「マイ・ディア・ミスター 〜私のおじさん〜」について (7) ドンフンの慟哭
ドンフン→ジアン
ドンフンのジアンへの思いは、異性への愛なのか。
「心に傷がある子は早く大人になる。不憫に思える。」
ドンフンが、ジアンを助けるために尽力していたのは、最初は社会人として、大人としての責任感からの行動だったように思います。
ただ、途中から深入りしすぎが目立っくるように。
おばあさんへの対応は、成り行きとしても、グァンイルとの決闘は、やり過ぎ、関与すぎな気がします。
ただこれが異性への愛によるものかというと違うように思います。
ジアンを思う気持ちというより、「自分と同じような可哀想な子を救いたい=救いたいと思う自分を救う=自分を生かしたい」という気持ちだったのではと想像します。
ジアンに不幸な自分を重ねたというのが大きいように思います。
13話。
妻の問題を兄弟が知り、三兄弟で飲む場面が印象的でした。
優しく慰める兄貴と、自分の感情を押し殺し我慢するドンフンに、心を痛めて自分事のように感情をあらわにする弟に泣けます。。
兄さんにもっと怒って欲しい。
思いっきり泣いて欲しい。
13話の状況のドンフンは、まだ解決すべき問題が未解決。
妻問題、ジアン問題。昇格問題。
社内勢力争い問題。
人生に絶望しつつも、まだ自己の感情をコントロールすべき時期だったと思います。
だから、「何てことはない」と自分に必死に言い聞かせ、感情をコントロールしていたのではと思います。
痛々しい場面です。
幸せになろう、の場面
そして16話。ジアンが会長の紹介で仕事と住処を得て、釜山に行く前。
ドンフンとジアンの酒場での場面。
この時点で、全ての懸案事項が解決に向けて動いています。
妻問題、昇格問題、社内勢力争い問題。そしてジアン問題も解決方向になっています。
既に部下ではないジアンに、やっと本音を言ったドンフン。
ドンフン「俺を救うためにこの街へ?」
ジアン「アジョシを知って初めて生きた気がした」
ドンフン「幸せになろう」
口数は少ないですが、感動的な場面ですね。。
かつてお互いが不幸であることを見抜きあった二人が、お互いに幸せを目指して次のステップに歩もう、という決意を双方で確認した場面と言えます。
ドンフンの慟哭
そして16話のドンフンの慟哭。
「自己解放」「安堵」からの慟哭ではないかと思います。
13話の時点では、人生に絶望しつつも踏ん張っていたドンフン。
ギフンに、兄さんに思いきっり泣いてほしいと言われていたのに、我慢していた。
様々な問題が解決方向になった16話では、周囲の期待や、背負っていた責任からも解放され、やっと前に向けて進める状況に。
そしてギフンの、「人間には自然治癒力がある」という言葉をトリガーに、押し殺していた自分の感情が思わず噴出したドンフン。
色々あったけど、自分もやっと癒される。
救われた。
解放されたと。。
大きな安堵に包まれたことでしょう。
やっと自分の感情に素直になれて、号泣。。。
これがドンフンの慟哭なのではと思います。
その後の彼は、退社し構造エンジニア専門会社を起業。
もっと自分らしく生きていいんだ、という思いを実現したのかもしれません。
もっと自分らしく生きていい。
我々も同じですね。。。