【詩への思い詩】「石垣りんの誕生日」
2月21日 1920(大正9)年
東京・赤坂に生まれた
詩人・石垣りん
生きていれば きょう104歳
2004(平成16)年 12月26日死去 享年84
今年は没後20年である
自分の生きた道筋
生活の中で見聞きしたもの
働くことから感じたこと
――彼女は高等小学校を出て
14歳から55歳の定年まで
日本興業銀行(現みずほ銀行)で働いた
旧興銀は 東大法学部の学生が
大蔵省をけってまで就職したという銀行だ
彼女はそんな職場に40年以上働いた
どういう環境の中であれ
素直な筆致で 気持ちをつづり続けた
私はそう思い
目標にしている詩人のひとりとして挙げる
高名な現代詩作家・荒川洋治が石垣について言った
「自分の思ったことが
そのまま詩になる
力を持った人だ」
と
「そんな人はほとんどいない」とも
なるほど……
私も
自分の思ったことを
そのまま言葉として記している――つもりである
だが 「よく考えて書け」と
ご指導をいただき続け 未だ力及ばず
このほど
大きな賞を受けた荒川がいう(2月21日付朝日新聞)
「詩は詩ではない」という気持ちで書いている
「短編小説として
短歌 俳句として エッセーとして
新聞記事として
批評として読んでもらっていい」
インタビュー記事は
「――『読みたくなかった』と
思われるくらいの何かを残したい」
という言葉で結ばれる
よい詩が書けないという悩み
書き続ける先に答えがあると信じる
石垣の写真:現代詩手帖特集号(2005年刊)表紙
荒川の写真:朝日新聞デジタル