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めざすのは、公園のような憩いの場。たのしい体験で“記録“と”記憶“にのこる思い出づくりを
「まちのコイン」は、地域のつながりづくりのためのコミュニティ通貨。”お金で買えないうれしい体験で、人とまちをつなげる”ためのツールです。
全国各導入地域には、そんな想いに共感してくれたお店やプロジェクトの方が「加盟スポット」として参加しています。
人とまちのあいだに立ち、つながりづくりの最前線にいるスポットのみなさん。自分たちでは発信していなくても、まちの人とのエピソードやお店づくり、まちづくりへの想いがあるはず……!
すてきなスポットの想いや魅力を、もっと多くの人に知ってもらいたい。そんな理由から、note連載「スポットさんとまちのコイン」をはじめることにしました。
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第1回目となる今回は、日本茶セレクトショップ「CHABAKKA TEA PARKS」。まちのコイン鎌倉に参加しているお店のなかでも、とくに人気スポットのひとつです。
お店のコンセプトは”おしゃれに楽しむ日本茶エンターテインメント”。オーナーの三浦さん自ら全国各地に足を運んで厳選したシングルオリジン(単一産地)や、ビールサーバーから直接注ぎ入れる日本初のドラフトティーを提供しています。
お客さんとの日常的なコミュニケーションでも、まちのコインを活用してくれているとの噂を聞いて、御成通りにあるお店を訪れました。
【プロフィール】三浦健さん
「CHABAKKA TEA PARKS」の企画・運営を行う株式会社Third Bay代表。2017年に鎌倉に移住。2018年4月に「CHABAKKA TEA PARKS」をオープン。株式会社TOKYO BASE(旧STUDIOUS)立ち上げメンバーとして創業から東証一部上場までの中心メンバーとして携わり、事業部エリアマネージャーとしては店舗運営・商品企画・人材育成・新店舗の立ち上げなど幅広い分野で従事。
冷凍グラスでドラフトティーを提供するサービスは、まちのコインがきっかけで誕生
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ーーまちのコインのことはいつから知っていたのでしょうか?
2〜3年前のまちのコインサービス自体が立ち上がるタイミングから話は聞いていました。
まちのコインの導入背景は、お店の方針とも重なる部分があって。
店名に”TEA PARKS”を入れている通り、単なる飲食する場ではなくて、いろんな人が集まる公園のような憩いの場にしたいと思っていたんです。
だからお客さんが楽しめるように通常メニューには載っていない限定メニューやリピーター向けの裏サービスなど、やってみたい案はたくさんありました。
でも、コアな情報を発信するプラットフォームがなかったんです。お客さんに口頭で「限定メニューありますよ」って伝えるだけ。
ちょうどそのときに、まちのコインが立ち上がって。リピーターだった運営メンバーの方から話を聞いて、親和性が高そうだなと思って参加しました。
ーー導入から2年ほど経過していますが、振り返ってみてどうですか?
まちのコインがあることでお客さんとの一体感を感じるようになりました。
日々、お客さんとコミュニケーションしていると「こんなサービスがあったらいいんじゃない?」「こういうサービスがあると嬉しい」といろんなお声をいただくんです。その内容をまちのコインで実際に展開してみて、そのあとに通常サービスとして提供するケースもよくあります。
通常ではできないサービスがどんどん生まれていくので、僕らもお客さんも楽しめています。
ーーまちのコインをきっかけに、どんなサービスが生まれたのでしょうか。
夏の時期にドラフトティーのグラスを冷凍庫でキンキンに冷やした状態で提供する、というサービスですね。
居酒屋でもキンキンのグラスに入ったビールが出てきたら嬉しい気持ちになるじゃないですか。これもリピーターの方が提案してくれたものなんです。
最初はクルッポの体験として実施したところ、あまりにも評判が良すぎて通常サービスとして提供することにしました。
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ーーまちのコインの体験としてスモールスタートでやってみて、実際の反応をみて通常サービスにするか判断しているんですね。
そうですね。こんなサービスやってみたいけど「ニッチすぎるかな?」とか「オペレーション難しいかな?」と思ったものをあえてクルッポでやってみる。
そうするとお客さんの反応がわかってテストマーケティングの場にもなるから、中にはコアサービスにも繋がるものが出てくるんですよね。
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きめ細やかな泡になりクリーミーな口当たりになる
利きドラフトティー体験は、”記録”と”記憶”に残る想い出にするため
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ーーさまざまな体験を提供されていますが、とくに人気の体験はどれですか?
