#004 執筆期間中は読書を避ける
拝啓 毎日の読書を欠かさない方へ
本腰を入れて執筆している期間は、
好きな読書を避けた方がいいかもしれません。
わたしは読みません。わたしだけかも知れません。
あくまで、わたしの場合です。
ひとさまの小説を読んでいると、
「この言葉の使い方、なるほどね」とか、
「ここで1行空ける手法っていいかも」とか、
「こういう会話のやりとりもありなんだ」とか、
ついつい、あれこれ発見してしまうものです。
すると、いま執筆中の作品に影響を及ぼします。
似たようなことを実践し、
執筆の最中は満足できて「えっへん!」なのですが、
作品の冒頭から読み返すと「おや?」という違和感を覚えます。
それもそのはず、
発見した手法、感心した文体などは、
その作家さんや、その作品の特長の一つであって、
真似たところで自分はまだ使いこなせていないのです。
書き始めたばかりの時点であれば、取り返しが効きます。
冒頭から書き直すことだって可能です。
ところが、すでに何10頁も書き進めていたりなんかすると、最悪です。
すでに書き終えた箇所についても、整合性を考えて弄ったり、
せっかくならと大幅に手を加えてみたりと、もうしっちゃかめっちゃか。
もはや、進むも地獄、退くも地獄。
果ては、
「しばらく執筆を休止して、あらためて再開しよう」
「とりあえず、いま読んでいる途中の、この小説を読み切ろう」
という選択をしてしまいます。
わたしの場合、結局、再開することなく、
そのまま執筆を止めてしまったお蔵入りの作品もあります。
そもそも自分の特長とは違う異質なモノを取り入れたところで、
融合なんてしないし、ましてや化学反応なんて起きません。
読書を通じて得られた新たな発見に、
まったく影響を受けることなく、
自分ならではの文体を貫くことができる方や、
上手く取り入れて、作品のトーンをキープできる方は、
毎日の読書を続けることに差し支えありません。
しかし、わたしの場合は、差し支えあります。
なので、
執筆中は、ひとさまの作品を読まない。
執筆に影響を及ぼす読書。コレをしないという選択。
しかもこの選択は、これまで読書に費やしていた時間を、
執筆時間に充てられるというメリットがあります。
しかし、もちろんデメリットもあります。
積読本が増えます。
現在、パチパチとキーボードを叩いているわたしの視界の前にも、
何冊か積まれています。…… とほほ。
ちなみに外国文学の場合、わたしはまったく影響を受けません。
翻訳本の小説は、説明文が多く、1文が長かったりもするので、
わたしの場合、真似たいとは思わないのです。
その国の歴史や文化・慣習を学んだり、物語の面白さを味わうための小説。
それが、わたしにとっての外国文学。
「この人、誰だっけ?」
登場人物一覧に、その都度戻って確認するのは、めんどくさい。
似たようなカタカナの名前は、どうも苦手です。
★少年時代、この映画「アウトサイダー」が好きで、原作も好きでした★
S・E・ヒントン 著「アウトサイダー」