無限か有限か。芝居・歌・ダンスの総合芸術"TheWhiteLounge"レポ②
Bonsoir
こんばんは
前回に引き続きMrs.GREEN APPLEのFCツアー、"TheWhiteLounge"の超私的ライブ感想です。
Act 2
おそらく冒頭(二幕の始まりが正直あまり記憶にないもので💦)、若井さんと女性キャストのシーン。二人は友達以上恋人未満(?)、お花見(ピクニック?)デート。女性が作ってきてくれた唐揚げがとても美味しかったらしく「唐揚げに感動したの小学生以来かも」というセリフ(笑)。女性は若井氏との次のデートを早くも週末にしたい!一方で、若井氏はそこまでその女性に興味がなく、「ごめん、週末空いてなくて」と断る。別日の提案もしない。こちらに伝わってきてしまう二人の温度差。(いやー、乗り気じゃないなら彼女に唐揚げ作らせるなよー、期待させるなよー笑)。でも女性に興味ない感じの若井氏の演技はすごくナチュラルでよかったです!
大森さん登場。台詞、
「何もかも嫌だ。1人になりたくて、でも1人になりたくなくて…かと言って人といるのはしんどいし。でも誰かにいてほしくて。こんなこと考えてもキリがない。こんなことを考えてる自分も嫌になる。何もかも嫌になる。」
この台詞がme tooすぎる泣。からの二幕一発目↓
・春愁:1幕とは雰囲気が変わり、フードを被った寂し気な大森さん。すごく幼く小さく見えた。
雨が降る。先ほどの女性がずぶぬれの大森さんのもとへ現れ、「傘は?」と聞く。「傘?…..持ってきて…ない…」と大森さん。ここの大森さんの芝居は、何もかも嫌になり人との関わりを避けていたが為に、人や外界とのコミュニケーションの仕方、さらには己の扱い方をも見失ってしまった感が出ていて、胸がキュッと苦しくなった。
そして女性は唐突に「週末、買い物に付き合ってくれない?嫌?」と大森さんにたずねる。「嫌、、じゃない」と大森さん。からの
・Just a Friend:ホワイトラウンジ全編を通して一番華やかな場面だと感じた。大森さんと女性のデートの設定なので、映画館や洋服屋のシーンなど、大小さまざまなセットが登場した。キャストさんによるそのセットの転換が見事だった。
・Attitude:今回、ファンの間で一番波紋を呼んでいる。ミセスにとって活動休止後初のライブの1発目で歌った、「神格化」されている曲。
しかし私は単に、私の人生においてAttitudeを生で聴ける機会と巡り会えたことが嬉しいと思った。
・Feeling:大変申し訳ないが、ここの記憶がほとんどなくて悔しい。
からの、涼ちゃんによるロング台詞。内容は以下のようなもの。
「私たちは劇場にあなた方を閉じ込めた。閉じ込められたことで別の世界に行くことができる。"虚構は無限"。私がここにいるのをあなたが感じているように、あなたがそこにいるのを私は感じている。頑張っているあなたへのご褒美として。夢のような現実を、現実のような夢を。」
劇場という広大な空間をモノにし、空気をつかんだ涼ちゃんがお見事だった。まさに劇場支配人。からの
・ケセラセラ:舞台中央にステージセットが組まれそこでミセスの3人が演奏し、キャストさんも全員白いカンカン帽に白いスーツという出で立ち。ラインダンスがどこで出てきたか完全に忘れてしまった(Feelingの時かな)が、この辺は煌びやかなブロードウェイのショーのような雰囲気。
ケセラ終了後、「お疲れ様でした~」と皆それぞれ口にし、キャストさんの手によってセットが解体されていく。大森さんは一人取り残されたように、みなの切り替わりについていくことができない。一人のキャストさんが大森さんのハットを回収に来るが、大森さんはハットを渡すのに時間がかかってしまう。まさに「虚構と虚無」の間で戸惑う(エンターテイナー)大森さんが非常に魅力的だった。
・Soranji:決して壮大には歌われていなかった気がする。スモーク演出。
・TheWhiteLoungeリプライズ:「ドアを開けたら何かが変わるか」という歌詞。ホワイトラウンジのオープニングとして歌われたときはこれから踏み込む世界への希望が感じられたが、リプライズでは現実に戻ってきた、今までが虚構であった感。
・フロリジナル:私、今回でフロリジナルが聴けたらいいな~と願いながら当日家を出たんですよ!!!!!泣。イントロでため息が出て泣きましたよ。。私はフロリジナルを個人的にこのように捉えていて。
「愛されたくて大切にされたいんだけど、寄りかかれる相手がいなくなっちゃうことは怖いことがわかった。だから思い出を糧に自分一人でも立てるように生きよう。全てが満たされることはないかもしれないけど、それを踏まえての前向きさを得ることができる。だから、私自身も、貴方も、空も嗅ぐ。」
私にとって「生まれ変わり」の歌なんです。だから、ホワイトラウンジで現実と夢の間を行き来してきたキャスト側と我々観客が、最後に鮮やかな照明を目にしながら浸るのにふさわしいの楽曲はまさにフロリジナル。
ここまで、私の拙くかなり偏ったレポートをお読みいただきありがとうございました!!!
私はまず、何が嬉しかったか、楽しかったかって、ミセスを生で聴けるだけでも十分満足なのに、私はミセスの曲はいつかミュージカル的に演奏されるべきだと常々考えていたから、そこを体現してくださったことなんです。
ミセスの曲は一曲一曲、没入感が凄まじく、大森さんの歌声、表情、手先の動き、若井さんのギターや涼ちゃんのキーボード・フルートが非常に計算づくされて曲を構成している。もちろんドラムもベースも、そして照明も、加えて空気も、全てのセクションが合わさった総合芸術のよう。
そして曲を聴いていると、私はそこに充てたいダンスの振付が浮かんでくるんです。特にANTENNAやIn the Morningとかは「宝塚のショーの中詰(中盤で出演者全員が歌い踊る場面)にぴったりだな~、こういう衣装で、ここで何人出てきて、こういう振付で~」みたいな妄想を聴きはじめた当初からしてたんですよ。。
さらに大森さんの歌唱姿は心から歌い上げているように見える(きっとそうだ)が、一方で 曲の世界の中で"演じている"ようにもみえる。その二面性が儚さを、有限性を感じさせる。でもやっぱり華があるから彼の歌は無限に続いていくようだ。そんなように、彼には聴き手を一気にトリコにする唯一無二の力がある。
大森さんがホワイトラウンジで体現したものを見て、私は恐れながら貴方の意図を汲み取れていた気がして、勝手ながら心の奥底にある琴線が共鳴できた気がして嬉しかったんです。