天空の峰から マカピーの日々 #1373
マカピーです。
近くに見える山に行って来ました。
マカピーは以前から気になっていた「天空の峰」と名付けられたカヤガンという山にハナさんとアジズと三人で行って来たのです。
本当は、今月去る予定のアイビルもつれて行く予定だったのです。
彼の住む島では大きな山が無いので、きっといい思い出になるかなあと思ったのでした。
ところが、事前に伝えていなかったので定休日の金曜日の朝に彼は買い物に出かけてしまっていませんでした。
まあ、仕方ないです。
その峰はちょっと神奈川県の丹沢山塊にある大山ににている緩やかな山稜です。
ただ湾の奥付きに位置するので海洋の影響を受けるのか頂上付近が雲に隠れている事が多いのでした。
その入り口近くはよく通りかかる場所でしたので、どんな風になっているのか全く分からなかったのですが金曜日ですから、店も夕方まで閉まっているので散歩することにしたんです。
店から20分ほどで入口に到着しました。
駐車場に車を止めて入場料(こども3リンギ、大人5リンギ)を支払い、さて歩き出そうとすると料金所の人に「10キロありますよ!」と言われたんです。
山道ですから片道3時間ほどかかるのです。
「車で来たんだったら、次の展望台のある駐車場まで車で行ったらどうですか?」
「え、車で行けるの?」
後で分かったのですが展望台に行くとそこに完成碑があり、2012年とありました。
なーんだ、そういう事だったんですね。
アスファルト道路をひたすら歩かなくてよかった。
展望台とその近くに展望塔がありました。
ナルホド、湾に浮かぶ島々が見え絶景かな!
レストランのある街並みも遠望できます。
こんなに近くて簡単に来れるのだったら先日訪問してくれたオジサンたちもつれて来ればよかったなあ!
(さっそく、三人にはメッセンジャーで景色を送信しました)
実は展望台のある場所は電波中継塔のある場所だったんです。
中継基地では発電装置が騒音を立てていましたが、ここまでディーゼルオイルを運び上げるのも大変だなあって思いました。
このあたりで一番高い山ですので電波塔の維持はそれだけ重要なんでしょうね。
さて、展望塔の裏には小さな散策路ができていて頂上まで更に1.2㎞あると表示がありました。
せっかく来るまでここまでこれたのだから、歩こう三人で頂上を目指すことにしました。
今朝まで雨が残っていたらしく、あたりは雨のしずくが着生したコケに残ってキラキラしていました。
最初の300メートルほどはバードウォッチングや野生動物観察の表示があり「なかなか整備してあるじゃん」と喜んでいたのですがそのうちコンクリートで固められた山道の起伏が激しくなりました。
すべり止めの溝線があるのですが、落ち葉に乗って足を滑らせると尻もちをついて転がり落ちます。
危ないぞ!気を付けろ!
これほどの傾斜度の歩道を作るとはいったいどういう、設計をしているんでしょう!?
それでも周囲の様子が一段と「深い森」に来た感じを醸し出して着生ランやコケを厚くまとった木々が現れてくるのでした。
そうです、この森は保護区内なので原生林に近いもののようです。
しかもかなりの湿度があるので、もっと高度が高ければ本格的な雲霧蘚苔林が形成されていたかも知れません。
そう考えたのはマカピーが青年海外協力隊員時代トゥルスマディ山というコタキナバルからクロッカー山脈を越えたケニンガオから更に奥地に行った2600m級の山に登ったことがあったからです。
植物学専門の協力隊員に同行した山登りでしたが、地元のポーター3人を雇い一週間ほど山の中を満喫した思い出です。
さて、そんな道路の崖沿いにはウツボカズラがありました。
アジズは初めて見るらしく食虫植物である事を説明しました。
トゥルスマディ山の山頂近くには世界最大級と呼ばれるサイズのウツボカズラがありその中にはシビンウツボカズラもありました。
そうです、尿瓶(しびん)の名を冠しただけあってそのものの形をしている珍しいものでしたがそれも実物の尿瓶より大きいくらいでした。
いつかアジズもそうした珍しい植物を見に行く機会があるかしら?
ときどき鳥の声が森にこだますのですが、姿が見えません。
きっと動物も沢山いるかも知れません。
山頂付近から四方を見下ろすとアブラヤシ畑が麓まで迫っていました。
いったい人間はどこまで自然破壊をすれば気が済むのでしょうかね?
もっと、自然保護区を沢山残しても罰は当たらないでしょうに。
しかもかなり急峻な土地までアブラヤシの単一種によるプランテーション化をしているのでした。
土地開発で原生林を切り開いただけでなく、そこに化学肥料もまくし植生だけではなく野生動物にとっても相当な環境変化があったはずです。
道路沿いには時々、野生動物が車に轢かれる事故で死骸をさらしているのでした。
さらに、歩道を行くと山道整備の工事現場に突き当たりました。
簡単なキャンプ地となっていて、山の細い沢水をあつめてコンクリートを練って歩道を作っているのでした。
おそらくその先200mほど行けば頂上に着くだろうと思われましたが、今回はここまでにして引き返すことにしました。
普段歩いていないハナさんはかなりくたびれている感じがしましたから。
元の駐車場に戻り「また、日を改めて来よう」と話しているとゲート近くになって道路中央に黄金色のものが見えました。
「あれ、何だろう・・・お、サルだよ!」
「何でうずくまっているの?」
「見て、足が骨折して飛び出しちゃっているよ」
「おそらく交通事故に遭ったんだろうね」
車をゆっくりその脇を走らせ、ゲートに到着するとハナさんに係員に連絡してもらいました。
「後で見に行くって言ってたけど、やる気なさそうだったわ」とハナさん。
おそらくマカク種ではなくギボンだったと思うのですがかなり大きく体毛が黄金色でした。
もしも係員が行って見ても、その報告を受けて森林局の獣医が駆けつけるなんてことは期待できそうに無いでしょう。
野生動物保護は看板に「みんなで守ろう野生動物!」と各種の絶滅種のイラストがあるのですが、実際には「手を出すな」ということでケガをした今回のような動物を保護する施設も無いという事です。
あのギボンはどうなってしまうのかしら?
ハナさんは「あのサルはとっても悲しい目をしていたわ。もう苦しいから私を轢いて頂戴って訴えていたと思う」だからケガの体をおして道路中央にいたんだろうって。
アジズはそれを黙って見ていました。
彼はどんな風に感じたんでしょう?
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。やっぱり外に出てみるといろいろ知ることになりますね!
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