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■90歳が詩で描く世界

「詩集」を読んで 谷川俊太郎(6) 不定期刊

「虚空へ」 (新潮社、2021年9月刊)、「詩に就いて」(思潮社、15年4月刊)。

図書館に並んでいた2冊を一気に読む。新刊本は、新聞の書評で取り上げられたりしていると、すぐに借りられてしまい、予約しても何人も先客がいて何か月も待たないといけない。しかし、詩の本はそれほど人気がない。前者のほうは谷川詩集の最新刊のひとつだが、すぐに借りられた。

見開きページに、3-4行、4連、合わせて14行という短い詩が並ぶスタイルが「虚空」。今月15日に御年90となり、卒寿を迎えた筆者の枯れた境地が、両詩集とも描かれている印象。
「虚空」は2020年から21年にかけて雑誌などに掲載されたものをまとめている。

特段これがいい、という詩があるわけではないが、それぞれに味わいがあると感じる。
90…いつ死んでもおかしくない人が書く詩がどんなものであるか。
そういう興味を持って読んでみてもいいんじゃないだろうか。
ギラギラしたものや、脂っこさなんていうものはない。まったくない。当たり前だが。
谷川が自身の五感の反応を静かな口調で、詩の形で説明している。

国からの栄典には背を向けてきた谷川俊太郎の、ある意味格好良さが出ているんじゃないだろうか。
現代詩体験歴1年の僕が評するにはまだまだ…か。

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