自制の神、『せっせい』現る
たすくは悩んでいた。
たすくの欲しいもの、これを夢の一つとすれば、その実現には費用というものがかかるものもある。その費用には、高低があり、費用の高低が夢の大きさと比例するものとしないものがあるが、概ね比例する。
至近、手に届く夢を実現していては、いつになっても大きな夢が叶わない。あれと、あれを買わなければ、これは買えたな。それは後になって気づくこと。目先の小さな夢に夢中になって、大きな夢を忘れてしまう。たすくの悪い癖である。そうだよな、お金は無尽蔵にあるわけじゃないし、どうすべきか・・・。
その時、たすくの前に自制の神が現れた。神は穏やかな微笑みを浮かべながら、たすくに語りかけた。
せっせい:はじめまして、自制の神、「せっせい」ともうします。
たすく:自制の神か、なんとなく言われそうなことはわかるが、どうしようもないんだよな。
せっせい:「たすく、大きな夢を実現するためには、小さな目標を捨てる覚悟が必要です。人生における目標設定は、しばしば大小さまざまな夢の間で葛藤することを伴います。例えば、100万円の夢と10万円の夢をどう優先するかという問題があります。100万円の夢は大きな達成感や長期的な利益をもたらす一方で、10万円の夢は短期的な満足感を提供します。このような状況で、どのように優先順位を決めるべきかは、多くの人が直面する課題です。
マシュマロテストの教え
1960年代後半から1970年代初頭にかけてスタンフォード大学の心理学者ウォルター・ミシェルによって行われたマシュマロテストは、自制心が長期的な成功に結びつくことを示した重要な実験です。この実験では、4歳から6歳の子供たちに、今すぐ一つのマシュマロを食べるか、15分待って二つのマシュマロを得るかの選択を与えました。結果、自制心を発揮して待った子供たちは、後年の学業成績や健康状態、対人関係、ストレス管理能力において高い成果を示しました。
近年の再評価では、家庭環境や経済状況、文化的背景、信頼の要素などが自制心に影響を与えることが明らかになっています。自制心だけがあれば、成功の要因全てを満たしているというわけではありません。しかし、自制心が成功に寄与する重要な要素であることは変わりありません。この実験から学べる教訓は、短期的な満足感を抑え、長期的な目標を追求することの重要性です。
大きな夢を実現するための戦略
大きな夢(100万円の夢)を実現するためには、小さな目標(10万円の夢)を捨てる覚悟が必要です。特に、限られた予算の中でその配分を慎重に考慮することが重要です。以下に、その具体的な戦略を述べます。
目標の明確化と優先順位の設定
まず、自分の大きな夢が何であるかを明確にし、それが達成されたときの具体的な利益や影響をしっかりとイメージします。その夢が自分にとってどれだけ重要かを再確認し、短期的な満足を提供する小さな目標と大きな夢の優先順位を明確にします。
限られた予算の配分
予算が限られている場合、その配分を慎重に考慮する必要があります。10万円の夢を捨てることで、100万円の夢に向けて資金を集中させることができます。夢は90万円として、近づくわけです。一方、10万円の夢を叶えることは、結果的に100万円の夢が110万円の夢となってしまい、100万円の夢はさらに遠くなってしまうでしょう。
長期的な視点の養成
長期的な目標を追求するための計画を立て、小さなマイルストーンを設定します。これにより、進捗を感じながらも、目先の目標にとらわれずに済むようになります。
自己制御とモチベーションの維持
自制心、つまり我慢する力を強化するために、瞑想やマインドフルネスの習慣を持ちます。また、目標に向けた進捗に対して自分に小さなご褒美を設定することで、モチベーションを維持します。
サポートする人の活用
定期的に現状の進捗を報告し合います。これにより、自分の目標に対する責任感が高まり、長期的な目標達成に向けたモチベーションが維持されます。安易に目先の夢に手をつけることができなくなります。
節制の神の言葉
節制の神は、言いました。「夢をもつことは重要です。しかし、限られた予算の中で大きな夢を実現するためには、自制心、つまり我慢する力が必要です。10万円の夢を捨てることで、100万円の夢に近づくことができるのです。10万円の夢を叶えることは、結果的に100万円の夢が110万円の夢となってしまい、さらに遠のいてしまうという事実を意識すべきです」
たすくの納得
たすくは節制の神の言葉に耳を傾け、深く考えました。そして、自分の目標と予算を再評価し、長期的な視点を持つことの重要性を理解しました。
しかし、頭ではわかったものの、まだ自信がなさそうです。
たすく:捨てるか・・・・。でも、どうしようかなんて迷っている時に、「煩悩」が出てきて、買っちゃえよ、みたいなことを囁かれると、それこそ自制心がなくなってしまうんだよな。
それをきっぱりと拒絶できる、心の強さがあれば良いんだけどね。
そういうときこそ、「せっせい」の神が助けてくれればいいんだけどね。まだ、一人では誘惑に抗えない。
せっせい:そうですね、「煩悩」の神はなかなか手強いから、私でさえも力及ばずという場面はあるでしょう。最終的な決断をするのは、たすく次第ですが、気づかせてあげることは可能でしょう。 また、そういう場面になる前に日常から「煩悩」が出現しない対策を講じる施策のアドバイスはできるでしょう。
たすく:わかった。訓練が必要ということだね。 がんばるよ。