【シンガポールで子育て】シンガポールで産褥ナニーさんを雇ってみた!
昔より医療が進んだとはいえ、出産は今でも命がけの行為。
十月十日赤ちゃんをお腹の中で育て、約3kgの赤ちゃんを生み出した産後のお母さんの体はボロボロ。
日本では産前産後は実家などに里帰りをして育児をサポートしてもらう方も多いですが、少しは楽になっても十分には体を休めることができず、疲れを引きずったまま本格的な育児に突入する方が多いかと思います。
中華圏および韓国では、「坐月子 (ズオユエズ)」という独特の文化があり女性が産後1ヶ月の間、母体を休ませて栄養のあるものを食べ、薬膳スープを飲み静養することを指します。中国では、出産後に母親の体力は弱まると考えられているようで、体力を確実に回復させるために産後の母親は家に閉じこもり、回復のための生活を送ることが求められるとのこと。体質改善や老化防止のほか、更年期を楽に過ごせるようにするために行うようです。
昔は、水に触れてはダメということで髪も洗えなかったり、食べるもの等にもかなり制限があったようですが、今は少しずつ緩和されているようです。
中華系の方が多く住むシンガポールやマレーシアでもこのような文化は受け継がれており、産後の体を休めるために、産後のお母さんと赤ちゃんの身の回りのお世話をしてくれる産褥ナニー (産褥アマ) さんを雇うことが多いようです。こちらでは母親の仕事復帰も早いので、それも影響しているのかもしれません。
初めてのシンガポールでの出産。
私の場合、母が大学生の頃に他界しており、実家には父 (しかもまだ働いている) しかいないため、里帰りしてもサポートが期待できないのと、夫の会社から少しだけ補助が出るというので、産褥ナニーさんを1か月 (28日間) 雇うことにしました。
産褥ナニー (産褥アマ) さんとは?
産褥ナニーさんとは、産後ケアに特化したナニーさんで、沐浴やミルクによる授乳等、母乳の授乳以外の赤ちゃんの世話や、母親の食事の用意や洗濯、簡単な掃除などの身の回りのお世話をお願いできます。育児や家事をお任せすることで、母親はゆっくり休んで体力の回復に専念できます。産後のボロボロの母親にはかなり頼りになる存在です。
雇用する期間は人にもよりますが、最短2週間程度から6週間くらいまでが主流かと思います。
通いにする?それとも住み込みにする?
産褥ナニーさんには、日中の数時間だけ通いで来てもらうタイプと、自分の家の一室に泊まり込み (住み込み) でお世話してもらうタイプの2種類があります。
通いの場合は基本的にシンガポール人 (or PR) の方が来ることになるかと思います。メリット・デメリットは以下の通り。
< メリット >
・部屋を占有されずに済む。
・基本的には日中のみなので、ある程度プライバシーは保たれる。
< デメリット >
・基本的に夜間は自分で子供 (と自分) の面倒を見る必要がある。
・シンガポール人なので、時給換算すると高め。
・取り扱いや人数が少ないのか、予約が早めに埋まりがち。
部屋数的に一部屋をナニーさんに差し出すのが難しい場合や、知らない人と一緒に住むのに抵抗がある人は、通いをオススメします。
ただ、我が家も家があまり広くないので最初は通いを検討していたのですが、そもそも通いを取り扱っていない業者も多く、人数も少ないのか予約がとれず、結局住み込みのナニーさんにすることにしました。
もし通いを検討している方は、できるだけ早く業者を探し始めるか、知り合いに通いのナニーさんを利用した人がいれば紹介してもらうことをオススメします。
泊まり込み (住み込み)の場合は、マレーシアから出稼ぎで来る場合が多いです。メリット・デメリットはこちら。
< メリット >
・夜間は子供の面倒を見てくれるので、ぐっすり寝られる。
・マレーシア人なので、時給換算では通いよりはお得。
< デメリット >
・一部屋をナニーさんに明け渡す必要がある。
・四六時中一緒なので、プライバシーは制限される。
・言語能力にばらつきアリ。
最大のメリットはやはり夜間ぐっすり寝られること。
完母で搾乳できない場合は授乳時に起きる必要がありますが、そうでなければ夜間は完全にバトンタッチできるので本当に楽。
睡眠は母体の回復に一番ですので、産後1か月きっちり睡眠をとれるというのは後々の育児生活を楽にするのに絶大な効果があると思います。
私自身もナニーさんのおかげで、精神的に大きく病んだり寝込むこともなく、ここまで来れたと思っています。
