今後の感染症に対するワクチン開発
前回の記事では感染症に対する考え方として、「今後、新型コロナウイルスのような新たな感染症はいつ起こってもおかしくない」というお話をさせてもらいました。「新型コロナウイルスの感染拡大による経済損失を繰り返さないために」という観点で、今後の感染症に対するワクチン開発について書いてみました。
現在、欧米諸国ではワクチンが承認されつつあります。そこで、やがて接種が始まるであろうアストラゼネカ(英国)とファイザー のワクチンについて紹介します。
〜アストラゼネカのコロナワクチン 〜
チンパンジー由来のアデノウイルス(風邪ウイルス)を使ったことが特徴のワクチンです。アストラゼネカは早い段階で臨床試験を開始し、日本にも供給されることが予定されています。これまでの臨床試験で、いくつかの重篤な副作用の報告もされており、慎重な判断が要求されると思います。
〜ファイザー のコロナワクチン〜
コロナウイルスの抗体をコードする遺伝子(mRNA:メッセンジャーRNA)を使ったことが特徴のワクチンです。現在、高い予防効果が報告されており、期待の高いワクチンです。
〜従来型のワクチン(不活化ワクチン)〜
これまでのワクチンは、原因となるウイルスを弱毒化させたものをヒトに投与することで、予防効果を発揮しておりました。
〜結局、どのワクチンがいいのか??〜
冒頭でも述べたとおり、新たな感染症はいつ起こってもおかしくない状況にあります。そうした背景の中、アストラゼネカやファイザーがこれだけのスピードでワクチンを承認まで持ち上げてきたのには理由があります。従来型と比較して、上記2社に共通することは「ウイルスの遺伝子を使ったワクチン」であることです。現在のバイオテクノロジーの進歩により、自由自在に遺伝子を大量生産することが可能になっています。ですので、新型ウイルスの遺伝子さえ特定できればいろんな種類のウイルスに対応したワクチンを作ることができるのです。
一方で、従来のワクチンである不活化ワクチンは、ウイルスそのものを増やして、弱毒化させる必要があり手間(時間)とコストがかかってしまいます。これによって、日本は欧米諸国よりもワクチン開発が遅れてしまったと考えます(ただし、日本でも遺伝子を使ったワクチン開発は実施されている)。
結論。。。
今後の新たな感染症に対応するためには、「遺伝子を用いたワクチン開発」がマストになってくると私は考えております。その理由は、スピーディーに感染症予防ができるからです。ただ、遺伝子を用いたワクチンはまだまだ前例が少ないために、抱える課題は多いと考えています。こんなご時世だからこそ、「どんな感染症のにも応用でき、安全かつ安定的に供給できるワクチンのプラットフォーム開発」に本気で打ち込むべきと私は考えております。
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