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【NPB】パ・リーグの外国人選手について振り返る(野手編)
パ・リーグのレギュラーシーズンは、本日のオリックスvs福岡ソフトバンク、雨天中止で振替試合となる明日の東北楽天vs千葉ロッテのカードを残すのみとなった。
最終戦まで2〜4位が縺れる大混戦。143試合は長いようであっという間であった。
今回は、パ・リーグの外国人選手について振り返っていきたいと思う。
※とりあえず野手のみ、( )内は前所属球団
◆オリックス
マーウィン・ゴンザレス(NYY) 1億8000万円
打率.217 12本 36打点 OPS.649
フランク・シュウィンデル(CHC) 9000万円
打率.188 1本 11打点 OPS.461
レアンドロ・セデーニョ(AZ傘下) 4000万円
打率.246 9本 34打点 OPS.720
![](https://assets.st-note.com/img/1696829015698-piHRcpqriS.jpg?width=1200)
外国人野手の総入れ替えを行った今シーズン。昨年の外国人野手総ホームラン数が6本という散々たる成績に比べれば見栄えは良くなった。ゴンザレスは持ち前の長打力を発揮。2021年のモヤ以来、二桁本塁打を記録した。コンタクト率には欠けるものの、内野を全て守るスーパーユーティリティとしてリーグ優勝に貢献した。セデーニョは開幕当初、育成選手でのスタートだったが、もう一人の新外国人、シュウィンデルの怪我もあり夏場に支配下登録。以降、二軍落ちが数回あったものの、夏場には本塁打を量産。このところ、高めの速球を空振りする場面が目立つ。ポストシーズンも本塁打量産なるか。
◆福岡ソフトバンク
フレディ・ガルビス 3億5000万円
打率.152 0本 1打点 OPS.328
ウィリアンズ・アストゥディーヨ(MIN) 1億8000万円
打率.136 1本 3打点 OPS.447
コートニー・ホーキンス(米独立リーグ) 6750万円
打率.000 0本 1打点 OPS.000
アルフレド・デスパイネ(キューバ国内リーグ) 1億8000万円
打率.071 0本 0打点 OPS.276
![](https://assets.st-note.com/img/1696829073654-oshVpsdVAG.jpg?width=1200)
オリックスとの争奪戦を制し獲得したアストゥディーヨ。ショート以外の8ポジションを守るユーティリティプレーヤーとして期待されていたが、打撃での成績が振るわなかった。また、2年目のガルビス、米独立リーグの本塁打王として期待されたホーキンスもNPBに苦しんだ。夏場には昨年まで在籍したデスパイネを緊急補強するものの、こちらも期待に応えられない結果となった。外国人野手の本塁打は計1本。来シーズンは複数年契約のガルビス含め、野手総入れ替えが予想される。
◆埼玉西武
デビッド・マキノン(OAK) 9000万円
打率.259 15本 50打点 OPS.728
マーク・ペイトン(CWS傘下) 8000万円
打率.215 5本 22打点 OPS.593
![](https://assets.st-note.com/img/1696829126985-5y80cK0g5n.png?width=1200)
開幕スタメンで「1番ペイトン、2番マキノン」には驚かされた。マキノンはシーズンを通してファーストでの起用。4番を担うこともあり、本塁打は15本と及第点か。ペイトンは外野守備での怪我もあり夏場に復帰したが、物足りない成績となった。
◆東北楽天
マイケル・フランコ(WSH) 1億
打率.221 12本 32打点 OPS.644
クリス・ギッテンス 1億
1軍出場なし
![](https://assets.st-note.com/img/1696829169176-BFT4z0QpN6.jpg?width=1200)
メジャー130HRの実績で今シーズン野手では大物の一人と呼ばれたフランコ。変化球に苦戦する場面が多く序盤はかなり苦しんだ。本塁打12本を放ったものの、9/21の出場を最後に登録抹消となっている。ギッテンスは昨シーズンに続き、怪我から復帰しては故障を繰り返した。
◆千葉ロッテ
グレゴリー・ポランコ(巨人) 1億8000万円
打率.244 26本 75打点 OPS.770
マイク・ブロッソー(MIL) 5000万円
打率.191 1本 11打点 OPS.504
