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Photo by
azumimusuhi
「においの記憶」
すっかり 暑さは消え
夕ぐれの冷たい風が
鼻腔をくすぐる
その風が
稲わらを燃やすにおいを運ぶ
都内で米など作られてはいない
何十キロも離れた
北関東や千葉の水田地帯から
そのにおいが届くのだろうか
風向きによってはそうかもしれない
東京から遠くとおく離れた
田んぼの野焼きの煙が
確かに届くのかもしれない
ぼくの鼻はそれを
敏感にかぎとるのか
それとも
遠いとおい記憶が
それを呼び覚ますのか
誰もそんなこと
話題にしないけど