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What a wonderful world

旅の話をしようか
旅といっても クルマに乗っての話さ

クルマ そこに飛び乗った瞬間から 旅だよね
日常空間から切り離された ひとりの世界

1986年夏 25歳の夏
35年も前だね
その夏も 僕は童貞だった
正確にいうと
素人 それがアタマにはつくんだけど

20代も半ば
その夏も そこから脱したいと
強い願望 抱えながら ね
いつも
ホンダ ワンダーシビックの
ハンドルを握ってた

前の年、大学卒業前に親が買ってくれた クルマ
パワステ パワーウインドウもなく オートマだったけど 3段変速
ハンドルが すごく重くて
発進時には とくに重かった
キーを回してエンジンかけ よいしょ よいしょと ハンドル切ってた

CDのカーオーディオはあったんだろうけど 手が出なかったかな
カセットデッキとラジオがついた
カーステレオ
レコードからダビングしたカセットテープやらミュージックテープを何十巻も載せてたっけ

そのころ聞いてたのは
ドアーズ L.A.ウーマンだったな
チャーリー・セクストンのミュージックテープはダッシュボードの上で溶けちゃったっけ

世間の同世代が 社会人二年、三年目ってときに
僕はひとり旅 毎日シビックのハンドル握って ワンダーな夢を追いかけ

ひとり旅 してた

一年きっかりで地方銀行を辞め マスコミに再挑戦 その夏も四苦八苦の日々だった
いくつか試験を受け いくつかは途中まで行き 全部落ちて
来年 道新でも受けるか
って
そんなときに 中途募集していた新聞社にもぐりこんだ
それから34年も…きょうまでしがみつくとは…
なんと ワンダーな 月日 ワンダーな旅 だったんだろ

夢を追いかける気持ちだったけど
ホントは
早く アレから卒業したかったんだ
それには さらに数年かかったな テヘヘ

そして 今も
今の 年齢に応じた
旅をしてるつもりだよ

ハンドルは握ってないけどね


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