![](https://assets.st-note.com/img/1696829207935-Utc2s2Mlg7.jpg?width=1200)
巨人を退団し、初のパ・リーグでのプレーとなったポランコ。中盤から本塁打を量産。現在26本塁打を記録、最終戦を残し現在リーグトップ。元々PITで2015年には153試合出場の経験もある実力者。もう一人、途中加入となったブロッソー。こちらはNPBに苦戦している状況だ。現在も1軍での出場を続けている。来季残留のためには、ポストシーズン含め打ちまくるしかないだろう。
◆北海道日本ハム
アリエル・マルティネス(中日) 8000万円
打率.246 15本 66打点 OPS.763
アリスメンディ・アルカンタラ 1億3000万円
打率.204 4本 10打点 OPS.625
アレン・ハンソン(BC茨城) 1500万円
打率.144 4本 9打点 OPS.499
王柏融 1500万円
打率.238 1本 5打点 OPS.646
![](https://assets.st-note.com/img/1696829258004-zCmEMfBRqw.jpg?width=1200)
ソフトバンクと同じく、野手4名の外国人選手を抱えた日本ハム。まともに働いたのは中日から移籍のマルティネスくらいか。新庄政権3年目を迎える来シーズン、こちらは外国人選手の入れ替えが予想される。
ここまで各球団の総評を述べてきたが、打撃面で期待に応えることができたのは、マキノン(西武)、ポランコ(ロッテ)くらいか。ここ数年、パ・リーグは特に外国人のスカウトに苦戦している。背景としては、①MLB傘下(マイナーリーグ)のサラリー(年俸)アップ、②円安ドル高による支払年俸の高騰が挙げられる。
①MLB傘下(マイナーリーグ)のサラリー(年俸)アップ
2023年3月、マイナーリーグの労使協定が合意に達した。3Aは1万7500ドル(約231万円)から3万5800ドル(約473万円)、2Aは1万3800ドル(約182万円)から3万250ドル(約399万円)などとなる。(記事抜粋)
そもそもNPBは、MLB<NPB<MLB傘下(3A)のレベルであると言われている。故に、MLBの40人枠から漏れた、あるいは3Aである程度の成績を残した選手がNPBに来ることが多い。3Aでも年俸が約231万円とかなり低いのがこれまでであった。だからこそ、ある程度の年俸が見込めるNPBへの移籍を希望する選手も多かった。今年から3Aの年俸が2倍以上になったことを考えると、来シーズン以降もスカウティングが難しくなるだろう。
②円安ドル高による支払年俸の高騰
今シーズンオリックス加入した、マーウィン・ゴンザレスを例にとってみる。
※概算
2023年2月の為替相場︰1ドル=130円前後
1億8000万円=138万ドル
2023年10月の為替相場︰1ドル=148円前後
138万ドル=2億400万円
この1年で、1ドルあたり15円以上の上昇。年俸に換算した時、2000万円以上の負担増となっている。これでは年俸現状維持でも揉めるレベルの円安になってしまっており、去就に影響を及ぼすことは避けられない。
◆総括
(レギュラーシーズン残した状態で言うのもアレだが)来シーズンも残留確定と言える選手はいないのが現状である。ただ、セデーニョ(オリックス)はメジャーでのプレー経験はない。セ・リーグのミエセス(阪神)はすでに来季残留の報道が出た。これからは、「NPBで外国人選手を育てる」という流れになっていくのではないかと思う。もちろん、大物メジャーリーガーがNPBに来ること以上に嬉しいことはない。ただ、長いスパンで外国人を育て上げるといった、転換期が訪れているといっても間違いではないと思う。
例え成績が振るわなかった、1年での退団となってしまう選手もいるだろう。しかし、遠い異国の地で成功のため、日本に来てくれた全選手に感謝を送りたい。最後に、オリックス現外野守備走塁コーチの田口壮氏が書いた記事を記すことにする。
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「1人としていらないメンバーはいないと僕は思っていますから。全員が大事な選手で、僕は全員の人生を預かっている。彼らの野球人生というのは、今年だけではなく、来年も再来年も続いていくし、人生はもっともっと先まで続いていく。それは外国人も日本人も、僕にとっては一緒なんですよ。それだけはちゃんと考えて、最終戦までラインナップは組まなあかん、と思っていました」
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【写真引用】