「見つめられて」
カメラが見ている ぼくを見ている
電車内 LEDライトのはじっこに
目立たない黒ケース 奥に防犯カメラが仕込まれ
乗客のひとりである ぼくを
しっかと見つめ 記録している
監視されていることに
平気な人が増えたのは なぜなんだろ
カメラは「悪い」人を捕らえるため
それに一番役立つ 一番いい道具だ
と
みんながみんな そう知ってしまったから
カメラは音もたてず レンズの存在も感じさせず じっと冷ややかに
人の群れの中に存在を消し
ひたすら ぼくらを見つめ 記録する仕事をしている
かかるのはわずかな電気代くらい
人の手 人の目を介さずに
カメラは厄介者を記録して
きっと何千何万人の中かから
ほんとうに「悪い」人をあぶり出す
その仕事を成し遂げる
ぼくは人の群れの中で 普通にしているだけ
そう そうなんだけれど
何だか息が詰まるのは マスクのせいだけじゃないよね
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