デメリットとしては、上にあげたスペースとプライバシーの問題以外に挙げられるものとして、言語の問題があるかと思います。シンガポールもマレーシアも英語が通じる国ですが、ナニーさんは育児を卒業した年配の方が多く、若い人に比べると英語のレベルが低い人が多いです (ホーカー等で英語が通じにくくなるのと同じ)。マレーシアのナニーさんはその傾向が顕著で、English speakerを指定しても、蓋を開けたら中1英語以下のレベルだったりすることもあります。笑
うちのナニーさんも英語・日本語ができるナニーさんとして紹介されましたが、いざコミュニケーションをとると英語が単語レベル、基本的な単語も知らないことも多い感じでびっくり。その代わり、約20年前に日本に住んでいたので簡単な日本語が話せたのと、私が少し中国語を習っていたのもあり、基本的な会話は日本語+中国語+Google翻訳という、かなり変則的なスタイルを採用することとなりました。笑
(人柄は申し分なかったので、あまりストレスにはならなかったですが。笑)
派遣会社の言うことは当てにならないこともあるので、不安な方は事前にきっちり面接をして選ぶことをオススメします。
(うちの場合は向こうから面接の提案がなかったのですが、おそらくお願いすればできるかと。)
産褥ナニー派遣会社比較と予約タイミング。
シンガポールにはたくさんの産褥ナニー派遣会社があります。
(有名なSassymamaさんのガイドを載せておきます。)
私もナニーさんをお願いした際には、8社くらいに問い合わせをしましたが、そもそもレスが来ないことも多々あり、最終的には下記の4社とやり取りをしました。
・Confinement Angels
・New Life Confinement nanny
・ConfinementNanny.com
・STAR Confinement
https://starconfinementnanny.com.sg/
上記4社の簡単な比較は下記の通り (2023年6月現在)。
費用はアンパオ (初日と最終日に渡すチップ的なもの)と、ナニーさんの就労パス(WP)の申請費用を除くとSGD4500前後のイメージ。
あとはアンパオは初日にSGD20-50、最終日にSGD100-250程度と、WPの申請費用でSGD35前後必要かと思います。
サービスはどこも似たり寄ったりで、赤ちゃんの基本的なお世話に加え、母親の食事の用意、簡単な掃除・洗濯は大体のところがしてくれる印象。
(※父親の衣類の洗濯等はしない会社もあるため要確認。)
あと大体のところは、2回程度までナニーさんのチェンジ無料です。笑
よっぽど相性がよくなかった場合の保険かと思われますが、チェンジって言いづらくない?とか思ったり。苦笑
うちの場合、値段と父親の洗濯もしてくれるかどうかで2社に絞り、あとは担当者の印象やレスの速さを考慮して、シンガポールで有名で実績のあるConfinement Angelsに決めました。
予約のタイミングですが、早ければ早いほど良いです。
特にEnglish speakerは数が少ないわりに人気で早く埋まりがちなので、少なくとも出産の半年くらい前には探し始めることをオススメします。
産褥ナニーさんが来るための準備。
私がお願いしたConfinement Angelsでは、事前にそろえておくべきものの準備リストをもらえました。基本的な調理器具、ベビーケア用品、産褥食用の食材がリストアップされていました。
産褥食の食材以外で見慣れないものとしては、Cotton ball。
日本では朝起きて赤ちゃんの顔を拭くときはガーゼを使うと思いますが、ナニーさんは顔を拭く時にお湯で濡らしたコットンボールを使っていました。
それ以外は一般的な調理器具やベビー用品ばかりだったので、普通に赤ちゃんを迎える準備で問題ありませんでした。もし不明なものがあれば、初日に一緒に買い出しに行ってもよいかと思います。うちも産褥食の食材はわからないものが多かったので、初日に夫とナニーさんで買い出しに行ってもらいました。
ナニーさんとの実際の生活。
出産や退院のタイミングは前後しますが、住み込みのナニーさんは大体事前にシンガポールに来ているようで、退院時に合わせて自宅に到着。
ちなみに、うちのナニーさんはバタムに遊びに行っていたようで、バタムのお土産までくれました。笑
初めての他人との生活、特に文化も違う外国人との生活で少しドキドキしていましたが、上に書いたとおり言語の誤算はありましたが、うちのナニーさんはとてもフレンドリーでいつも私を気遣ってくれて、ストレスには感じませんでした。
< 基本的な生活 >
我が家のナニーさんとの基本的な生活はこんな感じ。
★1日のスケジュール
6時過ぎ ナニーさん/起床
7時 母/起床、子/授乳・おむつ替えなど
8時 母・ナニーさん/朝食 (パンやシリアル・牛乳など)
9時半 子/沐浴
