きな力になると思う。

私自身、人間が自然に感謝して、生き物と共存していく地球の未来を願うひとりであり続けたい。



#未来のためにできること

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