【とやままちなかコンシェルジュ】まちの人々 vol.5
大切なことはまちなかが教えてくれる
(株)富山市民プラザ本社事業部
森野かよ子さん
富山市の「まちなか」と言われる総曲輪(そうがわ)エリア。
今でこそ、郊外の大型ショッピングモールに人が集まるといった地方都市にありがちな光景が見られる富山市ですが、かつては総曲輪が中心繁華街として賑わいを見せていました。
総曲輪が1番華やかだった時代に幼少期を過ごした森野かよ子さんは、総曲輪生まれ、総曲輪育ち、そこから進学、就職を経ても一度も市外に出ることはなく過ごしてきた、生粋の富山っ子。
現在はまちなかに拠点を置くまちづくりの会社で働いています。
まちに住む人、まちで商売を営む人、まちに来る人、まちを出ていく人…。
日々暮らす中で総曲輪のまちの風景や人々が行き来する姿を観察し、子どもながらに、まちなかの本質とは何か、まちなかで生き抜いていく力とは何か、肌で感じながら育ってきたという森野さん。
そんな子どものころの経験が現在のまちづくりの仕事にも直結しているそう。
「どうしたら総曲輪商店街に人が来るか」「あの商品は売れる、売れない」ということが友達との日常会話にあったというほど、商売的な考え方が子どものころから自然と養われ、世の中のマナーやルール、多様性や受容性、自分の好きなもの・嫌いなものを見極める力も、すべてまちなかが教えてくれたといいます。
森野さんは、富山市民プラザまちづくり事業部の統括マネージャー(※取材当時)として、富山市の農産物を集めた直売所「地場もん屋」やイベントスペース「グランドプラザ」など、まちの賑わい創出事業を担当しながら、まちを見つめ続けています。
そんな森野さんが感じる「まちなかで働く醍醐味」とは、そこを自分が主役のステージにできること。
多様性や受容性があり、画一的ではないからこそ、自分のこだわりや伝えたいことを示すには最適な場所なんだと、森野さんは話します。
では、森野さんがまちなかで表現したいこととは…?
この問いかけにこう答えてくれました。
「世代や立場の分け隔てなく、“価値観”で括った動きのあるまちが面白い、ということを伝えたいとイベントを企画したりしています。多様な人たちがつながって、新たな意識が芽生えていけばいいなと思っています。」
生まれたときから見てきた、“いろんな人が自由に自分を表現できるまちなか”は、今は少し落ち着きすぎていると感じているそう。
もっと多様な人が起業したり何かを企画したりする素地がまちなかにはあるということを伝えていきたい、と力強く話してくれました。
―あなたにとって“まちなか”とはどんな存在ですか?
「消費だけではない、文化・教養を取り入れることができる場所です。その人の目に入っていないだけかもしれない魅力がまちなかにはまだまだたくさんあると思っていて、人々に新しい発見を促すのが私の使命だと思っています。」
「まちなかで働く醍醐味。まちなかで生き抜くこと。子どものころから、まちなかで働く“かっこいい大人”たちの姿を見て育ってきました。そのころから変わらない、普遍的なものを次の世代にも伝えていきたいなと思っています。」
まちづくりの仕事のほかにも、「総曲輪ハーブの会」として、年に数回、リース作りなどのワークショップなども開催している森野さん。
なんとこの団体は、小学校時代の友人たちとともに結成したのだそう。
「まちなかでは庭のない家がほとんどで、多くは持たずに、本当に自分たちに必要なもの、好きなものだけで生活したいという意識を持っている人が多いんです。
ハーブの会も、大自然でのアウトドアまではいかないけど、公園なんかの作られた自然に触れる程度が好き、というまちなか育ち特有の嗜好を持った人たちで集まっている感じ(笑)。」
まちなかで暮らしたことがない私からすると、目からうろこのお話が次々と飛び出てくる森野さんとの会話。
まちなかではどんな暮らしがあるのか気になった方、まちなかで生き抜くヒントを知りたいと思った方はぜひお話を聞いてみてくださいね。
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