雨漏りの歌 マカピーの日々 #1217
マカピーです。
スコール(驟雨)が来ると雨漏りがあるんです!
倉庫に住むようになって分かったのは、2か所ほど雨漏りがあるって事なんです。
ヤレヤレ
昨日も夜明け前に、突然「ザーッ」っと激しい雨脚が屋根を叩く音でマカピーは驚いて起きます!
倉庫なので、事務所以外は天井は無くスパンデックスと呼ばれる屋根の波板がそのまま見え、スコールの騒音が大きく話し声が聞こえなくなるほどです。
ポタポタポタ・・・
そのままにしておくと床に水たまりが出来るので、雫が落ちる下にタライを置くのでした。
ポタン、ポタンと音がするのをテーブルに座って聞きながら、ウトウトしていると、そういえばこんな風にタライやバケツを置いた光景を思い出したのは一体何時でどこの話だったかしら?
そうだ、それは5年前のユキさんのところで泊った時の雨漏りだったのです!
ユキさんはタイに長年住み、カンチャナブリで児童虐待を受けた子供などを保護する施設で長く働いた後、チェンマイからさらに奥に入った村で今度は少数民族の子供の面倒を見る施設を立ち上げていました。
そのユキさんの体調が悪くなったと聞いて、バンコクにいるシューちゃんとマカピー妻の3人で訪れたのでした。
そこへは乗り合いバスで1時間ほど揺られて辿り着く村で、かつてマカピーファミリー5人で出かけると子供たちが車酔いしてダウンしていたくらいです!
カンチャナブリの施設に泊まった時は、案内された部屋に入るとニワトリが飛び出してきて、布団が置いてあるところに卵が3つあり子供たちは興奮してました!
スゴーイ、うちの中にニワトリもいるんだ!(笑)
空港には事前に連絡していたので、奥さんのチュンさんが車で迎えに来ていてくれました。
チュンさんの車は、市街を抜け走るのでマカピー妻が尋ねました。
マカピー妻:「ねえ、ユキさんのいる病院てどこにあるの?」
チュン:「入院していないのよ。村に帰っているの」
シューちゃん:「え、大丈夫なの?」
チュン:「今は調子が良いのよ」
チェンマイ奥の施設にはゲストハウスもあるのですが、以前来た数年前より施設が増えていたのですが、荒れた感じがしました。
それはユキさんがもっぱら施設全体の管理をしていたのが、病気で出来なくなったからでした。
事業を引き継いで間もない、ユキさんの息子が案内してくれたゲストハウスはビックリするほど荒れていて二階に上がる階段が水浸しでした。
息子:「気を付けてください。雨漏りしてます」
足を滑らさないように3人が二階に上がると、天井にポッカリと暗い大きな穴が開いていました。
なんで、こんな大きな穴が開いているのか、不思議に中をのぞくのですがそこから空が見えるわけではありませんでした。
どうやら長年にわたっての雨漏りが天井板を腐らせてしまいこうなったようです。
マカピー妻:「きゃ、何かいるわよ!」
マカピー:「あ、コウモリが3匹ほどぶら下がってるよ」
シューちゃん:「なんか、洞窟に来たみたいだね(笑)」
マカピー妻:「幼い頃の子供たちが見たら、喜んでたでしょうね」
自分たちの寝場所を確保して、3人でポタリ、ポタリという雨漏りの音を聞きながら食事時間まで部屋で過ごしました。
そこにはユキさんのアルバムがあり、色あせたカラー写真の数々は彼が旅をした世界各地の様子が記されていました。
そして、タイでの写真の中にボランティア活動のものがありました。
マカピーを除く、ユキさん、シューちゃん、マカピー妻の3人はかつて一緒にバンコクでボランティア活動をしていた仲間だったのです。
同じ経験をした僚友が不治の病にたおれた時に、日本からも友達が訪ねてきました。
そしてマカピー達もベトナムから来る際にも日本の友達からの見舞いを託されていました。
ユキさんは、げっそりと痩せてしまいましたが一緒に食事をしたりお茶を飲みながら、いつものショウモナイ冗談を繰り出しマカピー達を笑わせてくれました。
マカピーも心の中で「最後のお別れ」をして、ユキさんの奥さんの運転でチェンマイまで送り届けてもらい、バンコク経由でハノイに戻ったのでした。
それから、数か月後にユキさんは入院先で静かに亡くなりました。
いまでも、雨漏りの音を聞くと何故かしらあの大きな闇のような穴とユキさんの事を思い出すのでした。
マカピーでした。
最後までお読みいただき感謝します。雨漏りがユキさんの下手な歌に聞こえる