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『正体』

『正体』染井為人
一家惨殺の罪で死刑囚となった少年が脱獄し、様々な場所や職場に潜伏しながら話が進んでいき、最後にはタイトル通り「正体」にたどり着くストーリー。

※以下ネタバレあります。

最後まで読むと分かるのだが、この小説のテーマは「冤罪」。
少年は潜伏しながらも、自身の無罪を訴える準備をしつつ、周りの人々を助けてきたのだ。最終章では助けられた人々が、殺人犯としてではなく、1人の人間として関わっていたことがよく分かる。しかし、殺人犯という肩書きは勝手なイメージを植え付ける。肩書きというものは厄介だ。
かなりの偶然なのだが、この小説を読み終えたあと、Netflixで「Winny」を観た。冤罪とは少しずれてくるが、似ている部分が多く、考えさせられてしまった。国家権力が敵とされるストーリーが最近増えてきてると感じてしまうのは、私だけだろうか?
どちらの話も、当事者は死を迎えている。
そして、死ぬまで信念は曲げていなかった。

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