まず、近くにいる大事な人を大切にする。
たまプラには、私の11歳の誕生日に引っ越してまいりました。それから、私は途中出たり入ったりしていますが、実家はずっとここにあります。18年ぐらい前から、両親と兄の家族と3家族10人で同居を始めました。みんなそれぞれ個性豊かですし、かなり遠慮なくぶつかり合う感じですが、子どもを育てるときに、親だけじゃない大人がいる家庭で育てるってすごく大事だなっていうのをつくづく感じました。そんな家族って、私にとっては生きるエネルギー、活動する力の源って感じでしょうかね。居場所作りとか、自分の居場所があることが大切、なんてよく言われていますが、本当にそうだなあって思います。ここにいれば安心、みたいな安全地帯、なんかそういうところがあるっていうのは誰にとっても大切なことなんだろうな、と。
そんなこともあって、今やっている活動で、「まちぐるみの子育て」というのがあるんですが、実際に子どもを育ててる人だけじゃなくて、子どもに直接関係ない人たちも、未来を担う宝を一緒に育てていけたらという思いがあります。今どきの言葉ではあるんですけれども、「ウェルビーイング」とか、「コミュニティ・リビング」という言葉があって、そのために何かできることがないかな、というふうに思っています。そもそも次世代郊外まちづくりの活動だったんですが、これからは住民主体で走り始めるということになりました。
引っ越してきたときは私立の小学校に通っておりまして、ここから渋谷まで電車通学をしてたんですね。その後も、ほとんど地域とは関わりがなく過ごしてまいりました。でも、息子の美しが丘小学校PTAの役員活動を通して、学校に通ってる子どもたちというのが地域の方々に支えられ、温かく見守られているからこそ安全で安心な学校生活を送ることができているんだ、ということに気づきました。それで関わらせていただくことが何か楽しみになり、やりたいなっていう気持ちになりました。そのまま子どものための民生委員である主任児童委員を2年ぐらい前まで15年間、関わらせていただきました。
子育て家庭と地域をつなぐ「美しが丘カフェ」というグループの活動もしています。もともと保健室の先生とカウンセラーの先生と、ちょっと専門的な知識を持ってる方と、思春期の子どもたちの子育てについての勉強会を始めたのがきっかけでした。今6人のメンバーでその会を継続しています。いろいろなトライアルを繰り返しながら、今は一年に一度は子どもたちの身体を動かす「みんなでダブルダッチ」という、2本の縄を使って縄跳びをするイベントをすることと、美しが丘中学校で土曜参観の後の保護者会までの間、場を提供してお茶やお菓子がある無料休憩所みたいなこともやっています。それが好評で部活の保護者会や学年委員会もそこでやっちゃおうとか、地域の方々も、どうぞどうぞいらしてくださいという感じで活動しています。昨年からはオンラインで在校生と卒業生の保護者同士でおしゃべりをしたりもしています。
マザー・テレサさんの「大切なのは、今自分が置かれた場所で、自分にできることをすることだ」という言葉を、民生委員をやってみて実感しました。駅前なんか美しくきらびやかに見えるたまプラーザでも、お金があるないに関係なくさまざまな問題を抱えている方々がたくさんいるということを、いろいろ関わらせていただいて知ることができました。
そしてまず、近くにいる大事な人を大切にする。やっぱり一番身近な人には甘えも出るし、家族でもトラブルになればこじれるし、ほどくのもすごく難しくなってしまうことが多いと思うんですね。「自分以外の全てのものが師」。何事もどっちが悪いとかじゃなくってお互いさまなんだろうなっていうふうに思います。以前、子どもとけんかをしたときに、ちょっと悪かったかなと思って、めったに言わないですけど、「ごめんね」って言ったら、息子が「うんいいよ」って言ったんですね。そのうんいいよって言ってもらったことで、何かスーッとしたっていうか。そのとき、ごめんねって言うことも、うんいいよって言うことも、すごく大切なんだなって実感しました。
街の中で一番好きな場所、ずっと考えてたんですが、皆さんとの関わりから、本当にいろいろなところに思いがあるので一つに決めるのが難しくて。でも、いつも銀杏の恩恵にあずかってるイチョウ並木のイチョウの木かな。正月は必ず、秋に拾った銀杏を松の葉っぱに刺しておせちのお煮しめの飾りにしています。
インタビュー:2021年 夏
このおはなしは2021年No.008号に収録されています。
この度、2014年から発行を続けてきた冊子「街のはなし」1号〜9号を1冊の書籍にまとめることになり、クラウドファンディングを始めました。
シンカブル(Syncable)からご寄付いただけます。
昭和のニュータウンの温故知新。
住民のまちづくりの努力の蓄積と街の成り立ちを共有したい。
100人のナラティブ・地域の変遷と社会の変化を伝える 記憶を記録する本
たまプラーザ「街のはなし」書籍化プロジェクト
すでにご寄付をいただいている方には、御礼申し上げます。とても励まされております。そして、これまでご協力・応援してくださったみなさまにも、オンラインの寄付を通して、書籍化プロジェクトの仲間になっていただけたら嬉しいです。
街のはなしHPでもこれまでの活動を見れます。www.machinohanashi.com
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企画・文: 谷山恭子
写真:小池美咲
編集・校正: 谷山恭子・藤井本子・伏見学・街のはなし実行委員会
発刊:街のはなし実行委員会
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