
「本当のファイター」
照明がともり 観客はゆらゆらと席を立つ
1時間40分あまり やや短い映画
無言でゆっくり出口に向かう客の流れに
ぼくは
「つまんねーーーー!」
と
叫びたくなる感情を抑えた
脱北した若い女性 ソウルで息苦しさを感じながら 「拳」ひとつ その人間性を再生していく―
と 思ってスクリーンに向かったが
本来 深く濃く描かれるべき
彼女の生きざま 感情…もろもろのどれも
味薄く 底浅く 動き乏しく
すべてが平板 淡々とした描写
シニア料金1200円での鑑賞
カネ返せとは言わない
時間返せ
と
見終わった直後に思った
だが しかし
人のリアルな生活に 大きな事件は起きない
脱北―人生最大のイベントをへて韓国に渡った女
過去を切り離し
ソウルで生きる
その姿を 日常として示すことに意義がある
と
監督 スタッフらが考えた――
そう考えなおすと これは素晴らしい作品ともいえ
韓国映画界 エンタメ界は底知れぬ力を持つのかも