240405🌸吉祥寺散歩

野暮用があり、会社を一日休んで吉祥寺に出かけた。

用は思いのほか早く済んで、久しぶりの吉祥寺をぶらぶらと歩き回った。

今日は、あまり周りの人の機嫌に左右されずに生きてみようと思った。この曇り空みたいに。

焼き鳥と熱燗の昼ごはんの後、CDショップで流れてきた、知らないアーティストのCDを買ったりした。

井の頭公園で花見をしようと、前から決めていた。満開だった。ほんとうは、ベンチにでも座って、花見ついでにいろんな人の流れを見てみようと思っていたけれど、コートを着てきたとはいえ寒すぎて、諦めた。
平日でも時節柄、普段よりも人通りが多く、シートを敷いてピクニックをしている人もいる。騒ぐ人もなく、みんな談笑しながらお弁当やお酒を楽しんでいた。その横を歩く私は、流れていく粒の一つだ。

池には流れがなく、濁ってはいないが底の見えない深緑色の水面が、なめらかできれいだった。桜の花が散り始めたら、水面に花びらが浮かんで、きっと和菓子のような様相になるのだろうなと思われた。

静かに過ごすためのカフェ。

池を半周しながら、井の頭公園駅のそばまでやってきた。マンションの一室がお店になっているカフェに行ってみたかったのだ。

コーヒーが来るまでの間、さっき買ったCDに付いていた解説を読む。

座った席は、元ミシン台だったようで、足元にハンドルと、踏み台がついていた。
チーズケーキは、カステラみたいにぽってりした焼き目がかわいい。たまごの甘さとブレンドコーヒーの苦さは、ちょうどよかった。
よく磨かれたつややかな金色の持ち手がついたカップと、お揃いのソーサー。きしむ床板。

いつだって、忙しない日常から抜け出して、からっぽになりたいと思うのに、いざ時間ができると虚しく感じるのはなぜだろう。

でも今は、目の前のことしか考えられない。フォークを入れるとしゅわっと気泡が潰れる音のするチーズケーキや、水だと思って飲んだグラスが、白湯だったことに静かに感動したりする。

今が、永遠に続く気がする。いずれは家に帰って風呂に入るのだと分かってはいても。

短いけれど、とてもいい時間を過ごした。
知らない電車に乗らなくても、小さい旅ができた。

玉光神社の、珍しい？　白い鳥居