窓の内から見える景色
吉祥寺の「ひととてま」という場所でチャイ屋をやっています。
お店の名前は「chaiPOST」
2021年3月にオープンしました。
毎週木曜日だけ営業しているヤドカリ店主です。
お店の名前は「いつかお店をやる時に」と決めていたのですが、こんなに早く使う日が来るとは思っていませんでした。
偶然ながらお店の斜め前には赤いポストもあります。
わたしはまいつきスパイスティーと手紙を送るサービス「chailetter」をやっているので、お店にいる時にでもすぐ手紙が出せるというのは実はとても嬉しいのです。
たいして宣伝もしなかった初日オープン。
はじめての日だし、人が来るかわからないし、混んだら嬉しいけど正直ちょっと慌てちゃったりして困ると嫌だなと思って、宣伝を控えました。お店としていかがなものかと思うけれど、器の大きさはじぶんでわかっているのでいいのです。派手な開店にできないところはわたしらしいのでしょう。
記念すべき最初のチャイはじぶんでじぶんに淹れました。
椅子を持ってきて、チャイをすすりながらぼーっと出窓から外を眺めてみます。
ほどよく行き交う車、
ほどよく雲が浮かぶ青空、
ほどよく通る風。
音楽をうっすらかけて「なかなかいいお店だなぁ」と思いました。
そのうち自転車に乗って通り過ぎようとしたご近所さんらしきマダムが声をかけてくれました。
「ここはお店がはじまったの?」
「はい。きょうはチャイ屋さん。曜日ごとにお店が変わるんです。」
「そうなのね!ここラーメン屋さんだったのよ。また最近人が出入りしているのを見て気になってたの。お友達誘ってくるわね。」
吉祥寺駅から徒歩15分。少し行けば練馬区に入るあたりにお店はあります。
窓の外に立ってみると決して声をかけやすくはないと思うのだけれど、それでもいろんな人が見てくれて、声をかけてくれます。
窓にはガラスを隔てて内と外の見えない境目。
けれど、出窓というのは窓の中でも少し特別で外からの関わりを歓迎しているように感じるものなのかもしれません。
もしくは、この界隈に住む人が人懐こい故に窓というフィルターも薄いのかも。
どちらでも嬉しいことです。
そんなことがあって、お店全体が素敵なのですが一番気に入っているところは出窓になりました。
店名にあるポストも、境目として考えると出窓に近いところがあると思います。
誰かに手紙を出すようにそっとチャイや食べるものを差し出したい。
そして、窓の中にいる人にも外にいる人にも境目がほどよくあるようにたたずんでいられたらいい。
木曜日をはじめる時、そんな風に思います。
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