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【概念の集合】について:問題解決のための新しいアプローチ

こんにちは、馬渕です。

このページでは、【概念の集合】という考え方について、解説していきます。

概念の集合は、あらゆる分野・テーマにおいて問題解決に役立つ強力な方法論(アプローチ)として活用できる考え方です。

以下では、その基本的な考え方やイメージ、応用方法をご紹介させていただきます。

※ブログでもお読みいただけます。

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概念の集合とは何か?

概念、あるいは概念の集合とは、いったい何でしょうか。

これは少し難しい言葉に聞こえますが、私たちにとって非常に身近なものでもあります。

人間は、生まれてから大人になるまでの過程で、様々な概念を獲得・形成・蓄積していきます。そしてこれらの概念は、脳内で相互に結び付き、ネットワークを形成します。

人間は、こうした多様な概念のネットワークを用いて、考えることをします。

これは、私たち人間が持つ概念の集合(概念空間)として捉えることができます。

※以下は、後に少し触れますが、この概念の集合の一つの事例です。

◆概念の集合の事例

このように様々な概念の集合(概念のグループ、概念のコレクション)を用いて、私たちは「思考すること」をしています。

このように哲学的な集合を考えるのは、理由があります。

概念は、人間の思考プロセスに影響を及ぼす最大の要因(ファクター)です。

そして、概念は、我々が直面する問題が解決に至るか否かを左右する決定的な要素でもあります。

※補足記事

私たち人間は、生きている限り問題に直面することを避けられません。

※以下は、この世界に存在する問題の事例のリストです。個人レベル、集団レベル、社会レベルの各水準で私たちが直面しうる問題の例を挙げています。

問題の事例

宇宙には無限に問題が存在するので、上記のリストは一例に過ぎないのですが、こうした問題に直面したとき、

概念によって、問題解決ができるか否かが決まってしまうのです。

概念の集合という哲学的なアイディアは、

概念が問題解決のプロセスにおいて果たすこの重要な役割に着目しつつ、

さらに問題解決に役立つ強力な理論&思考ツールとして発展させた新しい考え方です。

※この考え方を理論化・体系化したのが後述の【概念空間論】です。

以下では、概念の集合の①具体的なイメージ、②基本的な扱い方、③概念の集合を応用する方法などを解説していきます。

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概念の集合のイメージ

概念の集合というのは、かなり抽象的でイメージがしにくいものだと思うので、まず視覚的なイメージをご紹介したいと思います。

以下は、概念の集合の具体的なイメージ図です。

◆概念の集合のイメージ①
◆概念の集合のイメージ②

この2枚の画像には、大量のキューブ(立方体)が描かれていますよね。
この個々のキューブは、人間が持つ様々な概念を表現しているとお考え下さい。このように複数の概念(キューブ)をグループ化したのが概念の集合です。

これは私のお気に入りの図で、概念の集合という言葉から想像するイメージと完全に一致しています。

※概念の集合は、後述する通り、概念空間として解釈することができます。

以下では、このようなイメージを持ちながらお読み頂けたらと思います。

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概念の集合の事例

先ほど、一つだけ概念の集合の事例を挙げましたが、幾つかほかの事例もご紹介したいと思います。

一般的な概念の集合

概念の集合として、最もわかりやすいのは一般的な概念の集まりです。

ふつうの概念の集合の事例

これは日常生活の中でよく使う普通の概念を、概念の集合としてまとめたものです。

私たちは、思考、読書、勉強、会話などのシーンでこれらの言葉を使うことがありますよね。

このように、任意の概念を集めてグループ化したものを、概念の集合と考えます。

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学問の概念の集合

次に、様々な学問で使用される概念の集合を考えてみます。

あらゆる学問は、複数の基礎的な概念と、その概念同士の結びつきからできています。

学問にとって、概念は不可欠なものです。概念をもたない学問というのは存在しないし、想像することもできないでしょう。

例えば、哲学という分野の概念を複数集めると、次のような概念の集合を構築することができます。

事例①哲学的な概念の集合

こうした概念の集合は、もちろん他の学問分野でも考えることができます。次の事例は、論理学的な概念の集合です。

事例②論理学的な概念の集合

以下は、生物学的、あるいは生理学的な事例です。

事例③生物学的、あるいは生理学的な概念の集合

※これらは個別の学問分野に含まれる概念から構成された概念の集合(概念空間)ですが、もっと範囲を広げ、あらゆる学問の概念をまとめて概念の集合を考えることもできます。

