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家が空き家になる理由(「どうする?うちのことすごろく」解説コラム#001)

まち暮らし不動産が2024年に企画製作した「どうする?うちのことすごろく」。製作に至った経緯や、おすすめポイント、内容の解説など連載していきたいと思います!

さて、結論から言います。家が活かされない、つまり空き家になるのは、家を活かす3つの力「資本」「技術」「関係性」が不足するからだと考えています。3つの力はある程度は互いに補完できますが、どれかが大きく不足する(ボトルネックになる)と空き家になります。「どうする?うちのことすごろく」は、このうちの「関係性」に着目して作っています。

・・・あ〜、ちょっと流石にハショりすぎですね。ごめんなさい。
解説に少し、お付き合いください。️

家を活かす3つの力

まず、3つの力を簡単に説明しますね。

「資本」とは、ぶっちゃけ言えば「お金」です。不動産を保有することは、それが賃貸用(誰かに貸して家賃を得る)であれ自用(自分で自分に家賃を払う)であれ、たとえば「向こう何十年かに渡ってインカム(継続的で定期的な収入)を得る権利」を先払いで購入することに他なりません。この「まとめて先払いする」ためのお金は、やはり必要です。自分のお金(自己資本)でもいいですし、誰かから借りて(借金・負債)先払いする方法もあります。不動産を持ち続けることは、常に「まとめて先払い」し続けることです。ですので、お金(またはお金を借りる力)は一定程度必要になります。大金持ちである必要はありませんが、ボトルネックにならない程度は要ります。

次に「技術」。たとえば、古くなった家をどう直せばいいか、どのような間取りにすると借り手がつきやすいか、誰にどのようにアピールすれば売れるのかがわかること。そのような「ノウハウ」のことを言います。建物の立地や状態は千差万別とはいえ、一定のセオリーはありますし、新たなアイディアを出すのも技術です。空き家のリノベーション事例や利用事例を目にすることも多くなりました。もちろん専門家の助けは必要ですが、調べればわかる・やればできる・誰かに依頼すれば進むことです。AさんがやってもBさんがやってもでき、今日やっても明日やってもでき、別の事例にも当てはめられる解決方法。もちろん、解決方法にも個性やバラエティはありますが、「◯◯(課題)をこうしたら(技術)、こうなる(結果)」が直線的に結びついてわかりやすい。

最後は「関係性」。これが一番やっかいなのですが、資本(お金)があっても技術(ノウハウやアイディア)があっても、やりたいのにできない/なぜできないのか分からないけどできない/やればいいってわかっているけど、できない/やらなきゃいけないが、どうも踏み出せない/誰かにお願いすることすらできない/なんでみんな私の困りごとをわかってくれないの?・・・のようなことが起こります。そのような場合に検討すべきは「関係性」についてです。

実は空き家問題と呼ばれるものの多くは、この3つ目がうまく行っていません。上手く行っていないというより、大切さが理解されていなかったり、誤魔化されがちです。留意すべきは「関係性のあるなし」ではなく、どちらかというと「関係性の種類やその適切さ」。家族や親子だからって、上手くいくわけではない。一緒に住んでいるからといって、協力できるとは限らない。逆に言えば、立場が違うからといって上手くやれないわけではない。️

関係性にアプローチするには

では、関係性の課題をほぐすためにはどうしたらいいでしょう。アプローチは、実はわりとシンプルです。

1つは「お互いによく聞く・よく話す」です。聞き方・話し方の頻度や質や態度もとても大事ですが、家族全員がコミュニケーション上手!というわけでもないですよね。話す時には第三者のサポートがあった方がいいかもしれません。

もう1つは、、、「一緒にあそぶ」です。すなわちゲーム!

いきなりどうした?って言われそうですが、よく考えてみてください。なにか解決策を考える時に、わたしたちの思考を硬直させたり、発言を躊躇させるのは、損得勘定(感情)や、関係性が変化することに対する恐れや不安なんです。ゲーム盤の上は、それらを感じなくて済む安全地帯と考えてください。ゲーム盤の上なら、失敗しても悩んでも後戻りしても笑えるし、何度でもやり直せる。このプロセスを通じて1つ目の「お互いによく聞く・よく話す」もできるようになります。

はい。そろそろお気づきですね。「どうする?うちのことすごろく」は、実家あるあるを体験しながら、空き家になる前にできることを知り、5〜10年先の見通しをたててみるゲーム。家の意外な使い方もわかるかも。

でも、不動産や空き家(実家)に関する知識やノウハウの寄せ集めではありません。「うちのこと」を家族や関係者と「よく聞きよく話せる」ようにし、空き家が問題化しないためのツール。「しんどさ」を抱えずに不動産と付き合っていくためのツールです。空き家になってから「答え」をフローチャートで探して解決するなら、日本の空き家問題はすでにスッキリ解決済みのはず。そうじゃないアプローチ、やってみませんか?

まち暮らし不動産は、不動産の利活用に関するご相談だけでなく、「他人同士が暮らすシェアハウス」「他人同士が関わるコミュニティ拠点」の支援をし続けているからこそ、人と人の関係性の課題にも、わりとナチュラルにアプローチできる気がしています。「うちのこと」も「まちのこと」も、ほぼ同じもの。人と人の関わり方・つながり方を変えていくと、たとえ少しずつでも、必ずよくなると。だって、無関係な誰かの話を聞いても仕方ないし、決めてもらえるものでもない。「私たちのこと」だから、私たちがやるしかない。

とはいえ、なにか魔法のようなものが使えるわけではないので、多くのケースは時間もかかるし苦労もしますが、、、、まあそりゃあ、仕方ないですね!どんまい!まずはゲームだし、やってみるといいですよ!

空き家をはじめとする「うちのこと」に困る前に、いま問題がない(表面化していない)今だからこそ、やっておくと吉。


「どうする?うちのことすごろく」はまち暮らし不動産の通販サイト「NORISHIRO STORE」から購入可能です。

ゲームをする際に「ゲームマスター(進行役)」がいると進みやすいかも。家族や親戚のゲーム会、研修やセミナーの実施のご相談もぜひどうぞ。

お問い合わせ先 welcome@n95.jp



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