「利根川の思い出」
まん丸な まん丸な 真球のような石
そんなものが ないのか
と
利根川の川原を 探し歩いた
川砂の中には コブシ大から 持ち上がらないような大きな岩まで埋まる
楕円形の石はあるけれど
球のような石は 見つからない
まん丸な 本当にまん丸な
手の中に入るくらいの そんな球のような石ころ
それがほしくて 歩いて 探して
もし見つかったとしたら
ぼくは 小さな幸せを見つけたように うれしくなるだろう
でも そんな石
どれだけ歩き回っても いつもなかった
角のとれた 中途半端な丸っこい石を手につかみ
ぼくは川面に投げ捨てた
きっと 朔太郎も
そんなことをしたに違いない この川原で