このように、任意の学問的な概念の集合、というものを考えることが可能です。

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補足;概念が表現しうるもの

ここで次のような疑問を持つ方もいると思います。

概念の集合とは、結局、いったい何を表現しているのか?

これまでの集合の事例を見て、ただの「言葉のリスト」ではないのだろうか、と感じるかもしれません。

数学において考えられるような集合とは全く異なるような、哲学的な集合を考えることに、どのような意味があるのでしょうか。

これには明快な答えを提示することができます。

概念の集合とは、「概念によって表現しうるものの集合」でもあります。

先ほどお伝えした通り、

概念は、人間の思考プロセスに影響を及ぼす最大の要因(ファクター)です。

その概念は、実に様々な機能や働きを持っています。

概念は、例えば、次のようなものを表します。

概念 = 観点、焦点、像、考え方、方法論、枠組みetc...
(パースペクティヴ、フォーカス、イメージ、アイディア、アプローチ、パラダイムetc...)

人間の思考プロセス、あるいは問題解決のシーンにおいて、概念は、

物事について眺めるときの特定の観点、焦点、像など(パースペクティヴ、フォーカス、イメージetc...)を表したり、

物事について思考し理解するうえでの考え方、方法論、枠組みなど(アイディア、アプローチ、パラダイムetc...)になるのです。

概念の集合をこのように解釈することで、応用の可能性が一気に広がります。

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例えば、概念は、物事についての考え方を表現することができるため、

概念の集合=考え方の集合と解釈して、使うことが可能です。

先ほど、このような概念の集合の事例を挙げました。

◆概念の集合の事例

これは概念の集合であると同時に、物事についての考え方の集合でもあります。

こうした概念の集合を、考え方の集合と解釈したうえで、問題解決に取り組んだらどうなるでしょうか。

問題解決のための「考え方のパターン集合」として、活用することができます。

このようにすると、ただ漠然と目の前の問題に取り組むより、ずっと問題を解決できる可能性が上がることにお気付きになると思います。

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「概念の集合」は、「概念によって表現しうるものの集合」と解釈できます。

例えば、概念の集合=観点の集合(パースペクティヴの集合)と解釈すれば、概念の集合によって、物事を多角的な視点から捉えることができるようになります。
※例えば、これは認知バイアスの解消方法として使用できます。
認知バイアスを回避するための思考ツールの紹介

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また例えば、概念の集合=理論、方法論、枠組みの集合と解釈すれば、新しい理論の構築、新しいアプローチの開発、新しいパラダイムの生成に役立ちます。

これは、例えば、新しい学問の理論や、未知の問題への解決策を創造できることを意味します。
※この応用方法は、後述する参照平面、概念空間論、未概念法といった考え方で体系化しています。

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「無限に多様な概念の集合」を考えよう

ここまでの記述で、概念の集合という考え方がもつ可能性が少しずつ明らかになったと思います。

私が概念の集合という考え方を大事にしているのは、あらゆる問題解決のシーンで極めて強力な思考ツールとして活用できるからです。

概念の集合を実際に使用して考えるときのポイントについて、少し触れておきたいと思います。

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概念の集合を問題解決に応用して考えるときは、基本的に「無限に多様な概念の集合」を想定します。

