見出し画像

記憶の村を旅する 1 マカピーの日々 ♯1468

マカピーです。
ヒラチンと2年過ごした村を訪問しました。

ヒラチンは昔の交通事故で陽射しを痛めていたのですが、骨の一部が欠け落ちたのがもとで歩行困難のなったそうです。

更に無料だからとアルゼンチンで6回も新型コロナウイルスワクチン接種をしたもの影響したとは本人の弁。

歩行する際や段差にある場所では介添えが必要なんです。

マカピーも車の乗り降りから手伝います。

マカピー達がサバ州政府側から配属されたのは州北部のクダット郡の2村でした。

マレイシア領としては更にバンギ島等がありますがその向こうはフィリピン領パラワン島がある土地柄です。

昔には州都があったとの事ですがそれがサンダカンが木材輸出で隆盛すると州都は移り更に戦後イギリスの保護領北ボルネオが終わりマレイシア1963年にとして独立すると州都はジェッセルトンをコタキナバルに変えて現在に至ります。

かつては豊富な森林資源を誇っていたクダットやピタスも伐採による資源枯渇の後では産業らしいものがありませんでした。

クダットでは中国系住民がココナッツ畑を経営しそこで先住民であったルングス族がその小作人化していた様な構造でした。

マカピー達協力隊は選抜された2つ村を中心に村落開発を手掛けたのです。

農業、畜産、保健、土木、普及員などの職種の隊員が派遣され村作りに協力し2年ほどの任期を終えると後任が来て4感激年ほど日本人が村にいる事になったのです。

村落開発事業はクダットからマルドゥ湾を挟んだ対岸のピタス地区の2村にも広がり終了したそうです。

マカピー達はその計画の第一期隊員だったんです。

ここがボルネオ島最北端の地

コタキナバルから北はずれのクダットは最近はボルネオ島最北端Tip of Borneoとして有名になってます。

マカピーがいた頃はそんな場所は話題にさえ上りませんでしたけど(笑)

コタキナバルからKudatは175km程ですがマカピーにとっても途中にあるKota Belud以北は最近足を踏み入れた事の無い未知の土地でした。

道路の状態は案外良くて往路はヒラチンと昔話を楽しみながら行けました。

ところがマカピー達の頭が時代に即応出来ていなかったのです。

つまり幹線道路に新しい町が生まれたり油ヤシの林が出現したので過去の目印がなくなってしまったのです。

村の入口が分からなくなって困るマカピー達の様子に一緒に来ていたハナさんが笑っていました。

最初はヒラチンの村で「こんな道だったっけ?」と首を傾げながら行くと「あ、あれだよ。ルマパンジャンが見えて来たよ」と懐かしい景色が飛び込んで来たのです。

でも協力隊の仲間と雨水を貯めるコンクリート貯水槽を見ながら雨樋がつながっていない事に気がついたマカピーでした。

何か様子がおかしい!

車をルマパンジャン(長屋)の近くに駐車して通りかかった村人にクトゥアカンポン(村長)の家を教えてもらいそこに行きました。

村長に挨拶

「ボクは昔ここにいたことのあるJOCV日本人なんです」

マカピーは自己紹介しました。

すると2階から出てきた上半身裸の老人はマカピーを見て不思議そうな顔をしました。

「ふ~ん、ワシの知っているJOCVといえばマッツ、ヒラチン、ヒロコ、ミチコ、アキラ、タケシ ええとあと誰だったかな?」

マカピーは「ほら」と、今やっと追いついたヒラチンを指しました。すると村長は目を見開き言ったのです。

「おお、ヒラチンじゃないか。よく来てくれた。そうかお前さんが帰ってきたんだな」

ヒラチンのマレー語はサバ州に来ても長年使わなかったのでなかなか出てこない状態だったのに、何と挨拶はリングス語が口をついて出てきたんです。

本人もびっくりしていました。

「そっちのルマパンジャンにもお前さんの知っている連中がいるぞ」

村長はシャツを着てヒラチンを案内したのでマカピー達もその後を付いて行きました。

途中でヒラチンが水道メーター施設を見てびっくりしていました。

そうか、だから苦労して皆で作った雨水貯水槽が利用されていなかったんだとマカピーも納得しました。

ルマパンジャンは政府支援で木造からコンクリート製に変わっていて電気も引かれていますし誰もがスマホを持っていました。

どれもがマカピー達がここで暮らしていた頃にはこの村に存在していなかったものばかりです。


今度は泊まって行けよ

次々に現れるオッサン、オバサンが自己紹介します。

「ヒラチン、オレを覚えてるか?」

「もちろん、〇〇だろう!」

しばらく歓談が続くのをマカピーもマレー語で手伝いながら急に不安になって来ました。

それはマカピーのいた村に行っても、自分にもヒラチンの様に当時を覚えてくれる村人がいないのではないか?

だって村人の名前が全然思い出せないんだもの!

次号に続く

マカピーでした。
最後までお読み頂きありがとうございます。空白期が一気に縮まる瞬間



もしもサポートいただければとても嬉しいです。そのサポートは感謝のバトンタッチとして使わせていただきます!