デコちゃん『命の水』マカピーな日々#0782
マカピーです。
数年振りに会ったマカピー妻の従姉妹のデコちゃんの言動がおかしいのでした。
聞けばデコちゃんは今年「80歳」です。
ある程度の言動はマカピー達も年相応と理解できますよ。
ところがマカピーなんかよりも、子供のころから付合いのあるマカピー義母が彼女の異変に眉をひそめたのでした。
それは、昼食前後の2時間ほどの間に、同じ話が幾度か繰り返されてはいたのですが、もう一人の従姉妹の女性の展覧会(展示即売会)だったので挨拶した後で「ところで、今日はダーリンはどこにいるの?」
その言葉に、お客さんを含め周囲の人が一斉に「え?」と顔を上げたのでした。
マカピー妻:「デコちゃん。ダーリンって彼女の夫だった秋元さんのこと?彼はもう5年以上前に亡くなっているでしょう!」
デコちゃん:「・・・・」
なんと、こちらからの問いかけには、反応がなく表情が消えてしまうのでした。そしてふっと表情が戻ると何事もなかったかのように別の話題に移っていたのです。
あれ?なんか変だよ。
デコちゃん自身も夫を亡くして10年ほど経つのですが、その後も一人で自由気ままに生きてきて、マカピーの滞在していたザンビアなどにも来ていただき一緒に旅をしたことがありました。
ところが、以前からそうだったのですが、他人に依存する性格が強いかたで、彼女のほうが若いのにもかかわらず海外旅行でも年上の義母に頼りっきりなのでした。
その一方で我がままがあり、国立公園内のホテルでも一番良い場所はいつも彼女が「ここはワタシのベッドよ」とほかに譲ることをしないのでした。
同行の別の友人から「デコちゃん、いい加減にしなさい!トイレに近いのだからこちらのベッドをおばさまに譲ってあげなさい。」「だってこっちがいいのよ。ね、叔母さんいいでしょう?」
マカピー義母が苦笑しながら「いいわよ。あなたの好きで」というと「ほら、大丈夫でしょう?ワタシのベッドなのよ、最初からここは」という始末で友人も呆れていました。
独身時代からマカピー妻はミャンマーを彼女と一緒に旅をして困ったそうです。
1980年代のミャンマーではお酒類を女性に提供するところが少なく、それでも「ワタシはビールがなけりゃダメ。飲ませて!」と駄々っ子のようになってしまい、人目のつかないレストランの隅で食事をとらされたりずいぶん困っていました。
インドやミャンマーでは宗教上、習慣で女性がアルコールを飲めない場所があっても、外の店でマカピー妻にビールを買ってこさせ、それを自室での飲むことになっても一向に気にしないのでした。
亡くなったデコちゃんの夫は、生前マカピー妻に「よく我慢できるね。オレ頭に来ちゃうから、アイツ(妻)と一緒に旅したいと思わないよ」と言わしめたくらいですから。
今回もデコちゃんは「ワタシにとってビールは『命の水』なのよ!」開口一番そう言ってレストランで注文しました。
そしてグビグビと飲んだ後で、「え、ワタシだけ飲んで申し訳ないわね。でもどうしてみんなは飲まないの?」
マカピー:「ボクは運転しているし、まだ昼食だから遠慮しておきます」「そう、悪いわね。でもこれは『私の命の水』なのよ、分かる?」と再び飲むのでした。
デコちゃんは神奈川の川崎から千葉の流山まで来ているのに、彼女「お金」をほとんど持ってきていないのでした。
従姉妹の展覧会で小銭を出しながら「ワタシの持っているお金はこれだけ!」と小銭入れをひっくり返して数百円しかないのに従姉妹の作品をいくつか所望していました。
従姉妹:「デコちゃん。アナタこの現金がなくて家に帰れるの?」
デコちゃん:「うん、パスモ(交通系電子マネーカード?)があるから電車に乗るには困らないわ!それより買ったものの不足分はどうする?」
従姉妹:「・・・あ、いいわプレゼントするわよ。でも本当に大丈夫?」
マカピー達との食事が終わりました。
さて帰宅する段になってトイレに行くにもバッグなど置き忘れているだけでなく、駅に見送りに行くと乗り継ぎで2時間近く電車に乗って来たのに、自分がどうやって帰宅するのか良く分からないというのです。
ええ!?それってまずいよね。
しかもデコちゃんは、すでに「日中ビール」を飲んでいるので足元が心もとないのでした。
マカピーたちとは反対方向へ帰るので彼女のことが心配になりました。
マカピーは気になって「デコちゃん、どこで乗り換えるのかわかりますか?」と尋ねるとデコちゃんは「うーん・・・」と首をかしげるのでした。
マカピー妻は「デコちゃん、分からなくなったら近くの人に川崎の最寄りの駅の名前を言って尋ねるのよ、分かる?」
マカピー義母は小さな声で「こんなになるって分かっていたら、ビールなんて飲まなければいいのに・・・ホント困った子だわ」
腰痛から回復したマカピー義母よりも、ヨチヨチ歩きでホームに行くデコちゃんを橋上駅舎に上るエレベータに乗せてお別れしたのでした。
マカピー妻:「どうして、ああなっちゃったのかしら」
マカピー義母:「むかしから我がままな性格だったけど、あれじゃあ私の夫もデコちゃんを嫌うわけだわ。実はデコちゃんの妹の夫が亡くなったから一緒に墓参に行こうかと思ったけど無理。諦めたわよ」
マカピー:「さっきデコちゃんは、来週福島の温泉に姪っ子さんと行くんだって言ってたね?」
マカピー義母:「その姪との旅行でも、本人は今日みたいにお金なしで出かけるんだって、デコ妹が嘆いていたのよ」
マカピー妻:「え、常習化しているの?」
マカピー:「お義母さん、ちょっとデコちゃんヤバくない」
マカピー義母:「普段も、お昼からビールを飲んでるんですって。一度は酔ってお風呂で倒れてしまって救急車を呼んだって言ってたわ。それ以来朝湯を浴びるパターンになったって聞いてるわ」
マカピー妻:「そこまで飲み続けないといけないものかな?」
マカピー:「どうも、アルコール依存症に認知症が入りかけてない?」
マカピー義母:「でも彼女を病院に連れてゆこうとするとデコ妹は噛みつかれるので、怖いって言ってたわ」
マカピー:「息子が二人いたよね」
マカピー妻:「デコちゃんがあんなだから、誰も家に寄り付かないのよ」
マカピー:「あらら」
マカピーでした。
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