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「bc-lifeセルフチェックキャラバン隊」 KON-KON! おじゃまします(9)

まちスポ大津スタッフが今聞きたい人にインタビューをする“とびだす!KON-KONおじゃまします”!2022年度から開始した活動の、取材先第7号を掲載します。
2023年9月9日(土)まちづくりスポット大津では、健康を目的に活動されている個人及び団体による、啓発活動・展示及び交流会「まちスポ保健室」を開催することになりました。
参加団体の中から、今回は乳がん啓発に取り組まれている「bc-lifeセルフチェックキャラバン隊」の代表 田中和美さんにお話を聞きしました。(以下、敬称略)
2023年7月14日にお話を伺いました。


活動のきっかけ

まちスポ:活動名「bc-life」の由来を教えてください。
田中:がんを経験した私たちの生き方~セルフチェックを通して人と出会う旅~を表しています。
まちスポ:活動をはじめられたきっかけを教えてください。
田中:私自身の乳がんの経験からです。
“がんは遺伝性!身内にいないから”と誤った認識で“私は絶対がんにならない!”と検診に一度も行ったことがありませんでした。
ある日、お風呂で左胸にしこりを発見、“これは?まさか?”とクリニックへ。診断は乳がんでした。“なぜ?私なの…”。
悲しい感情を持つ時間すらない状況で、看護師の友人から適切なアドバイスで病院を決め、手術、治療は半年で終わりましたが、進行性・悪性度の高いがんのため一年後に再発の可能性があることを伝えられました。
幸い再発なく社会復帰の時、“私は周りのアドバイスに救われたけれど、誰もがアドバイスをもらえるわけではない。私が相談できる存在になれないか?”と調べ、「ピンクリボンアドバイザー※」の存在を知りすぐに受講。その時の“人”との出会いから、がんを経験した私だからできる活動を始めようと思いました。

代表の田中和美さん(左)と中原なおみさん(右)

※ピンクリボンアドバイザーとは、医師による日本初の乳がん啓発団体「認定NPO法人乳房健康研究会」が運営する認定試験を修了して登録されるボランティアアドバイザーです。乳がんの正しい知識を身に着け、検診や早期発見の重要さを広げることを目的とされています。

乳がん啓発活動の展開

まちスポ:どのような活動から始められたのですか?
田中:乳がんは、早期発見・早期治療で9割が治ると言われています。
はじめは身近なご近所の方を誘いお茶会で乳がんについて話すことから始めました。触診モデルの購入後はマルシェに出店し、乳房のセルフチェック活動をしました。

道具を使ってセルフチェックを体験できる
啓発活動「リボンカフェ」での様子
ひとり1人に語りかける

まちスポ:セルフチェック以外にもいろいろな活動をされていますね。
田中:はい、入浴着普及活動・乳房パット作りの他、「くらしの保健室」を開催しています。
乳がんで胸を切除している方用の入浴着があることを知り、私も購入して温泉で着用したのですが、日本では入浴着のことはあまり知られておらず、周りの視線がすごく気になりました。
当事者より周りに入浴着を知ってもらう必要性を感じSNS発信や、入浴場でポスターを貼ってもらうなどの普及活動をしています。

啓発活動での入浴着の展示

まちスポ:乳房パットとはなんですか?
田中:手術をしたばかりの傷は肌着にあたると擦れて痛いので、肌と下着の間にふんわりとした生地のものを入れると良いと聞き、手作りで乳房パッドを制作しています。
病院に置いてもらい、治療中の方が目にすることで「ひとりではない。他の方も頑張っている」と勇気をもってもらいたいと思っています。

乳房パッドづくりはボランティアも募集中

まちスポ:くらしの保健室とはどういう機会でしょうか。
田中:この活動は、東近江市の図書館の場所をお借りして、がん治療中の方や家族、応援者を対象として月1回、リボンカフェを開催しています。始めたばかりですが、毎回参加者があり、誰かに話を聞いてもらうことは心のケアになると思い、開催しています。

活動のひろがり

まちスポ:活動を続けて変化はありましたか。
田中:個人活動が5年、2人での活動は2年になります。 
SNSが目に留まり東近江の女子硬式野球チーム「東近江バイオレッツ」より連絡があり、「ピンクリボン活動を予定しているが選手はよく知らないので講習をしてもらえないか」と依頼がありました。一人では不安があり、講習会で知り合ったピンクリボンアドバイザーの中原さんに協力依頼したことがきっかけで、お互いの地域での活動の開始、女子野球チームとのイベントに参加することができました。

取り組みを通して伝えたいこと

まちスポ:活動で大切にしていることはなんですか?
田中:「正しい情報を得る。正しくがんを知る!」ことです。氾濫するネットや報道情報で一喜一憂せず、がんになっても自分らしく生きる経験者が多いことも知ってもらいたい。乳がんは男性にもある病気です。家族で知ってもらうために子どもがワークショップする横で触診モデルを体験、楽しみながらセルフチェックをしてもらい、自分の健康な体の状態を知る大切さを伝えています。
もし、がんになった時は私たちのような活動をしている経験者がいることを思い出してほしい。相談できる場所を知ってほしいと思っています。

啓発活動「リボンカフェ」での様子
啓発活動「リボンカフェ」での様子

今後の取り組みについて

まちスポ:今後の展望について教えてください。
田中:子育て世代に向けて、紙芝居を制作し「やさしいがんのお話」の出前授業をしたいと思っています。子どもは大人が思っている以上に理解ができますし、この活動を知ってもらい、1人で悩むことのないようにしたいです。また、がん患者や家族のサポートとなる事業を実現できればと思います。
治癒して10年、命には時間の限りがあることを教えられました。
誰もががんになる可能性があります!
大切な家族のために自分の体に向き合ってほしいと思います。
まちスポ:経験したからこその心のケアや必要な情報の伝達ができる活動であると感じました。自身の健康は家族の幸せ!「正しい情報」をまちスポから今後も一緒に伝えていきたいと思いました。貴重なお話しありがとうございました。

2023年7月14日にお話を伺いました。
※写真提供  bc-lifeセルフチェックキャラバン隊

👉KEYWORD!「乳がんとは」

乳房内の組織“乳腺”にできるがんのことです。2019年には日本人女性のおよそ9人に1人が乳がんと診断されるなど、女性がかかるがんの中でもっとも多くなっています。ですが、早期に発見された場合、90%以上が治るとされており、「ピンクリボン」で知られる乳がん早期発見啓発活動の推進や、定期的な乳がん検診の推奨、セルフチェックの普及などの取り組みが行われています。女性と比べてまれですが、男性にも乳がんになる方もあります。

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