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センサーをなくす
ドライヤーが壊れた。
まさか3年経たずに壊れるとは。
先代のドライヤーは安物で、10年ももった。
さらに、壊れていないのに買い替えた状態だったので、今回の短さに、まさかと最初は信じられなかった。
このドライヤーはいわゆる高級ドライヤー。
値段を考えると簡単に捨てられず、今は、壊れたものをだましだまし使っている。
どういうわけか、プラグから10センチあたりのコードを押すと動くので、使う時は、足で踏んでいる。だいぶ品がないけど(笑)
高級だから、美しい髪をつくるためのイオンがたっぷり出たり、温風が高温も中温も選べて、冷風も出て、さらに、強弱も。それらを組み合わせたドライのモードがいくつもあって機能たっぷり。
それに比べて、先代のドライヤーは、HOTか、COLDしかなく、それ以外の機能は強弱しかない、シンプルなものだった。まるで頑固な職人のよう(笑)
高級品、あれやこれや機能が多すぎると壊れやすいのかもしれない。
昔、ビデオとテレビが合体した「テレビデオ」があった。
他の人から「テレビとビデオは別で買った方がいい。機能が多いと壊れやすいから」と言われたことがあった。実際、壊れやすかったようだ。
テレビはテレビ、ビデオはビデオ。そうやって買った方が、長持ちする。
機能は複雑でない方がいい。
ドライヤー。
乾かす目的だけだけど、機能がありすぎるとこんなにも簡単に壊れるのか。
今ではコードを押すだけではなく、勝手にセンサーがおかしくなって、モードがどんどん切り替わる。壊れ方が進行している。
その度にOFFしてON。リセットしているが、どうやら本当にお別れの時が近いようだ。
寂しいが、何か大切なことを教えてくれた。
私も、昔を思えば、強いこだわりがあり、思いがあり、いろんなことを気にしてとてもセンシティブな人間だった。だから壊れやすかったのだと思う。
簡単なことで凹んでいたな。
この高級ドライヤーのように、人間にもいろいろセンサーがありすぎると、壊れやすいのかもしれない。
一方で、今の生き方は、とてもシンプルになった。
昔のような、過剰な繊細さはない。今は明確なものがあるから壊れにくい。
まるで、温風と冷風しかない、先代のドライヤーのようだ(笑)
心もセンサーが多ければ多いほど、反応してしまうから、疲れるし壊れる。
シンプルなドライヤーのように、センサーをそぎ落とす、なくす、あえて存在しないものとする。そういうことも大切なのかもしれない。
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