見出し画像

作文に苦手意識を持つ凸凹&グレーゾーンな子への教え方(おうちの方向けアドバイス)

こんにちは! 作文のまちか先生です(*^-^*) 12年続く作文教室主宰&数年前から福祉施設で発達障害・精神障害に対応した作文プログラムの非常勤講師をしています。

たくさんの子ども達と作文を書いていると、「作文や発表が苦手」「文章にまとまりがない」「感情を言葉で表現するのが難しい」というような困り感を目の当たりにすること、多々あります。

どういう声かけをして、どういう指示をするか?  ぴたりとはまると、「書けた―!」「伝わったー!」と子ども達の表情が明るくなる。作文を通して、そういう”できた”を積み重ねていってもらえたらいいなって思いながら作文指導をしています。

作文教室での取り組みには、気付きや学びがいっぱいです。それらを、おうちの方向けにアレンジしてまとめました。今日のこの記事は、わたしがnoteでやりたかったことのひとつです。

特性のある子どもが作文を頑張るときに、サポートする親が気をつけたいポイントをお伝えしますね。あぁ、夏休み。作文の宿題に困っている親子に届きますように……!


2週間前にアップしたこちら↑の記事。

自己紹介のつもりで書いたのですが、思ったよりたくさんの方に読んでもらえているみたい。関連キーワード検索でも目立つところに上がってきているらしく、「ググって読みました」と教えていただきました。困っている人や情報を求めている人が、本当にたくさんいらっしゃるんだなと感じました。

まちか先生は、どの子も書けると思っています。だから、レッスン中に作文が書けない/書かない子がいると、「どうしてかな?」と考え始めます。大事なのは、「どうして書かないの?」と本人に聞かないことです。まずは一緒に取り組みながら観察します。そこからその子に必要な声かけをします。どんなふうに声かけしたらこの子は楽しく書けるかなって思いながら。

わたしはそれが当たり前のことだと思っていたのです。言い換えると、コミュニケーションって相手に合わせてするものだと思っていたからです。だって、教えるって伝えるってことだしね、って。

わたしが作文教室でやっている内容は、定型発達と発達障害とで分けてはいません。講師陣の声かけと指示出しで、生徒一人ひとりのプロセスとゴールを作ってクリアしていきます。クラスは学年別にもなっていないんです。小学生クラスには1年生から6年生までいます。中学生クラスも3学年一緒です。

ちなみに、時々、大人の生徒さんも子ども達に混じって参加します。見学ではなく通ってくださる理由を聞いたことがあります。「書くことについて、学び直しがしたい。社会人向けのビジネスライティングは合わなかった。目的のために書きたいわけじゃない。書ける自分になりたい。だからここに通います」

書くって楽しい、伝わるって嬉しい。わたし達が作文教室で大切にしていることが、その感想にぎゅっと詰まっていて、わたしも胸が熱くなりました。

10日前にアップしたこちら↑の記事。

夏休みの宿題の定番、「夏休みの思い出」作文。おうちで取り組むときのコツをまとめた記事です。作文教室でのレッスンと同じように、どんな子どもにもある得意不得意をふまえて使っていただけるように書いたつもりです。

でも、読み返してみると、情報量が多すぎてちょっと分かりにくいと感じました。今日は要点を抜き出し、支援の目線で説明を書き加えていこうと思います(^^)

つまずき①何があったのか思い出せない

≪準備するもの≫
教材プリントセット(10枚)
 もしくはA4のコピー用紙10枚
筆記用具(鉛筆と消しゴム)
書きたい出来事にまつわるグッズ(必要なら)

準備するもののなかに、さらっと書いていますが、とっても大事なのが「書きたい出来事にまつわるグッズ」です。

写真や動画を眺めてみるのもおすすめ。プログラムや当日使った道具を手に取ると、もっと思い出しやすくなるよ。この段階ではまだメモだから、びっしり書き込まなくてOK。

グッズがフックとなります。おうちで作文を書く場合、親子でその出来事のことを楽しく思い出せる「フック」を手元に用意して、作文に取り組みましょう♡

まちか先生的には、楽しく思い出話ができたら100点満点だと思っているくらいなのだけれど。思い出して、それを言葉にして、相手と楽しい時間を過ごす、ってすごくすてきなコミュニケーションだと思うから。

個人的な話をしますね。まちか先生には3人の子どもがいますが、らしさは三者三様ですし、わたしも作文を教え込もうとは思っていなかったので、どの子も書いたり書かなかったりでここまできました。宿題の作文を手伝おうと思って、なにげなく会話を広げてみたりもするんですが、あんなに盛り上がってしゃべり倒したのに「あーーほんと楽しかったよねー。でも書かなーい!めんどくさーい!」ですよ。

それでいいのかも。書きたい段階はいつかまた別の機会に訪れるのかもねって思うのです(作文の先生なのに…)。だからおうちの方には、「書かせなくっちゃ」ってあまり負担に思われないでほしいなって伝えたいのです。

