【提出詩】「昼休みのスケッチ」
東京・蔵前
昼休みに春日通を歩く
向こうから人が来る
見た目30代くらいのサラリーマン
股間に何やら白いものが見える
あー 全開だ
ズボンの前から 白いシャツが見える
やっと時計が回っての 昼休み
男は職場からランチにでも出る途中か
かばんもなく 手の中のスマホを
にやつき顔で見ながら歩く
すれ違いざま
ぼくは すいません―と声をかけた
「前 開いてますよ!」
いや
「社会の窓 開いてますよ!!」
そう言った 社会の窓 だ
男は
あっ という表情になり
小さく すいませんと返しながら チャックを上げた
一瞬のことである
そのまま行き違ったが
彼は 振り返ることもなく 歩いていった
善行したなあ