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少女の繊細な成長物語|台湾映画『アメリカン・ガール』
台湾映画『アメリカン・ガール』を鑑賞しました。 2021年の第34回東京国際映画祭で上映された作品で、現在はNetflixで鑑賞することができます。
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この noteでも、台湾映画『瀑布』や香港映画『花椒の味』などをメモしていますが、本作『アメリカン・ガール』を鑑賞して、やっぱりわたしはアジア映画の雰囲気がとても好きなんだなと、改めて感じます。
映像から伝わる温度というか湿度みたいな、アジア特有の水分を含んだ空気感が好きなのかもしれません。
『アメリカン・ガール』のストーリー
『アメリカン・ガール』は、母の病のため、アメリカから台湾に帰国した少女とその家族の物語です。新しい環境になじめず悩む13歳のフェン。そこに追い打ちをかけるように、SARSの流行が大きな混乱を巻き起こします。
中国語が不自由で、親友はアメリカにおり、自宅のインターネットは回線が遅く(これは子どもにとってかなり重要な問題)、趣味の乗馬もできない。母親は辛いガン治療で穏やかではないし、父親は出張が多く、幼い妹もいる。
自分の行動範囲が限られてしまう思春期のもどかしさ、家族とうまくコミュニケーションがとれず、思ってもいない言葉で傷つけてしまう。そんなヒリヒリ感を感じながら鑑賞していました。
この感じ、子どもの時に多くの人が感じたことのある、普遍的なヒリヒリなのではないかなと思います。共感度がすごい。
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わたしは何不自由なく育ててもらい、家族との関係も全く悪くないのですが、それでも地方出身ゆえに、早く大人になって自分で使えるお金を持ちたかったし、好きな場所で好きなことをする生活がいいなと思っていました。
子どもの時にきっと誰もが思うことですよね、今思えば贅沢な悩みだったなぁと思います。
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特に大きな事件が起こったり、最後にドラマティックなイベントがあるような作品ではないのですが、この映画で流れる空気が好きでした。
きっとフェンは大人になって、たくさん喧嘩したお母さんの愛情に気づくのだろうなと思います。それは、お母さんがちゃんと愛してくれているから。
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▼▼『アメリカン・ガール』に登場するごはん▼▼
お父さんのケチャップ味の卵チャーハン
お母さんが手術・入院している時に、お父さんが作るのがケチャップ味の卵チャーハン。理由は語られませんが、お父さんはアメリカに一緒に行っておらず台湾に残っていたようで、姉妹との関係は少しぎこちないです。
そんな中でケチャップ味の卵チャーハンを作るのですが、実は妹はケチャップが嫌いで食べようとしません。お母さん不在の中で、娘の好みも分からないお父さんが、一口も食べようとしない妹に怒る食卓は、決して楽しい感じではなかったですが、この家族の今の状態が非常によく分かるシーンになっていたと思います。
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スエンセンズ アイスファクトリーの大きなパフェ
お母さんがアメリカを恋しがる姉妹を連れて行くのが、スエンセンズ アイスファクトリー。「ここのアイスが何より恋しかった」と目を輝かせる姉妹の前には、大きなパフェが3つ〜4つ登場します。バナナパフェに、マシュマロやアイスもたくさん乗って、まさにアメリカンな巨大パフェ!
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わたしは「スエンセンズ(SWENSEN'S)」を知らなかったのですが、かつては日本でも展開していたアイスクリーム屋さん。少し調べていると、タイでは今もアイスクリーム最大手だと書かれているブログを発見しました。
お粥と肉鬆
台湾らしく、お粥を朝ごはんで食べるシーンがあったのですが、肉鬆のような茶色いものを振りかけていました。「肉鬆(ローソン)」とはお肉でつくった“でんぶ”のことで、本作のようにお粥にトッピングしたり、いろんな料理に使われるものです。
わたしは台湾のおにぎり「飯糰(ファントァン)」を食べた時に、中に入っていたので存在を知りました。日本の「ふりかけ」とは全く違ったもので面白いです。
▼あとがき
本作は2003年を舞台としており、SARSの流行が描かれます。奇しくも現在と同じように皆がマスクをして警戒し、ストレスフルな生活を余儀なくされます。
そんな時、家族だからこそ衝突してしまうこともあると思う。本作は13歳の少女の成長をフォーカスしますが、もしかしたら、今を生きる様々な世代に刺さるものがあるかもしれません。
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台湾映画、やっぱり大好きだなぁ。
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