10時 母/おやつ (ナツメ等が入った甘いスープ)、
子/授乳・おむつ替えなど
11時 ナニーさん/昼食準備、たまに買い出し
12時 母・ナニーさん/昼食 (麺等の簡単な物)
13時~17時 ナニーさんと私で交代でお昼寝
一人が寝ている間はもう一人がお世話
17時頃 ナニーさん/夕食準備
19時頃 親/夕食(産褥食)、子/授乳・おむつ替えなど
親&ナニーさん/シャワー・就寝準備
22時頃 子/授乳・おむつ替えなど
23時 母/ナニーさんにバトンタッチし就寝
子/2-3回授乳&おむつ替え by ナニーさん
ナニーさんは午後のお昼寝以外にも、床の掃除や洗濯など簡単な家事も終わって子供寝ていて暇なときは、仮眠や休憩・シャワーなどの休息もされていました。
育児に関しては、沐浴を始め最初はやり方を教えてくれて途中でバトンタッチしてくれたりと、手取り足取り教えてくれたので、自然に全ての育児ができるようになっていました。
< 食事 >
食事は基本的にニンニクや生姜をふんだんに使った薄味の中華ベースの炒め物やスープといった感じで食べやすいものが多く、夫も私も美味しくいただきました。いろいろと調味料も置いていってくれたのですが、私は使いこなせていません。笑
それにプラスして、郷に入れば郷に従えということで、産褥期用のスープ・お茶・ハーバルバスのセットを派遣会社を通して注文していました。
事前にTCM(中医)で診断してもらって、個人に合ったハーブを調合してもらいました。
産褥スープは苦くて健康に良さそう (笑) な味で挫折しそうになりましたが、せっかく買ったんだしと気合で飲み切りました。。
ロンガンティーは飲みやすかったし、ハーバルバスとともに体を温めてくれるのでおススメです。
もし中華系の文化を感じたい&どんな味でも飲み切るガッツがある方はスープもトライしてみてください!笑
< その他、お金に関することや注意点 >
食材の買い出しに関しては、うちは一度ナニーさんに建て替えてもらって後でお金を振り込むか、週末は夫と一緒に買い出しに行ってもらっていました。この辺りは家ごとの考え方によるかと思います。
その他、新生児の検診にはナニーさんもついてきてくれたり、母親のみの検診の際は子供を家で一人で面倒を見てくれました。
一つ注意すべきことは、ミルクのつくり方の違い。
海外では、ミルクに含まれる可能性のある"サカザキ菌"等の危険に関する意識が薄いため、日本のように70℃以上の熱湯でミルクを作るという文化がありません。ナニーさんの教育でも教えられていないため、ミルクのつくり方だけはしっかりと教える必要があります。
また、私も夫もあまり細かいことを気にしない性格なので家事や育児のやり方に不満はありませんでしたが、きっちりした性格の方には気になることもあるかと思いますので、気づいたときにちゃんと伝えることが、せっかくのナニーさんとの生活でストレスをためないためにも大切なことかと思います。
余談ですが、シンガポールもそうですが結構こっちの人ってお金等の下世話な話が好きなので、家賃や待遇について結構聞かれたりします。うちも家賃から、私が駐在員として働いていた際の待遇まで、結構いろいろと聞かれました。あと、他の家庭の話もされます。笑
私はもともと会社のローカルの人にもそういう話をされていたので慣れていましたが、慣れていない方は少し辟易するかもしれません。
あと、Confinement Angelsだけかもしれませんが、ユーザーに中間・事後レビューと、写真付きのレビューを書いてもらうとボーナスがもらえるようで、これを書くといくらもらえると赤裸々に説明されました。笑
写真付きはうちの夫が難色を示したのですが、いい人だし可哀そうなので後で私のポケットマネーでこっそりRed packetにその金額を上乗せしておきました。苦笑
まとめと後日談。
今回産褥ナニーさんを利用することで、育児のわからないことを相談したり教えてもらったり、身の回りの世話をお願いできたり、しっかりとした睡眠がとれたりと良いこと尽くしで、本当に頼んでよかったと思いました。
確かに約50万という金額自体は高いですが、日本で住み込みでここまで対応してくれるサービスはあまりないでしょうし、きっともっと高いでしょうし、ここでしかできない経験だと思うと、もし余裕があれば一度試してみることをオススメします!
ちなみに、うちのナニーさんは本当にいい人で、終わった後もメッセージをくれたり、後日別の家庭でナニーさんをするために事前にシンガポールに来た際にはプレゼントを持ってきてくれたりととても良くしてもらいました。
母体の早い回復のためにも、そう何度もない出産の一つの想い出としても、産褥ナニーさんをぜひ試してみていただけると幸いです。