そして、この無限に多様な概念の集合を、大きく2つのグループに分類します。

①既知の概念の集合は、既に自分の手元に揃っている概念のグループです。

もちろんこのグループも重要なのですが、問題解決のシーンでは、これだけでは十分ではないケースがあります。

問題解決のプロセスでは、基本的に、適切な概念が不足している状態では、その問題を解決することができません。

こちらの図をご覧ください。

この図には、無限に多様な概念の集合のなかで、①既知の概念の集合と②未知の概念の集合の両方のグループが描かれていますが、

②未知の概念の集合のほうには、何も概念が含まれていません。

もし仮に、現在我々が直面している問題を解決できていないならば、それはこの②未知の概念のグループに含まれる概念が不足していることを意味します。

これを概念の不足状態と呼びます。

それゆえ、②未知の概念の集合を想定することが重要になります。

未知の概念の集合は、新しい認識(気付き、学び、発見、洞察など)を与えてくれます。

新しい概念を獲得すると、新しい認識が得られ、問題を解決できるようになるのです。

これまでの話を図式的にまとめると、次のように整理することができます。

この考え方をまとめると、問題解決に役立つ極めて強力な理論&方法論を構築することができます。

概念の集合によって問題を解決する方法

では、実際に概念の集合という考え方を使って、問題を解決するための方法についてお話ししたいと思います。

これは後ほどご紹介する未概念法という思考方法の内容に入るので、大まかな方向性だけご紹介します。

ステップ①問題の定義、リスト化

まず最初のステップでは、あなたが解決したい問題をリストアップして下さい。あるいは、解決したい問題を特定して下さい。

ここで問題を言葉で表現し(言語化)、定義していきます。

ステップ②無限に多様な概念の集合を考える

次のステップでは、無限に多様な概念の集合を考えます。

この無限に多様な概念の集合は、2つのグループに分類できました。
既知の概念の集合と、未知の概念の集合ですね。

あなたにとっての①既知の概念のグループだけで、問題を解決できる場合もありますが、これは恵まれたケースです。

解決が困難な問題に直面した場合には、②未知の概念の集合を考える必要があります。

先ほどの図をもう一度確認してみましょう。

この図の上部には、あなたが既に保有している①既知の概念の集合があります。そして下部には、未知の概念の集合と書いてありますが、このスペース(概念空間)には、なにも含まれていません。

この②未知の概念の集合こそ、本来は目の前の問題を解決してくれる概念のグループで、本当に必要なのはこちらです。

ステップ③未知の概念の集合を補給する

この②未知の概念の集合こそが、真に問題解決に必要な概念のグループです。そのため、未知のスペースのほうに概念を補給することを考えます。

未知の概念を用意する方法は幾つか考えられます。

未概念法という方法を用いると、短期間で大量の概念を創造することができ、「概念の不足状態」を解消できます。

以下の図をご覧下さい。

先ほどは、概念の不足状態だった道の概念のグループのエリアに、新しい概念の元となる未概念が含まれています。(未概念の散布)

この未概念を用いて新しい概念を連続的に創造することによって、概念の不足状態が解消されます。

ステップ④問題を解決する

概念の不足状態が解消できれば、あとは殆ど自然と問題は解決に至ります。

具体的に言うと、概念の不足状態が解消されると、新しい認識(気付き・学び・発見・洞察など)が得られます。

これによって、問題は完全な解決に至ります。

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これが概念の集合という考え方による問題解決の大まかな流れです。

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最後に、概念の集合を応用した理論や方法論を幾つかご紹介します。