つまずき②出来事の順番がバラバラ

どんなことをしたか、どんな出来事だったか、いっぱい書き出してみよう。実際に作文に書く書かないは深く考えずにメモしていくのがコツだよ。なかなか出てこないときは、時系列に(時間を追って)思い出してみて。

運動会の思い出なら、こんな感じにね。
・「事前」係決め、競技決め、練習
・「前日」準備、設営
・「当日」係、競技、応援、結果
・「事後」クラスや友達との会話、振り返り

思い出してメモするって、意外とすっごく大変な作業だと思うのです。でも、作文を書くためには、とっても大切な作業なのです。

サポートする人が紙を4つに区切ってあげるといいと思います。上記↑では運動会を例にあげていますが、「遠足」「自然教室」「社会科見学」でも同じように、時系列で区切ることができますよね。

順を追うと”思い出しやすくなる”というメリットはもちろん、作文の内容としても、当日のことだけでなく事前準備や振り返りも盛り込むことで完成度が増します

試してみてくださいね。

つまずき③何をどれくらい書けばいいか分からない

次に、「どういう出来事だったか」に焦点を当てていきます。出来事を、伝えたい情報にしていくプロセスです。

先ほど書き出したメモを見ながら、その中から選ぶとスムーズです。さっきのメモはこのために作っておいたもの。「思い出す」と「選ぶ」、分けて作業することでうんと楽になるんです。

ここからは、さっきたくさん書き出したメモを元に、作文に書く出来事として膨らませていきます。

思い出したことを思いつくまま文字にしていくと、メリハリのない作文になってしまいますし、それを書いている子ども自身も疲れてきちゃって、ふいに「何やってるんだろう」「飽きた」と興味を失ってしまいます。

そこで、書き出したメモから、どういう出来事だったかという視点でいくつかエピソードを選んでいきましょう。どういう出来事だったかの例は次に挙げるものがおすすめ。

・面白かったこと&笑ったこと
・驚いたこと&発見したこと&気付いたこと
・残念だったこと&悲しかったこと
・嬉しかったこと&感動したこと
・変だな?おかしいな?どうしてだろう?不思議に思ったこと

子どもが書きやすい「出来事」としての5つです。全項目を作文に書かなくても大丈夫です。1~2つから始めてみるとチャレンジしやすいですよ。作文は長くならない方が、疲れる前に書き終えて「書けた!」という満足感を味わえますので♬

例:面白かったこと
メモから選んで、どういうことがあったのかを説明する。それを面白かったと書く。面白いと思ったところ(理由)も添える。

複数の出来事を書く場合は、とばっちりです☆段落の作り方を伝えるときも「別の出来事だから新しい段落にしようね」と声をかけるとスムーズですよ。

それに、大切なのが、書き出したメモを全部作文に書かなくても大丈夫ということです。思い出したことの中から選ぶというプロセスにも、徐々に慣れていってほしいなと思います。「ぜんぶを書かなくていいんだ」ということを”知る”と、作文への苦手意識が薄れていきます。

つまずき④文章の組み立て方がおかしい

頑張って書いている子ども達ですが、文章の組み立てなど文法的なところでつまずいている場合もあります。子ども自身が「何か変だな?でもよくわからない」と違和感を感じているときと、書き進めていくものの子ども自身が無自覚なときとがあります。

どちらにも有効なのは、句点「。」の使い方について声をかけること。

作文用紙を指さし、「2行に1回は丸(。)を使おう」というふうに、具体的にアドバイスしてみます。

一文が短いほど、文章を作るハードルはさがります。大人でも長い一文を書くのは神経がすり減りますよね。主語と述語が捻じれていないか、修飾語の位置は正しいか、意味は通るのか、前後の文章とのつながりは大丈夫か……。これらを、文法的に説明しても、子ども達にとっては捉えどころがないんですよね。

だから、一文を短くするという一点にアドバイスを絞ります。

主語と述語が対応しているかは、一文を短くするとたいてい解決します。「いつ・どこで・だれが・なぜ・なにを・どのようにした」といった5W1Hの要素は、1段落のなかに盛り込めていたらOKです。情報として伝わりますよね。助詞・形容詞・副詞などの使い方は、この段階ではあえて指摘せず、読み返したり清書をする機会に伝えるとスムーズです◎。

指摘する場合も、細部を説明するより「このとき、○○が、××に、△△を渡したんだね」という感じに、直しながら(文法的に正しく)読み上げてあげることをおすすめします(^^)

つまずき⑤感情を言葉にできない

感想文を書くとき、感情表現を抜きに語るってあまりないですよね。大人はそう思うのですが、子どもにとっては自分の中にうまれた気持ちを”感情を表す言葉”に置き換えるって、けっこう難しいことだと思います。

残念だったこと&悲しかったことを例に見ていきますね。

残念な出来事や悲しい出来事って、「あーあ」って気持ちになったこと。思い出って、いいことばっかりじゃないよね。ぜんぶが嫌ってわけじゃなくて、「ちょっと気になっただけ」「少し困った」とかも、この仲間だよ。

