村人も楽じゃない マカピーの日々 #1180
マカピーです。
今日はマルシアルの家に3度も往復したのです。
そもそもマルシアルの末娘(10か月)が不調となったのが約1週間前で治療したのですが乳児なので輸液が難しいのでした。
ハナさんの診断は「おそらく髄膜炎」との事でした。
前回は点滴ボトルを3本準備したのですがマルシアルたちは「もう良くなったから」と留置針を抜いてしまって残り2本を使わなかったのです。
ハナさんは「素人の判断はだめね。きっと後の支払いを少なくするためにそれ以上の治療をやめたかったのね」と言ってました。
やはりそれが良くなかったらしくm末娘がまた不調になったという電話がかかって来たのは、マカピー達がコタキナバルに向かっている車の中でした。
ハナさんは「私は数日コタキナバルに行っているから、私には戻って治療できないの。自力で病院へ連れて行きなさい」と伝えておいたのです。
ところが、2泊3日でコタキナバル滞在を切り上げて戻ってくる道中でもマルシアルの奥さんが涙声で「赤ちゃんがお乳を飲まないの!」と訴えるのでハナさんは「どうして、私を待っているの子供の命が大切でしょう!病院へ連れて行きなさい!」
マカピー達は3日目の午後4時、陽の高い時間にコタキナバルから戻って来たのです。
「ハナさん、マルシアルのところへ行こう!」と誘ったのですが彼女は、レストラン改修の現場に立ち寄ったまま「私は疲れているの」と頑としてマルシアルのところへ行くのを拒否するのでした。
結局、今日の午前10時ころにマルシアルのところへ行きましたが、家に入って末娘の様子を見てハナさんはマルシアル夫妻を罵倒したのです。
ハナ:「こんなになるまでどうして、この子を病院に連れて行かないのよ!私に電話してきたからそうするように伝えたわよネ!」
マルシアル:「お金が無いんだ!」
ハナ:「そんな言い訳を聞きたくないわ!子供の命を助けたかったらお金を借りて来ればいいじゃない!アンタたちは揃いもそろって大馬鹿者よ!」
もちろん彼らの生活の中で1万円もかかる医療費は苦しいのをハナさんは知っています。
文句を言いながらも、乳児の血管を探って両手、両足をみて結局右足の甲の血管に留置針を挿して何とか、輸液が開始されました。
たった一つの部屋しかない高床の家の中央に赤ちゃんは寝かされていましたが、輸液のボトルはその家の梁から紐を垂らしてぶら下げています。
積み上げられた衣類や寝具、部屋の片隅は炊事場となって水の容器がたくさん並べられています。
ハナさんはこの兄弟二人にも輸液をして命を救っているからこの家の事情をよく知ってます。
その助けられた男の子(3歳児)は治療する傍らでお腹が減ったと、お更にご飯に塩をまぶしただけのご飯を口いっぱいにかき込んでいました。
おかずも何もありません。
塩だけですよ!
処置が終わったのでマカピーは、ハナさんの医療バッグを車に戻してハナさんが女性同士の世間話を終えるのをマルシアルの座っているベンチの隣で話をして待っていました。
家に引かれている水パイプが近くの井戸からのものだけど、マルシアルは水浴びした水が逆流しているので「飲めない」と言っていました。
新たにドリル機械で井戸を30メートルほど掘れば海から50mも離れていないのに真水が出ると教えてくれました。
そうか、水道が無くても井戸を掘れば真水が手に入るんだ!と気づかされました。
するとマルシアルが「ワニの話を聞いたことある?」ってマカピーに尋ねたのです。
「ああ、一度海を泳いでいるワニを見たよ」と答えると「ボク、ワニに喰われたことがあるんだ!」って言うのです。「え、どこを嚙まれたの?」
すると、マルシアルはズボンを脱いで大腿部にのこる深い傷跡を見せて「これと他にもあるんだけど16針縫ったんだ」
「良く助かったね。どこで喰われたの?」「すぐそこの海岸。夜に漁をしに砂浜を歩いていたら襲われたんだ」「どのくらいの大きさだった?」「ちょうどRAV4くらいの長さ(約3m)」
どうにもここで村人やっているのも楽じゃないのです!
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。「いなばの白兎」じゃないんだよ!