#8 「佐藤可士和の超整理術」が示してくれたこと
「佐藤可士和の超整理術」 佐藤可士和 著(日本経済新聞社)
自分の考えていたデザイナーの仕事を言語化してくれた本。
出会ったのは14年前、前職の百貨店を辞めデザイナーになって8年。自分なりにデザインについての考え方やアプローチがなんとなく見えてきた頃。
曰く、「デザイナーの仕事は整理して課題を見つけること」
それだ!世の中に無いものや誰も見たことがないような奇抜なことを生み出すのがデザイナーじゃないよね?という思いを明快に整理という言葉で示されていました。
「答えは相手の中にある」というのも、相手の中にある(まだ見ぬ)問題点を浮き彫りにして、その解決策もまた相手の持っている中にある。ということを感じていた時期なので、ストンと肚に落ちました。
やっぱ佐藤可士和ってすげーんだぁ
とだいぶ失礼な感想を持ちつつ、あまりつけたことのない付箋なども貼りながら熟読しました。仕事場の整理と断捨離的なライフスタイルについては、見ないふりをしましたが、、
それと自信をもらったのが「それってこういうことですか?」と相手の思いを自分なりの言語に置き換えて聞き返す。というところ。
相手の考えていることを聞き取って、咀嚼して、自分の言葉として相手に伝える。すると、そう!そういうこと!となる時もあればうーん、そうじゃなくて、、となることもある。
これを繰り返すことで、相手のイメージと自分のイメージをすり合わせるのです。
この作業は本当に大事で、スタートのズレが着地点ではとてつもなく遠くなってしまったり、相手がこちらのデザインにも、相手自身の思いにも納得ができなかったりするのです。
だから、できたものに対して、なんか違うなと言われるようなら、この作業がうまくいってない証拠。
実はこれ、百貨店建装部時代の師匠から学んだ技術です。師匠はものすごくよく喋る女性で、当時の周りの男性陣が、影で「よく喋るおばはん」的な揶揄をしていました。
でも、そういってる男性上司は自分のデザインを全然相手に伝えられないし、相手と自分の方向性がすりあってないことをお客さんとの相性で片付けるような言い方をしている。
一方僕の師匠は、マシンガントークしながら、逐一それはこういうことですか?と聞き続けていたのです。当然お客さんとの意思疎通はできるし、結果お客さんにすごく満足してもらえる。
ああ、デザイナーってこういうことかとおぼろげに感じ、早くから意識して真似していた行動でした。
この本で全く同じ様な表現で書かれているのを読んで、すげーアートディレクター(笑)に正解!といってもらえたようで、嬉しかったです。
佐藤可士和さんに感謝!
まだデザイン思考という言葉など聞いたこともない時代だったけど、この本に出会ったおかげでデザインの捉え方をいち早く決定づけてくれた本です。
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