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■大ヒットメーカーが影響を受けた現代詩人は?

「詩集」を読んで 渡辺武信(4) 不定期刊

ルビーの指環・木綿のハンカチーフ… 松本隆作詞50年(記事本文は有料会員のみ読める)という記事を先日、日経新聞で読んだ。
記事中、松本隆が20代のころ、50年前に影響を受けた詩人が渡辺武信である、と知る。

まったく初耳の詩人である。
思潮社の現代詩文庫にも2冊ある人なので、普通に現代詩を読んでいれば出合う人、詩人なのだろうが、「現代詩歴1年」の僕には初めて引っかかる詩人だった。
で、図書館でその現代詩文庫の正続を2冊借りて読む。
正のほうは初版が1970年刊、続のほうはなんと30年以上たった2007年刊である。
渡辺については、wikipediaをご覧いただくとして、詩人としてはずーっと書いてなかった人のようだ。映画評も書く人というが、専門がB級の日本映画(60年代のやくざもの)ということで、少しは映画のことを知っていると自任してきた僕も知らない、映画評も読んだ記憶のない人。
渡辺は東大工学部出の建築家という点で、立原道造と共通…というのはご本人も詩文庫内で書いてはいるが、夭折した立原には…多分遠く及ばないだろう。
僕に言わせれば、この渡辺の詩の多く、ほとんどは彼が20-30代に書いたものだが…それらが今に連なるわけのわからない多数の現代詩の中のひとつにすぎない、いやそれは言い過ぎか。まあ、普通の現代詩と言っていいような内容である。
もちろん、当時の戦後復興、経済成長の半面にあった日米安保闘争などの世相混乱下という時代状況で若者の清新な気風が複雑に、格好つけて描かれているものは多い。

それのどこが、ちょっと変わった視点で俗っぽく思わせないフォークロックから歌謡曲まで膨大なヒットソング、歌詞を書き綴った松本に影響を与えたのか、がピンとこなかった。

同時に、松本が1975年に発表したエッセー集「微熱少年」(2016年立東舎文庫)も読んだが、う~ん、という感じ。20代前半にすでに「はっぴいえんど」でびっくりするような世界を築いていた松本も、つまらないエッセーを書いたもんだ、と。

詩と現代詩と歌の歌詞とは似ていて、やはり違うのかな…。
まあ、それぞれに自分の好きなもの、心揺さぶられたり、共感できるものがあるし、作家もすべてが悪くもないし、すべてがいいということもない。
それぞれ…ということなんだろう。
渡辺の詩にも、書き写して参考にしたい、と思うものがいくつもあった。実際に書き写してみた。

そう、みんな違って、みんないいってことにしておこう。

もうひとつ、現代詩の世界には、この渡辺のように「正業」があり、その片手間に書いている人が多い印象だ。ほとんどが大学教授とか研究者の類だが。
破滅型、無頼の詩人というのがいるんだろうか。その点で、存命の現代詩人の多くが安全地帯からワケのわからない言葉を綴っていると思ってしまう。

ただ、僕は現代詩、現代詩人についての知識がまだ不足しており、一面しか見てないんだろうね。


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