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絵を描く意味
なんとなくで十数年ほど気が向いたときに絵を描き続けて、最近考えるようになったことを在り来たりかもしれないけどここに残しておこうと思います。
最初の頃は単純にほめられるのが嬉しくて、自分の絵を見て喜んでもらえることが嬉しくて絵を描いていました。自分に自信が持てるものといえば絵くらいしかないかなみたいな感じで。
芸術系に進学したいっていう気持ちはどこかであったもののやはり色々と難しく、普通の4大に入り自然環境とか建築とかまちづくりについて広く浅く学びました。そこで出会ったのが、建築や街並みの立面・平面のスケッチでした。演習で大学付近の旧街道に出向き、約20人ほどで1人1軒ずつ担当しフリーハンドでファサードをおこしていく。完成した立面図は縮小コピーして、繋げ合わせ連続立面図へと仕上げる。描き上げた立面図に、色ペンでディテール寸法を加筆していくひとコマもありました。それをきっかけに、それまでなんとなく風景の絵を描いていたのが、空間を読み解いて、記録して、伝えるための絵、みたいなそんな意味合いにシフトしていきました。
在り来たりで、どこにでも溢れていて、見落とされてしまうような景色でも、絵にすることで、絵というフィルターを通して表現することで関心を持ってくれる人もいる。そんな出来事に触れたときは嬉しかった。
絵とか歌は、今っていう漠然としたものを表現、記憶して忘れ去られないようにする、みたいなそんな意味も持っているような気がします。日常とか当たり前すぎて気づかないようなことでも、絵とか音楽っていうフィルターを通して、色や線や言葉や音符として表すことで、その価値や大切さに気づくことができるんだなと、そんな事をつくづく思いました。