・頑張ったけど結果が残念だった
・これさえなければよかったのに
・悲しい気持ちが続いた(続いてる)
・泣くほど悔しい
・気持ちがスンッ…ってなった

良い出来事がひっくり返っちゃうようなことから、ちょっと水を差されたって程度まで、”いやなこと”って実は幅が広いんです。実は「怒り」の感情も含まれます。マイナスの感情が外に向かってるか内に向かっているかの違いですね。

子どもから言葉を引き出す時は、この出来事をどう処理しているかな? 感情が自分に向けられているのか、他人に向けられているのか、そっと観察してみるといいと思います。

「感想は?」「どう思った?」と質問されて困ってしまう子のために、わたし達の作文教室では先に感情にひもづけた出来事メニューを用意しておき、何をしたのかメモしておいたものから選んでもらうという流れを作っています。

おうちで親が子どもの作文をサポートするときも、この流れだと子どもの考えていることがとらえやすくなるのでおすすめです。

感情表現を豊かに育んでいくには、日ごろの会話がポイントとなります。子どもの心が動いているときに「わくわくするね」「苦しい気持ちだね」など共感を示す声かけから、子ども達は感情表現をたくわえていくといわれています。

でもそれは日常でのこと。「作文を書かせている今日どうしたらいいの~!」と困ってしまうというお声、よく聞きます。とてもよく分かります。作文教室でも、その場で感情を教えるってなかなかできることではありませんから……。

そんなときにおすすめなのは、その時のことを体の様子(動き)で表現してもらうこと。例えば作文教室ですと……嬉しい出来事について聞き出していくとき、ぴょんぴょん飛び跳ねたり拍手をしたりガッツポーズをしたり。嫌だった出来事について聞き出していくとき、がっくり肩を落としたり両手で顔を覆ったり部屋の隅でじっと固まったり。まるでドラマやマンガを見ているかのように表現しあうんです、先生と生徒と。

これとっても使えます。ぜひ一緒に体を動かしてみましょう。その動きを親が言語化してあげて、そのまま作文に使うといいよ、とってもすてきな作文になるよ、って伝えてあげてくださいね♡

つまずき⑥ネガティブな気持ちしか思いつかない

気持ちをあまり口にしたがらないタイプの子もいますよね。子どもだけじゃなく、大人にもけっこう多いです。

まちか先生も、物事をなんでもかんでも美談にするのって無理があるなって思っちゃうタイプ。(余談ですが、勤めていた出版社が倒産して翌月からフリーランスになるしかなくて、結果的に新たな仕事を開拓できましたが、今思い返してもあのときの大変さを「良い話」とは思えないのです……。以上、個人的な思い出でした)

そんなヘビーな話を子どもの思い出作文に引っ張ってこられても、と思われますよね。まあ、それはそうです。本当にその通り…。しかし、子ども達のなかには大変な思いをして「行事」をこなしている子もいます。

大きな不安をかかえていたり、強い困りごとに押しつぶされそうになっていたり、なんでもないふりして頑張ったけど実はすごく疲れていたり、……。そういう場合、出来事を振り返って学びとして着地させるって、とってもとっても大変です。苦しいです。

大人がサポートできるのは、そのことかなって思います。

ちょっと口直しというか、気持ちを切り替えて良かった探しをやってみましょう。

「誰かを感動させられるエピソードじゃないけど」って遠慮がちに言う子もたくさんいるけど、誰かを感動させなくても全然いいんだよ!自分の心が動いたことのほうが大事なんです。

「あぁ助かった」「終わってホッとした」みたいに、心配事から解放されるのも良かったことに入ると思ってね。「明るい気持ちになった」「心がウキウキした」みたいにポジティブな方向に気持ちが変化したとかもね。

・やりおわった
・無事に過ごせた
・できるだけのことをした
・自分なりに挑戦した
・初めての経験だった

これらは単なる事実かもしれません。でも、行事の前や行事の最中に感じていたネガティブとも思われる感情の先にうまれたこと=得られた経験なのです。ねぎらいの言葉とともに、「安心して作文に書いていいんだよ」と伝えてあげてくださいね。

「書く」項目ごとに詳しい説明をしていますので、こちらの記事↑も、よかったら参考にしてみてくださいね。

/ コメント大歓迎♪ \

♡スキしてくださる方、ありがとうございます。わたしもあなたの記事を読みに行きますね!

フォローしてくださる方、ありがとうございます。フォローバックさせていただきます☆

この記事を埋め込みリンクで紹介してくださる方、ありがとうございます。その記事わたしからもぜひご紹介させてくださいね♡


いいなと思ったら応援しよう!

まちか先生|作文講師・ライター
サポートは作文教室を広げる活動に使わせていただきますね。「作文大好き!自分大好き!」な子どもがどんどん増えますように♡