概念の集合の応用方法

ここでは、参照平面、概念空間、未概念法という3つの考え方をご紹介します。

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応用方法①【概念の集合】から【参照平面】へ

参照平面とは、「概念の集合から構成された平面」を意味する概念です。

参照平面は、例えば、メタ的思考、多角的思考、認知バイアスの回避などを可能にする思考ツールです。

別の記事で詳しく解説させていただきますが、

参照平面では、概念は「光学的なレンズ」のような役割を果たすものと考えます。

光学レンズは、光を屈折させ、焦点を結び、像を浮かび上がらせますが、人間の思考プロセスにおいて、概念は、同様の機能を持っているのです。

【参照平面】とは言わば「光学的なレンズの集合体」であり、「無限に多様なレンズの集合体から構成された平面」である、というのが正確なイメージです。

【参照平面】は、あらゆる「対象」や「問題」を、

光源としての無限に多様な異なる概念や観点(パースペクティヴ)から照射し、眺めることを主眼におく、光をモチーフとした概念です。

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具体例を挙げてみたいと思います。

参照平面とは、概念の集合から構成された平面のことでした。

この参照平面では、例えば「分野別参照平面」という名称で、学問分野ごとに概念の集合を分類したうえで表示することができます。

すべての学問分野の概念群をごちゃ混ぜにして集合を作ることもできるし、分野ごとに整理して集合を作ることもできます。

以下は、分野ごとに整理してある概念の集合の事例です。

※chatGPTで出力、概念の選択はかなりアバウトなので、雰囲気だけ感じていただければと思います。

少し長くなってしまいましたが、このように学問別の多様な概念の集合を考えることで一つの問題に対して、様々な観点(パースペクティヴ)から問題にアプローチできることがわかります。

概念は、次のように様々なものを表現するものでした。

概念 = 観点、焦点、像、考え方、方法論、枠組みetc...
(パースペクティヴ、フォーカス、イメージ、アイディア、アプローチ、パラダイムetc...)

先ほどの光のアナロジーを思い出してみて頂きたいのですが、

参照平面とは、光源としての無限に多様な観点&概念の集合から光を照射し、対象のあらゆる像を浮かび上がらせます。

問題解決シーンにおいては、問題を無限に多様な概念の集合を用いて思索し、無限に多様な観点から眺め、解釈することを可能にするのです。

参照平面による、無限に多様な概念の集合を用いた問題解決へのアプローチ

※補足:さらに、参照平面は、定義に「平面」を含んでいます。
これは、無数の情報を視覚的にパネル表示することもできることを意味します。参照平面は、概念の集合を他者と共有できる機能をもつ思考ツールです。この分野的参照平面は、例えば、現代社会における複雑な問題や、分野横断的な考え方をしなければ解決できない問題について取り組むとき、効果を発揮します。※これは超学際(トランスディシプリナリティー)的な考え方をするうえで極めて重要です。

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応用方法②【概念の集合】から【概念空間】へ

概念の集合は、そのまま概念空間として考えることができます。

概念空間については、次の幾つかの記事で解説しているので、ぜひご覧下さい。

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応用方法③【概念の集合】から【未概念法】へ

問題解決のシーンでは、新しい概念(未知の概念)を創造することがとても重要です。

未概念法は、新しい概念を連続的に創造することを可能にする方法論です。

以下は、未概念の典型的な事例です。
※他にも方法が色々あります。

こうした未知の概念の材料を用いて、短期間に大量の新しい概念を創造していきます。

これによって、問題が解決できない最大の原因である概念の不足状態を解消することができます。

未概念法は、あらゆる問題が解決に至る可能性を近似的に極限まで引き上げることができる新しい思考法です。
※詳細はこちら(概要)

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このように、概念の集合という考え方は、非常に幅広い応用の可能性が考えられます。

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※補足:「集合」という言葉について

◆「集合」について注意
ここでいう「集合」は、よく数学の集合論のテキストで書かれているような「集まり」程度の意味で書いています。数学をやりたい訳ではないので、それほど厳密なものを考える訳ではありません。
幾つか理由がありますが、例えば、数学では、集合の要素同士で(量的な)演算を考えのに対して、概念の集合では、そのような(量的な)演算を考えることができず、またあまり意味がないからです。ただし、概念同士の関係性は考えることができ、それは重要です。→
【概念関係式】について

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最後に

この記事では、概念の集合の大まかな枠組みを書いたので、別の記事で具体的な応用の事例をご紹介できればと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

※ブログでもお読みいただけます。


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