食後のデザート2(つづき)
年が明け、いつもの日常が戻った頃、私の実家から荷物が届く。庭で採れた八朔、約30個と、父の自家製切り干し大根、約400g。これは私の結婚後に始まった両親のルーティーンだ。
母から「みかん送ったよ」とメールが届く。
翌朝、届いた荷物の送り状は父の筆跡で、宛先には夫の名前が書いてあるが、その日はたいてい私の誕生日なので、私への誕生日プレゼントだと思っている。
実家と言っているが、元々は祖父母の家で、その頃はまだ元気だった祖父母の介護を見据えて両親が移り住んだ。私はそれを機に念願の一人暮らしをスタートさせている。
祖父母宅の庭には、いろいろな植物があった中で、たしかに立派な木があったと記憶していたが、祖父が亡くなった後、突然実がつき始めたらしい。だから私はこの八朔を祖父からの贈り物だとも思っている。
冷蔵庫のリンゴがなくなれば、いよいよ八朔の出番。どこかの天才が発明した《ムッキーちゃん》を駆使して、果肉を取り出す。ハズレもあるがほぼ当たり。みずみずしくて美味しい八朔が終わると、いつもの日課が戻ってくる。
まずはリンゴから切るのが、わたしの夕食を作る際のルーティーンだ。
《おわり》