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映画「クルエラ」感想:“悪いのはみんな女”という薄甘いファンタジー。
ご存知、2021年5月公開、ディズニー期待の実写映画「クルエラ」。
大絶賛の本作、しかし・・
1、まずはあらすじ
パンクムーブメント吹き荒れる70年代のロンドン。生まれついての叛逆児、少女エステラは不幸な事故を引き起こす。その痛みを胸に、デザイナーを目指す。カリスマ的なファッションデザイナーのバロネスとの出会いで、運命が動き出す・・!
といった感じでしょうか。
2、でもさ、また “悪いのは女”?
物語には悪役が必要ですね。
そうじゃないとヒーロー・ヒロインがカッコよくなれない。
この作品での悪役も、ホント、ひどい。
これでもかって絶大な権力をふるい、周りを踏みつけ、振り回す。
この相手を追い詰めていく、クルエラの姿は爽快そのもの、カッコいい。
悪役女性も、とにかく強くてカッコいい。
でも・・また “悪いのは女” だけ ですか、ディズニーさん。
実写映画「マレフィセント2」でも似た構図でしたが、
悪いのはみーんな女なんだー。
男はみんな、心優しくて、でも弱くて助けられなかったんでちゅよ〜。
・・いやいやいや。
現実世界で絶大な権力もってる(そして他人や他国を踏みにじる)人は、
たいてい、“男性” ですよ。
たぶんこれ読んでくださってる、貴方の会社の社長も、男性なのでは?
3、女はいくら悪役に仕立てても、話がエグくならない
何故って、本当は女はぜんぜん、怖くないから。
そういうことなのではないでしょうか。
これや「マレフィセント」の悪役を男性キャラにしたらどうなるでしょうか。
たぶん・・実写ではエグくなりすぎて、「ファンタジー」として楽しめないのでは。ディズニーも無意識に(か意識的に)そう判断しての制作かと思われます。
しかし。
女性キャラが悪役なら「ファンタジー」として成立する。
安心して観てられる、ということは。
女性がそこまで悪虐なことをするのは「ファンタジー」、
実社会で脅威を感じるほどの力は実際にはない、
ということではないでしょうか。
本音のところで、女をあなどっていながら
大した悪役、悪い権力者に仕立てて、
男性を「心優しい弱い、正しいボクちゃん」と良い立場を守る。
映画「マレフィセント2」に引き続き、「またか・・」と観てました。
ディズニー社が悪いというより、社会全体の意識の影響なのでしょうけどね。
4、ついでに。 クルエラ、最初っから恵まれてるじゃん
親の理解があり、不幸はあったけど、すぐに犬と仲間に恵まれ。
「自分に正直に生きる」
「心の声に従う」
「これが私である」
というメッセージを感じた、とある新聞記事で読みましたが。
結構、最初っからみんなに才能を認められて、好き勝手してる 😁
うん、・・現実はそんなじゃないよー・・
弱い立場の者が「本当の自分」でいようとしても・・
仲間もいないし、助けも得られない。
何もないから、ますます何も得られない。
そこをどうするのか、描いてほしかったけど、な。
「誰とも違う自分」をもつ苦しさ、葛藤。
社会との戦い、孤独、屈折・・
ぜんぜんないですね。
美女が画面いっぱい、暴れてます。まあ、痛快だけど。
5、とは言え、貴方も颯爽と歩きたくなる
あの手この手で悪役を追い落とす展開は痛快!
ダークなファッション、スピード感、音楽、主役と悪役のカッコ良さ。
そして、とにかく、ゴ──ジャス!!!!
観終わったら、颯爽と街を歩きたくなる映画です。
何か、自分の人生の何かへの、答えを見出したい、
そういう必要がない人なら、痛快、カッコいい映画です。
6、ちなみに・・
わたくし、まかろんも、クルエラの二次創作、書いてます。
4年かけて書き、昨年4月からPixivというサイトで連載をつづけています。
題名は、「マイ・ボーイ」。
虐待し、子供のすべてを支配する毒親。
その親に支配される未来しかなかった、少女クルエラ。
その環境の中でどうやって、「本当の自分」を見出し、自由になっていくのか?
どうやって、少女は「クルエラ・ド・ヴィル」になっていくのか?
また、大人になって、成功しても逃げられない、毒親の影。
どうやって付きまとう過去を振り払えるのか?
2015年、東京ディズニーシーでのハロウィン・イベント、
「ヴィランズの手下」。
そこでのクルエラ(マスター)とその手下、Mr.ダルメシアの
誕生秘話をからめて、お届けいたします。
良かったら、読んでみてください。
痛みと苦しみ、孤独と絶望を知る方に。
綺麗事だけでない、何かをお届けできたら嬉しいです。