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「飛行機雲」を口ずさんだ日 マカピーの日々 ♯1589
マカピーです。
フィリピンに来て2ヶ月経ち、ハナさんの臨時クリニック活動の手伝いをしています。
患者さん達は体の不調を持ってハナさんを訪ねて来ます。
ただし今朝のケースは特殊なものがありました。
患者さんは15歳の少年です。
しかもとても良い体格をしていて、元気だったら快活でバスケットボールを上手にシュートできそうです。
しかし彼はフランシスおじさんに抱き抱えられ診察台に横たえられても殆ど生気を感じる事が出来ない状態でした。
どうやら2ヶ月程前に急性の白血病を発症し先日入院先の病院から高度医療の費用負担が出来ないのなら退院してもらいたいと家に戻って来たのだそうです。
そこにいつもの世話好きのフランシスおじさんが訪ねて行って「最後の頼みの綱」とばかりに何の前触れもなくハリー叔父宅にやって来たのでした。
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マカピーとハナさんは、昨日は午後の大腸癌ステージ4の家を訪問し予想以上の時間を食ったので午後6時を回って日暮れの中、戻ると思ったら違いました。
「緊急患者が待っているからフローレンスのガソリンスタンドに行くわ!」
到着すると既に6:30。
ワゴン車内に横たわっている60歳台男性は腹痛で顔を歪め、唸っていました。
ハナさんは痛み止めの注射をして落ち着いたところでブローして帰らさせました。
それにしても沢山の人がいて、緊急患者の付き添いだけではありません。
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結局、昼食も食べていないままガソリンスタンドを後にしたのは午後11:00近くになっていました。
実はフローレンスの市長をしている兄とその奥さんが登場したので挨拶したのでした。
市長の方も妹からハナさんの臨時クリニックの件を聞いていたので興味を持っていたらしいです。
彼らの母親はさっそく「直ぐに土地の測量を開始させて病院建設しなさい」と単刀直入に息子に命令していました。
さすがにそれは周囲の笑いを買っていましたが、ハナさんと市長が直接会い意見交換が出来良かったです。
そんな状況で深夜に戻って来ると、疲れ果てシャワーも浴びずにバタンキューと寝てしまいました。
ところが、早朝6時前には患者さん達が押し寄せ着替えをして診療が始まったと言う訳です。
マカピーは一時は10人以上が診察の待ち合わせする中でハナさんに代わって朝食準備を開始します。
そんな中で担ぎ込まれた少年は鼻や口から血が滲み出て母親がそれをティッシュペーパーでぬぐい自前のプラスチック袋が既にいっぱいでした。
意識がない状況でもハナさんは必要な処置をします。
少年の体の反応が戻って来たので更に丁寧にブローを繰り返しました。
そして午後に往診してフォローすると電話番号を聞いていました。
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最後の患者さんは、ブロアーを買い取りそれで仕事を開始したアイダが連れてきた方で、彼らが帰るとようやく朝食となりました。
食事を終えたのは午前10:00を回っていて、ハナさんはシャワーを浴びると寝入ってしまいました。
マカピーは頼まれていた100枚の患者カードの項目を記入し、お隣のジョンに頼んで朝日除けの寒冷紗ネットの取り付けを確認しました。
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ハナさんが午後にもう一度あの少年の家に行くと約束していたので「そろそろ出発しようか」と伝えに行くと、既にハナさんが起き上がりベッドに腰掛けていました。
マカピーを見上げながら
「今電話があって、あの少年が息を引き取ったそうよ」
「え···死んじゃったの」
「息子のアジズと同じ年。死ぬには早すぎるわね」
「もっと早く診察出来れば良かったね」
「発症した頃は誰もこんな事になるなんて思わなかったでしょうね」
「特に本人が一番驚いたろうね。発症してこんなに早く人生を終えるなんてかわいそうだなあ」
「‥‥ 今は苦しみから解き放され平安にありますように」
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さて気を取り直して、患者さんの待っているフローレンスのガソリンスタンドに行くことにしましょう!
マカピーは車をイフガオに向けて走らせながら松任谷由実さんの「飛行機雲」を口ずさむのでした。
マカピーでした。
最後までお読み頂きありがとうございます✨ 生まれた命には必ず終わりがありますよね。
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