「利きドラフトティー」体験ですね。
お店では毎日日替わりで用意しているスペシャルドラフトティーがあるのですが、じつは何のフレーバーを提供するか、それぞれのスタッフの裁量にゆだねているんです。
通常であれば、何のフレーバーを使っているのかお客さんに説明しますよね。でも、逆にリピーターの方からは「今日のフレーバーを当てたい」って言われることがあって。
そんなやりとりを経て、まちのコインの体験に入れてみたんです。
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お店としても、ドラフトティーが一番飲んでもらいたいメニュー。だから使ってもらって記録に残れば嬉しいし、考えながら飲むって身体と頭を使うから、自分の記憶にも残る。
こんなに記録と記憶に残ることってないだろうなって思います。
ーー記録と記憶……すごく素敵な言葉ですね。ビールっぽいのでごくごく飲みたいところなのですが、あえて「利きドラフトティー」にすることで味わいながら飲んでもらえるようにしているんですね。
飲み物って頼む前は何の味にするか考えるけど、頼んだ後って考えずに飲むじゃないですか。でも考えながら、味わいながら、探りながら一口ずつ飲むとおもしろいでしょ。
「利きドラフトティー」は主力商品を飲んでもらうきっかけにもなるし、コンセプトやこだわりを知った上で楽しんでもらうことができる。お店にとっても、いいことづくしなんです。
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移住者も盛り上がるまちへ。お店がそのハブになれたら嬉しい
ーー「CHABAKKA TEA PARKS」ではSDGsの観点で何か取り組まれていることはありますか?
たとえば現在グラスで提供しているドラフトティーも、2年目まではプラスチックカップを使っていました。でも、環境の観点からオリジナルグラスに切り替えました。
その結果、ごみが最初のころと比べて1/15くらいに減ったんです。しかもグラスのほうがおしゃれだし、ブランディングとしてもなるし、エコにもなる。
ーーそして、そのグラスがキンキンに冷えて出てくるという。まさにおしゃれとサステナブルの両立ですね……!
あとはテイクアウトのときにマイボトル持参してもらうことも多いのでテイクアウトカップもほとんど出ない。栄養が残っている茶殻は、近くのお菓子屋さんにご協力いただいてスイーツの原料にしてもらっています。
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自分にとって”サステナブル”は、ブランドにとってひとつのピース。だからすべて当たり前のことなんです。
一方で、”サステナブル”という言葉があまりにも一般化している中、すべての商品をサステナブルの文脈とつなげる必要はないとも思っています。できることはやっていくけど、エコだけを考えると体力を消耗してしまうから。
おしゃれにもこだわりたいし、エコでもありたい。すべて両立できる方法を模索していきたいですね。
ーーありがとうございます。最後になりますが、今後まちのコインをどう活用してもらいたいかについて教えてください。
僕自身が移住者だし、湘南エリアはここ数年で20〜30代の若い移住者も増えているので、そういう方にもっと楽しんでもらえたらいいですよね。鎌倉のまちがもっと盛り上がると思います。
移住したばかりでまちの人と仲良くなりたいけど、どうつながったらいいかわからないときは「CHABAKKA TEA PARKS」に来て、話しかけてくれたらすごく嬉しいです。話しかけづらいときは、まちのコインを話しかけるツールとして使ってください。
そんな場所にしたいと思って作ったお店ですから。