本を渡してみたら マカピーの日々#1026
マカピーです。
単に「本を読む」っていう事だけでいろいろ考えさせられました。
ロビンの子供は男の子が多く、女の子は長女のみで10歳くらいだったはずです。
で、いつもの通り海岸の村に来て作業していると、子供たちが学校から帰って来ました。
そこでマカピーは長女に声を掛けました。
マカピー:「学校から帰って来たんだよね。今君は何年生なの?」
長女:「・・・」なんだか答えづらいようでモジモジしているのでした。
ハナ:「どこの学校?」
長女:「すぐそこ」と村の中心地の方を指をさしました。
え、学校らしき施設ってどこにあったかしら?
ハナ:「マスジッド(礼拝場所)を利用したものらしいわね。だからクラスが分かれていないのよ」
マカピー:「インフォーマルの学校っていうわけかな?」
ハナ:「もう少し行けば、義務教育が受けられる学校があるのに彼らは行っていないのよ」
マカピー:「たしかに、この村からあそこまで歩いて通うのは大変だね。オートバイが必要かも」
(海岸を歩ければ片道3㎞くらいでしょうか)
確かにこの村の人々の国籍が曖昧だったりしている事もあるけど、実際には身分証明書もあるのだからそれなりの福利厚生と教育を受ける権利を有しているはずなんだけど、親たちも教育をさほど気にしていないようなのです。
マカピー達もこの村に入りびたるようになって、それほど時間が経っていないので、本当のところはまだ分かっていませんけど。
ハナさんはこの村の様子を見てこう言います。
「親が教育に対する興味を持っていないから、子供たちも家の手伝いが出来ればいいくらいに思っている」
「そして16・17歳にもなれば結婚しちゃって親と同じ仕事をするのが、この辺りの平均的な村人の生活なのよ」
マカピーは州都のコタキナバルで自分のマレー語学習用に買った、子供向けの「マラヤの童話集」を買っていたのを思い出しました。
それを長女に渡しながら、「これを読んでくれたら君にあげるよ」っていうと、目をパッと輝かして手に取ると父親の作業を手伝っている脇に置いて弟たちが来ても決して渡さないのでした。
「ねえ、その本をぼくに読んでおくれよ」
彼女は困ったような顔をしながら無視し続けるのでした。
この様子に両親や兄弟もニヤニヤでした。
どういう事かな?
やがて昼食がおわり休んでいると、長女はボクの横で父親のスマホを見ながら「ルンルン」と音楽を聴いているのでした。
マカピー:「ねえ、彼女ボクの渡した本をどこにやったんだろう?」
ハナ:「さあね。弟たちの手の届かないところに隠したんだろうね」
マカピー:「もしかして彼女は文字が読めないって事なの?」
ハナ:「おそらく読めないと思う。毎日行っているという学校で何を習っているのか知らないけど」
そういえばこの兄弟が教科書らしいものを持っていた事を見たことがありませんし、ペンを使ってノートに何か書いている様子を見たことがありません。
ただ、長女は仕事関係で記帳をしていると熱心にそれをのぞき込んでいた事があるのを思い出して、勉強に興味がありそうだとは分かったのですが。
本を渡しただけでいろいろ分からなかった彼らの生活が分かるきっかけが生まれたのかも知れません。
問題はこれからマカピー達がどう彼らと関わって行くかです。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。長い目で義務教育を考えたいです